「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う

 同じく石井隆監督がメガホンをとった1993年の映画『ヌードの夜』の続編。といっても主要人物が殆ど劇中で死亡してるため再登板キャラは竹中直人演ずる主人公だけであり、前作の知識も全く必要としません。
 劇場版より19分長いというディレクターズ・カット版を観賞。恐らく追加分は終盤の無駄に長いヌードシーンでしょう。ヒロイン役の佐藤寛子という女優については全然知らないのですが、来歴を見るとほしのあき・磯山さやかとユニットを組んで歌ってたりするのでグラビアアイドルとしては結構メジャーな娘のようですね。濡れ場は勿論のこと官能ポールダンスやらローション塗ってボディー洗いやらセクシーショット満載ですが、お話はかなりえげつなくグロテスク&バイオレンスな描写も多々あるので注意が必要です。なお、大竹しのぶ・井上晴美・東風万智子(旧名:真中瞳)といった女性キャスト陣は脱いでおりません。

 先ずはヌードの方から。佐藤寛子、悲壮な程に頑張ってます。特に後半は登場シーンの半分以上で服着て無い印象。殆ど必然性がないままに薄モザイクでヘアヌードを披露しまくります。たぶん前バリをしてるんでしょうが、でなければスタッフ・キャストにモロ見え必至の過激なポーズばかりでした。その割りにはエロさを感じませんでしたが。けど、しなやかなボディーライン、特にあばらとくびれが美しかったです。しかし、石井隆ワールドは灰汁が強く只の裸目当てには優しくありません。冒頭からドロドロでグチョグチョな惨劇をぶちかまし冷や水を浴びせてくるのでした。

 さてドラマの評価ですが、前半は現代闇社会の迫力を堪能できるものの後半は散漫でオッパイと粗ばかりが目立ちます。決して失敗作じゃないけど佳作というにも微妙という出来。嫌な奴・怖い奴・暴力・殺人など数々の修羅場にブラックなユーモアを織り交ぜノワールとしてもサスペンスとしても盛り上げておきながら、完全犯罪にはほど遠い方向へ転がり落ちスリラーとしても中途半端。歪んだ純愛やハードボイルドの要素も弱いです。
 特に、大きくバランスを崩してるのは女刑事の存在です。行動は不自然だし主人公との関係性が今一つピンとこない上に事件との絡みも弱いのに最終的に重要なポジションにいるのが腑に落ちません。演じた東風万智子に責はないのですが。
 そして、頑張りすぎてる痛々しさがグッっと来るものの佐藤寛子の力量不足は否めません。前半は大竹しのぶ&井上晴美の息ピッタリな鬼畜母娘ぶりの影に隠れて印象が薄く、後半は存在感が急激に増すもののおどろおどろしい過去を持つ背徳感やシリアルキラーとしての怪物ぶりが伝わってきませんでした。彼女は単に脱げるだけの主演女優では決してなく標準レベルの演技力は有してるようなんですが、残念ながらその程度ではこなせない複雑な役なのです。終盤の洞窟が安っぽい&明るすぎる点も彼女にとってマイナスで、竹中直人や大竹しのぶの力を借りられない単身シーンをこの舞台で撮ったことで悲劇のヒロインの筈がどうしようもなく陳腐になってしまいました。肢体もガッツも素晴らしいだけに実に惜しいです。

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竹中直人、佐藤寛子 他

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南極料理人

 南極観測隊員としてドームふじ基地で調理を担当した人のエッセイを原作としたとってもライトなコメディ。冒険もロマンも大事件もストイックなプロのお仕事も無く、閉鎖された土地で過ごす男8人の織り成す喜怒哀楽を食事を通じて描く事に専念していて、ほのぼのな空気感にゆるーい笑いがジワジワ来ます。とても南極とは思えないチープな映像を背景にむさい男所帯の合宿生活を描く映画ではありますが見応えは結構ありました。

 「美味しいものを食べると元気が出る」という主題を何度も何度もやる作品なので重要なのが料理の表現なんですがコレが秀逸。ご飯を食べるシーンの殆どで男達は旨いとも不味いとも言わずに黙々と箸を進めるんですが、旨そうな料理は旨そうに不味そうな料理も不味そうにきちんと撮れているのがナイス。特に「豚汁とおにぎり」と「手打ちラーメン」が魅惑的でした。
 敢えて越冬の過酷な部分に深入りしない姿勢が貫かれてるのも面白かったです。タロ・ジロの時代よりは随分快適になったんだろうけど、時間感覚すら狂わす白夜と極夜の中で作業を阻害する悪天候と戦い息が詰まるようなストレスを抱え込んで暮らすというのは変わってないと思うのですよ。なのに、彼らの死と隣り合わせのアカデミックな活動や大自然の驚異は軽く触れる程度で済ませ、まったりとお気楽な日常部分をポジティヴに誇張しシチュエーション・コメディに仕立てたのには感心しました。
 キャストも小劇団っぽくて良いです。内心はどうあれ上辺はいつも微笑んでいるような堺雅人のイメージを最大限に利用し、生瀬勝久・きたろう・豊原功補といった濃いキャラクター達が笑いの部分を的確に抑えていた印象。そこはかとなくユーモラスな台詞回しもツボでした。

 恐らく実際にあった面白可笑しいエピソードを繋ぎ合わせて脚色したのであろう本作は、「閉塞状況を乗り切る為になるべく楽しく凄そう」という隊員達の暗黙の掟を上手く捉えてると思うんですが、そんな中で車両担当の人だけがネガティヴでダメダメな描かれ方をされていたのが少し残念。内燃機関が命綱の環境で暮らしてるんだから、彼を持ち上げるエピソードをちょっと付け加えても罰は当たらないのに。
 あと、観測隊参加を夢見て20年の人が直前でチャンスを棒に振るなんていう暗い話は現実のエピソードの有無に拘わらず不必要だったんじゃないかと。始終ほんわかなこの物語でここだけちょっと浮いてる気がしました。観測隊って志願じゃなきゃ参加できないだろうから、主人公の経緯は少々不細工に思えましたし。

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堺雅人、生瀬勝久 他

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ノウイング

 『アイ,ロボット』のアレックス・プロヤス監督がオリジナル脚本で贈る人類滅亡系のディザスター・ムービー。グラフィックの完成度の高さは見て取れるものの、予告編から受ける印象は間違いなく駄作で、実際に予感は間違いじゃなかったと言えるトンデモ話なのですが、ツッコミどころ満載で意外に面白かったです。けど、大スペクタクルシーンを予告でばらしちゃ駄目なところも含めてがっつり見せちゃうのはどーなのか。あと、後述しますが宗教的な側面にはちょっと閉口。

 パニック映画と思ったら冒頭から50年前のチャネリング少女が登場して自動書記というオカルトな流れに驚かされました。現代に舞台が移ったら移ったでニコラス・ケイジが『ナショナル・トレジャー』被りもなんのそので暗号を高速解読。それが過去50年の世界規模な大惨事を記したものと判った時点で残る予言は3件と展開を更に加速し、サスペンスタッチのストーリーに傾れ込みスケールがどんどん大きくなっていく辺りはワクワクするんですが、「絶対畳めんな、この風呂敷」な予想通りに後半は一切の捻り無くお馴染みのオチに突き進むのが素敵。潔すぎて逆に新鮮でした。
 折角の災害予告がタイムカプセルに封印されてる時点で未来を知る筈の送信者が何をしたかったのか意味不明だし、主人公が惨事を防ぐ使命感に燃える理由もわからないし、そもそも謎が解読できたところで何の足しにもならなかったりで、脚本の適当加減は特筆モノ。宗教性溢れた終末思想がベースなのに、人類に警鐘を鳴らすこともなく個人的にあたふたするだけの主人公というのは新しいですが。

 バカ映画好きなのでストーリーは許容レベルでしたが、人間ドラマの薄っぺらさの方が気になりました。主人公の家族にしてもヒロインにしても上っ面をなぞっただけで感動のラストに持ち込むのは無理があります。子供達の演出も不自然で、親子の絆が描かれているようには思えなかったです。この原因は物語の根底に流れるニューエイジ的な価値観でしょう。一見キリスト教的終末論に見えますが、「偶然はない」とか「永遠に一緒」とか「高次の存在」とかはニューエイジャーの思想に他なりません。嫌いなんですよ、スピリチュアルな考え方。

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(2010/01/06)
ニコラス・ケイジ、チャンドラー・カンタベリー 他

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NINE

 『シカゴ』のロブ・マーシャル監督が超豪華俳優陣を揃えて描くブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品。インスピレーションが沸かず脚本が一行も書けないままのクランクイン、取り巻く女達への強い欲望、愛想を尽かされつつある妻と空気を読めない愛人との板挟みな現実などに思い悩み、幻想に溺れていく女たらしの天才映画監督の話なんですが、ストーリーは無いに等しい「妄想ダンス集」でした。どう考えてもポールダンスとかラップダンスとかを好む客層向けでブロードウェイ・ミュージカルというイメージからは遠いです。元々は往年のイタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニの自伝的映画『8 1/2』が原作なのに。

 そんなわけで全体としてはかなり不細工な映画なんですが、女優陣のダンス・パートはゴージャス&グラマラスで目の保養としてはグレート。清楚な妻マリオン・コティヤール、エロエロな愛人ペネロペ・クルスがそれぞれに半裸でセクシーに踊り、他の女優達もミュージック・ビデオさながらの洗練された歌と踊りを披露。特にこの分野の本職ファーギー扮する砂浜の娼婦は圧巻でした。ケイト・ハドソンは殆ど意味のない役だけど楽曲的には一番の出来で儲けてます。出番は少ないけどニコール・キッドマンの胸がいつになく豊満だったのも印象的でした。

 問題は、フェリーニの実体験という背景を抜きにして、更に当時の前衛で難解なアート系要素も捨ててしまうと、残るのは殆ど起伏のない在り来たりの話にしかならないって事ですね。舞台版では成り立ってたのかも知れませんが、本作の場合は明らかに食い足りないので何か新味を加えて欲しかったところです。
 出ずっぱりのダニエル・デイ=ルイスはイタリア人には見えないけど見事な演技をみせ女優達も美しく妖艶に撮れてますし、原色主体の色彩とモノクロやダークブルーの画調を巧みに使い分けたり複雑な編集が為され、映像的には色々と凝ってるだけに本当に残念。

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ダニエル・デイ=ルイス、マリオン・コティヤール 他

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2012

 映画館で見るべき映画だと最初からわかってましたが、劇場で観た時の印象とテレビサイズのそれに予想以上の開きがあります。一番の原因はボディソニックの有無ですな。大画面&大音響の元では圧巻のスペクタクルに酔いしれる極上アトラクション映画だったのに、ストロングポイントを失った結果は主役一家の強引な脱出劇を笑うナンセンス・コメディとなっております。いずれにしても災害シーンに致るまでがやや長く、終盤で強烈にスケール・ダウンする問題点は共通。ディザスター映画につきもののヒューマンドラマも期待しちゃ駄目です。

 しかし、ドラマが無茶苦茶でスカスカだからってローランド・エメリッヒ監督をトンデモと揶揄する気にはなれませんね。監督は「凄い破壊映像を見せたい!」の一心で、恐らくは予算が尽きるギリギリまでカリフォルニア大破壊やらイエローストーン大噴火やらに血道を上げたのでしょう。結果としてクライマックスを低予算に抑える羽目になったものの、ドラマ部分の体裁も最小限のコストで整えた手腕は目を見張るものです。まあ、これだけ「マヤ暦」云々をおざなりにするなら、『2012』のタイトルは他の同案映画に譲ってやれと思わなくもないですが。けど、ツッコミどころ満載の珍妙設定を取り揃えて「ストーリーなんて飾りです。偉い人には・・・」と知らしめる姿勢に感服。

 なにしろ聖戦士並のオーラ力を発揮して車や飛行機で避けまくる映画にレーサーや軍人を配置せず、「訳あってリムジンの運転手をしてる三流作家」とか「飛行機の操縦が出来る美容整形医」とか不自然極まりない設定のキャラが活躍するわけですから狂ってます。大地震下での離着陸シーンを何度も繰り返せる神経も凄いし、宝の地図の顛末も強烈。
 また、パニック映画のお約束でパーティから脱落する人物が存在するわけですが、殆どがあっさりと殺されてしまいます。一切、感動的に描かれず遺された人々に希望も悔恨も与えない死なのです。そもそも生き残るのが権力者と金持ちばかりという所にエメリッヒ監督の底意地の悪さが現れてますが。生き延びて欲しいと思うキャラが全く見あたらないというのは新しいですな。
 
 そんな中、個人的にもっとも腹が立ったキャラは異変を最初に発見したインド人。奴はもっと早くに陸路でだって逃げれた筈です。主人公よりも多くの情報を持ち、素早く初手を打てて、箱舟の近くにいるんですから。あんなのが悲劇的なポジションに祭り上げられたんじゃ何も出来ずに死んでいく殆どの人類や、強運だけで乗り切るとはいえ足掻いて足掻いて足掻きまくってる主人公達に失礼です。

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