「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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時をかける少女

 題名だけなら4度目の映画化という事になりますが、今回は原作とも2006アニメ版とも異なる原作ヒロインの娘を主人公にした次世代ものの続編となっております。主演はアニメでヒロインの声を担当した仲里依紗、いきものがかりが歌う挿入歌は1983年版で原田知世が歌った曲のカバー、舞台は2010年と1974年ですが「過去の事件」は1972年でこれは「NHK少年ドラマシリーズ」における『タイムトラベラー』の放送年、といった具合に随所で過去作をリスペクトしてます。それぞれの時代に金字塔を打ち立てた上記3作に比べてしまうとやはり見劣りしますが、オリジナル脚本の出来は最初と最後以外は思ったほど悪くはないです。ただ、「過去の事件」の内容を知らない観客への配慮は殆ど無く、その場合はトンデモが過ぎる映画にしか見えないでしょうが。

 最初の方で問題なのは時間跳躍に至る経緯。「過去の事件」の記憶を消されてしまった芳山クンがなんとなくタイム・リープの薬を完成させるのはいいです。蟻が何を念じ何処に消えたか、それをどうやって検証したかも不問にします。けれど、許し難いのは届かないこと前提の浅すぎるメッセージ。あれを中学生深町に伝えても女の執念に怖れを為し途方に暮れるばかりだと思います。あと、特に重体でもなさそうな母が「1972年に戻って・・・」とか言い出しただけで過去に跳ぶヒロインも腑に落ちないですし、1974年に間違えてしまう流れも不自然極まりないです。
 ツイストが無さ過ぎて逆に驚く大胆な終盤展開も強烈。『時かけ』の肝はプラトニックな切ない別れと深層での再会の予感だと思うのであれはNGだと思います。特に「過去を変えてはならない!」のくだりが酷いですね。アニメ版見た人なら容易に別の手段を思いつくでしょ?タイム・リープの薬が一つ残ってるんだから。足掻けよ、徒労に終わるにしても。

 そんなこんなで脚本の煮詰め不足は否めないし、誰にでも寄りまくるカメラも気になるし、設定で50代半ばのファースト世代が40代半ばでキャスティングされてる辺りも奇妙なんですが、過去編に入ると半端な脚本や稚拙な演出も70年代っぽさを醸す効果になりますし、相手役となる中尾明慶の貧乏大学生を筆頭にキャストのマッチングが俄然良くなるので安心して観られました。ムチムチボディ以外は今どきの女子高生らしい仲里依紗の天真爛漫キャラと純朴で夢見がちな70'Sの若者達との青春ドラマとしては概ね成功してると思います。
 時代のギャップを強調しすぎると『バブルへGO!!』に似すぎるし、若き母の恋に干渉すると『バック・トゥ・ザ・フューチャー』になっちゃうし、この辺は匙加減が難しいので深入りせず深町君の行方を凸凹探偵もので処理するという判断もグッド。「間違った時代に着いてしまった場合にどうやって使命を果たすか」という設問はかなり面白いだけに、もう少しミステリー寄りにして論理的帰結の末にあの方法に辿り着いて欲しかったのですが。

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仲 里依紗、中尾明慶 他

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釣りバカ日誌20 ファイナル

 お疲れ様と言うほかない22年続いた国民的プログラムピクチャーの最終作。なにしろ、数少ないオリジナル・キャストで先頃急逝した谷啓が前作から出演してなかった理由が認知症の進行だったというのに、米寿に近づく三國連太郎を筆頭に奥方役の奈良岡朋子や専務の加藤武など谷さんより年嵩のレギュラーがゴロゴロいる状況です。西田敏行すら還暦を超えてるとなればサラリーマンものを続けるのは限界でしょう。勿論、みち子さんとの「合体」も。
 そんなこんなの22作目。最後だからと変に力まず、いつもと変わらぬ松竹印のベタな笑いと人情ドラマで幕というのは好感。頑張れるだけ頑張って貰ってもいいんじゃないかと思うぐらい三國さんもしっかり演技してくれてます。実際問題、後継候補『築地魚河岸三代目』のシリーズ化が頓挫してるわけで、しれっと復活するのもありかと思います。

 今回はサブの松坂慶子と吹石一恵の母子ドラマや鈴木建設や浜崎家のお約束ルーチンもスムーズにハマちゃんの釣りバカぶりがもたらす珍騒動と絡んでますし、なによりスーさんの出番が多くちゃんと主役してるのが嬉しいです。馬鹿馬鹿しい笑いも盛り沢山。マンネリズム万歳。
 冒頭でまたまたハマちゃんが釣り人脈の大型契約を決めてしまい、どう考えてもエース級の営業社員なのにグータラ扱いされるのに無理があるわけですが、不況下の鈴木建設のアレコレを投げっぱなしに舞台は地方ロケの北海道へ。相変わらず釣りのシーンが少なく、今回は絶滅危惧種のイトウの蘊蓄がちょっとあるだけなのが辛いですが、露骨に観光地を巡るでもなく釧路・根室など道東の雄大な大自然を見せてくれます。

 ここでどうにも疑問なのは松坂慶子の役作り。こんなに下手ではなかったはずなので演出だとは思うのですが台詞がほぼ棒読みです。それに始終料亭の女将とは思えない口調で話すのも奇妙。何が狙いなのか解りかねます。
 あと、終盤で流れを無視して突入する「賽の河原」シーンはやり過ぎ感が強く。ここをカットして松坂慶子の葛藤を掘り下げるなり、序盤の岸部一徳のエピを膨らませて重層的に描くなりしても良かったんじゃないかと。やるならやるで、いっそ三途の川の亡者を石田えりや戸川純や丹阿弥谷津子などの降板メンバーで揃えるぐらいして貰えれば納得できたんですが。まあ、どんな経緯を辿ろうとスーさんの演説に繋いじゃえばファイナルに相応しいフィナーレに持ち込めるのが強みですね。関係者の方々はいつまでも長生きして下さい。

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(2010/05/08)
西田敏行、浅田美代子 他

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第9地区

 ヨハネスブルグに住み着いた不気味でおバカな宇宙人集団に炸裂する南ア名物アパルトヘイトと無法な人類の虐待行為。アカデミー賞候補になるぐらいだから差別問題やら異文化との格闘を扱った真面目な映画になるのかと思いきや、ブラックな笑いに血肉が飛び散る生粋のB級SF映画なのでした。ちゅか、このぶっ飛んだグロ&バイオレンスは ポール・バーホーベン監督の『スターシップ・トゥルーパーズ』のテイストです。しかも、本家に抜けてたパワードスーツまで登場するサービスぶり。エロ方面が大きく後退してますが。
 何はともあれ、確実に観る者を選ぶ作品です。映像がチープなのも否めません。くれぐれも製作にクレジットされたピーター・ジャクソンに騙されてSF大作と勘違いしないように。

 オスカーを争った『アバター』とネタが被り、無慈悲な人類と搾取される少数民族の軋轢を描いておりますが、先住民の土地への侵略とは逆で此方は地球に住み着いてしまった難民というのがミソ。おまけにエイリアンから主人公を含む人類まで満遍なく民度が低いアナーキーな世界観ときてます。一瞬で人体を木っ端微塵にする超兵器を持ちながら野良犬レベルの知性の宇宙エビ、そんな隣人と友好的に暮らせるわけもない人類側は抑圧的な政府機関とそれを支持する住民に血気盛んな軍人といかれたマフィアを取り揃え見事な混沌ぶり。ただ、監督の出身地という事で南ア住民の描写にはエクスキューズも可能ですが、ナイジェリア人のあまりに酷い扱いには困惑。南アで何やったんだ、ナイジェリアは。

 ストーリーも細部に工夫があり意外性があって面白いんですが、それ以上にキャットフードが大好きでブラジャーつけたエイリアンとか、重力兵器で飛ばされる豚とか、斜め上の発想が楽しいです。それに『ザ・フライ』や『エイリアン2』などの影響も入ってるし、パワードスーツは『アップル・シード』な上にミサイル発射シーンは「板野サーカス」と、洋の東西問わずSFオタク的ネタが満載。怒濤の破壊行為からクライマックスの燃え戦争アクションに至る流れが、わかってる人が作ってる事を感じさせ、そのドライブ感が心地よいのでした。

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(2010/08/11)
シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ 他

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ディア・ドクター

 作品・脚本部門で数々の映画賞をさらった話題作ですが噂に違わぬ傑作でした。僻地医療・終末医療・老人の孤独・コミュニケーション不全など実に奥が深く考えさせられるテーマを盛り込みながら、お堅く感じさせないようにユーモアが散りばめられ、関心を途切れさせないドラマもあり、バランスが物凄く良いです。『ゆれる』でも思った事ですが、西川美和監督の洞察力とシナリオ構成力は只者じゃないですね。

 過疎地で慕われる医師と研修に赴任した若者という構図から現代版『赤ひげ』を想像してたんですが、感動のヒューマニズムにはほど遠く、むしろアンチテーゼ的な作品でした。これだけ人間の内面をえぐり出す内容を滑稽で穏やかで分かり易い娯楽作品にしてしまうのが凄いです。しかも、安易な泣かせや人情噺や断罪路線に奔らずに。
 伏線の巧さにも舌を巻きます。終盤で八千草薫が刑事に云う台詞が腑に落ちなかったんですが、序盤にある「先生、何にもしないでください。」に気付いて感嘆。二度見すると確信犯のキャラがさりげなく嫌味を吐いたりしてて面白いです。ラス前の刑事とのニアミスで笑福亭鶴瓶が煙草をふかす事で善に寄りすぎた鶴瓶の印象をグレーに戻し、意外なオチで更に視聴者を揺さぶる流れも凄い。失踪前後の二つの時間軸の混ぜ方も絶妙です。

 善悪と別の所でその人の望むようにしてあげてしまうキャラが鶴瓶師匠に異様にマッチしている他、瑛太・余貴美子・八千草薫・井川遥といった面々がそれぞれの持ち味をいかんなく発揮しドンピシャの演技を披露。とりわけ印象的だったのが香川照之で、便利に使われるコミカルなポジションかと思えば小狡く立ち回ったりシリアスに核心を突いたり見せ場が多いです。難しい役柄で狂言回しをこなしてる松重豊にも痺れました。この二人の共演シーンの事情聴取で不意に香川が倒れるシーンは演出的にも唸らされましたが。

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(2010/01/08)
笑福亭鶴瓶瑛太

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トランスフォーマー/リベンジ

 前作の闘いから二年後のお話ですが、たぶん前作観てなくても大丈夫。主役カップルの馴れ初めも肉屋のおっさんの正体も未だに思い出せないけど無問題でした。重要なのは「この映画の対象はアメリカのボンクラなティーン」だと理解しておく事、これ一点です。原作アニメになんの思い入れもなく、大味なストーリーやくだらないギャグの挿入は前回の経験で覚悟完了していたこともあり、“大爆発&カーチェイス馬鹿”マイケル・ベイ監督のサービス精神旺盛な匠の世界を存分に堪能出来ました。

 感心したのは、前回の問題点だった何が起きてるのか不明のアクションが大幅に改善されてる事。ベイにしては編集がマトモでスクリーンを目一杯使う悪癖が修正されてます。オープニングなんか夜間のバトルなのにハッキリクッキリ事態を把握出来ますし、売りの変形プロセスをしっかり見せたりロボ形態のヴァリエーションを増やしたり合体したりと随所に工夫が施されてます。ロボ達のキャラもかなり差別化され、乱戦下に銀色の奴らが混乱を産む程度に収まっているのもありがたいです。米軍もやたら格好良くて強いし、少年の心を掴んで放さない娯楽映像が満載と言えます。惜しむらくはラスボスが妙に弱いのですが。

 主人公パートの下ネタ系ギャグも凄い映像の箸休め程度には機能。新キャラの双子ロボやさかりのついたラジコンロボの所作は楽しいですし、ヒロインのミーガン・フォックスが無闇矢鱈に性的なのも非常によろしい。特に肌が露出しまくりのありえない作業着姿が強烈。ただ、「やりたい盛りの軟弱ハイティーン」だったシャイア・ラブーフは成長して「因縁を背負った勇敢な青年(初体験済)」というポジションに落ち着き、すっかり影が薄くなってしまいました。戦闘能力ゼロで頭脳も並の主人公には全く見せ場がなく、手が付けられないくらい強引なストーリーの渦に巻き込まれていく様が哀れ。ひたすら走るだけのクライマックスが涙を誘います。既に制作が始まっている第3弾ではミーガン・フォックスが電撃降板との事なので、新ヒロインとの恋愛ドラマを盛り上げて欲しいところです。

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