「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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マイレージ、マイライフ

 マイレージ集めが趣味で「バックパックに入らない物は背負わない」が人生哲学の、家庭を持たずに年間300日超を出張に費やして全米を飛びまわるリストラ宣告人の主人公に、ネット解雇導入で出張全面廃止という合理化案が降りかかり云々というアイロニーたっぷりのコミカル人間ドラマ。主人公のように仕事を愛してないし華麗に旅をこなせないし気軽な愛人もキープしてませんが、不惑を過ぎた独身男としては「オイラの人生って・・・」と身につまされるのでした。

 明日は我が身な製造業勤務でありますしリストラされた経験もあるので当初は主人公を敵視しつつの観賞だったわけですが、主人公の深い人間関係を築こうとしないライフスタイルに共感し機微もわからぬ小娘には反感と、瞬く間に作り手の思う壺に。特に自らの主義に反して結婚に怖じ気づいた妹のフィアンセを説得するくだりには来る物が有りました。こちとら姪っ子が適齢期を迎えてまして、もしも式のスピーチとか頼まれたらと思うとげんなりですから。好きで宙ぶらりん状態にいるとはいえ、支えてくれる家族や友人を着実に減らしながら年輪を重ねてるわけで、色々と捉えようがある終わり方なのにポジティヴに受け取るのは難しかったです。

 そんな個人的事情は別にして、馘斬りという非情の仕事を罪悪感無くドライにこなしながら、デジタルなリストラには否定的という主人公のスタンスが笑えます。単純にマイルが貯まらないから反対ってわけじゃない所がいい。始終フワフワしたコメディなのに結構辛辣で苦い展開なのも良いです。只、終盤の主人公の変化があまりに急ぎ足なことや、ネット解雇の顛末が雑で大事な所の筋が通ってないのが残念でした。

 それにつけてもアナ・ケンドリック。『ジュノ』でも思いましたがジェイソン・ライトマン監督は現代っ子の娘さんをキュートに撮るのが上手いですねぇ。上司ジョージ・クルーニーの恋のお相手はあくまでヴェラ・ファーミガであり、彼女は只の小生意気な新入社員に過ぎず中途半端にフェードアウトしてしまう役なんですが無駄に可愛すぎる。ちみっちゃい躯のスーツ姿には不似合いなはち切れんばかりのバスト、髪を下ろせば子供っぽく泣き方も幼く、ベロベロに酔っぱらって歌う「Time after Time」がこれまたチャーミング。主演の二人がスマートにキメてる大人の男女を的確に演じたからこその輝きもありましょうが、今後の活躍に注目したい若手女優だと思います。まあ、『トワイライト』シリーズの観賞は遠慮したいけど。

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曲がれ!スプーン

 『サマータイムマシン・ブルース』と同じく監督・本広克行×脚本・上田誠で贈る劇団・ヨーロッパ企画の舞台作品映画化第二弾は、能力を隠して暮らすエスパー達が集う喫茶店に紛れ込んだマスコミ女の織り成すハートフル・コメディ。けれど残念ながら前作ほどの出来ではなく、『UDON』などで顕著だった監督のバカみたいに説明過多な特性が強く出ており、恐らくは原作の魅力を大きくスポイルしてしまってると予想。長澤まさみファンにもガッカリな感じで、小劇団系のゆるーい会話が好きな人向けです。

 とにかく、テレビ局のサイキック・バラエティの話と番組担当ADの取材行脚のパートがつまらないです。どうやら本来は喫茶店の中だけで展開するエスパーたちのドタバタだったようで、彼らの会話だけで済まされてたものを膨らまして映像化したのが上記シーンと思われます。主役なのにそんなどうでもいい枝葉を延々と担わされる長澤まさみが気の毒で気の毒で。喫茶店に辿り着くまでの1時間ばかりは完全に蚊帳の外に置かれ、合流後もエスパー達の引き立て役に過ぎず、ビックリするほど見せ場がありません。「番組に出演したエスパー達は不甲斐ないけどきっと本物はいる!」とか「スクープをものにしないと仕事を馘になる!」とかで必死な様子を見せてくれればクライマックスでエスパー達の動機に繋がるんですが、「サンタがいなくて残念」程度の曖昧な想いで仕事ぶりに熱意も苦悩も表れてないのに同情とか応援とか無理ですよ。そもそもサンタはサイキックじゃないし。
 そのクライマックスで殆どの者が特に超能力を必要としない役割というのも腑に落ちません。制約の多い舞台とは違うのだからそこはもっと工夫して全員の力を結集させてくれないと。サイコキネシスの大ネタにしても舞台であれば十分にインパクトを与えられたでしょうが映画にそのまま適用すると間抜けでしかないものですしね。あと、ヒロインがエスパー個々の能力に勘づくようにちゃんと伏線張って理由付けしないと。どうにも緻密さに欠ける印象。

 良かったのは配給規模を考えると信じられないほどの地味で無名な男優陣。うっかりしてると客寄せ用のお笑い芸人を安直にキャスティングされかねないところに、独特の雰囲気があって良い具合に胡散臭く芝居できる実力派を起用できたのは、ドル箱監督の発言力の賜物でしょう。喫茶店でのやり取りにもっと時間を割いてほしいと思うほどに、セリフの掛け合いは楽しく間合いも演劇的でいいアンサンブルでした。嗚呼、そんな中に放り込まれ慣れないコメディエンヌを要求される長澤まさみが重ね重ね・・・。

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モンスターVSエイリアン

 結婚目前に偶然巨大化してしまった女がモンスターを集めた秘密施設に収容され地球侵略を目論むエイリアンに対抗させられるドリームワークスの3Dアニメ。ストーリーではピクサー作品に見劣りするのが常だし、いかにも子供向けでくだらなそうなコンセプトなので、立体映像ならともかくDVD観賞では評価しにくいと思っていたわけですが、蓋を開けてみればなかなかどうして惹きつけられました。ベタなギャグ、王道的展開、天然キャラのモンスター達などの要素はどれも及第点です。とはいえ、本作が琴線に触れる大人は怪獣映画マニア限定であり、ストーリーそのものは予想通り稚拙なのでした。まあ、マイノリティの苦悩とかを真剣にやられても困るんですが。

 予告編を観た時から「巨大フジ隊員アニメ」呼ばわりしていたわけですが、本当に「円谷特撮魂」に溢れていて感激。巨大女の元ネタ自体は別の作品ですが『ウルトラマン』ネタは幾つもありますし、当然『ゴジラ』シリーズも引用されている他、中盤のゴールデンゲートブリッジでの大格闘などに「特撮の神様」リスペクトなショットが散りばめられているのです。その所為で東京の巨大怪獣ネタの展開が安易に予想出来てしまうのが難でしたが。
 本家ハリウッドネタも充実していて、仲間のモンスターは虫と融合した博士、フロリダに現れた半魚人、人食いアメーバと1950年代のゲテモノ映画をオマージュ。エイリアンとそのロボの方も同様です。その他、『未知との遭遇』や『E.T.』などのスピルバーグ映画を始め様々なパロディ・シーンが盛り込まれSF・特撮好きは垂涎です。けど、キッズはもとより引率する親世代も殆ど付いて行けない古典ネタばかりな気がするんですが、アメリカでは祖父母と孫で映画観る習慣でもあるんでしょうか?

 さて、話が薄っぺらい以外の問題は人間キャラの造形にどうにも馴染めない事でしょうか。これは日米の文化の違いではあるんですが、デフォルメに慣れた身にはリアル志向の豊かな表情に拒絶反応。設定の都合とはいえ、肝心のヒロインが男を見る目がなく流されやすいバカ女というのも辛いです。人間以外のキャラクターは魅力的なんですがね。人間以外は・・・。そんな中で気を吐くのは合衆国大統領。エイリアンとのコンタクトで5音目を弾き間違えすかさずバルカンサイン、更に『ビバリーヒルズ・コップ』の曲をファンキーにプレイし度肝を抜いたかと思えば、その後の登場シーン全てで見事なイカれっぷり。ブラックなオチにもシビれました。そこから傾れ込むシルエット・アニメのエンドロールがこれまたハイセンスで拍手喝采。でもマニア以外は楽しむポイントがあまりに少ないよなぁ。

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マンマ・ミーア!

 端から「ABBAじゃなきゃ観ねーよ!」という否定的スタンスだったとはいえ、本当にABBAの曲だけが生命線の映画でビックリしました。既成の曲だけを使って構成されるジュークボックス・ミュージカルということで、話は有って無い様なもので歌に比重に置かれるのは当然なのですが、それにしては肝心要のキャスティングと歌唱力に著しく問題ありなのでした。きっとブロードウェイや劇団四季の舞台版は素晴らしいんでしょうがね。

 とにかく俳優陣の老け具合が気になりすぎます。 主演のメリル・ストリープの確かな歌唱力は『今宵、フィッツジェラルド劇場で』で聴いて知ってましたし、コミカルで弾けた演技に大奮闘なのも認めますが、いかんせん推定年齢40歳前後のシングルマザーを務められるルックスではありません。『母べえ』の吉永小百合以上に無理があります。親友役のジュリー・ウォルターズ&クリスティーン・バランスキーを含めアラウンド60のハイテンション・パフォーマンスがドン引きものなのです。特に凄いのが"Does Your Mother Know" で、老女に群がるギリシャのフェチな若人達というシュールな光景が・・・。更にミュージカルの常識を覆す究極兵器がピアース“007”ブロスナン。その致命的な歌声で奏でる"SOS"にはこっちが助けを呼びたくなりました。ラジー賞獲得も納得です。
 けど、一番残念なのはカメラワークやダンス演出が不出来な事。本作は舞台版演出家フィリダ・ロイドの映画監督デビュー作であり脚本や振付もオリジナルと同じ人が担当してるのですが、舞台の魅力を映画で伝える力量は無かった模様。群舞はバラバラだし、ダンス中に不自然なアップ映像を挟みまくるし、照明の具合も妙に安っぽく。なにより、印象的なシーンが全然見あたりません。

 それでも、とてもハッピーな気分になり元気をもらえる作品なのは間違いありません。ノリだけで突っ走らせるABBAの力は偉大であります。熟女達には少々品位に欠けようと理屈抜きの明るさで誰もを脳天気にさせるパワーがあります。娘役のアマンダ・セイフリードの透き通った歌声も素敵。エンディング・テロップでながれる"Thank You for the Music" には温かい拍手を贈りたくなりました。

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魔法にかけられて

 「アニメのキャラクターが生身になったら」という、どう考えても自爆気味のコンセプトながら意外に好評なこの映画。怖いもの見たさの観賞でしたが確かにこれは楽しかったです。大人にも子供にものディズニーらしいそつのない作りですが、掟破りの徹底したセルフ・パロディが見事。プリンセスの歌声で実写のハト・ネズミ・ゴキブリが集うのにはぶったまげました。しかもハトが、ハトがぱくりと・・・。

 お約束シーンがいっぱいで半端ない動きの伝統的手描きアニメはグラデーションが美しいです。実写映像に切り替わるまでスクリーンサイズが小さい辺りにセルアニメへの拘りを感じました。で、魔女に騙され落とされた「それからずっと幸せに暮らしましたとさ」の無い世界が現代のニューヨークというのも巧い。ディズニー・ファンタジーをリアルでやればとんでもなくバカバカしい画になるしかないんですが、セントラルパークでのミュージカルシーンを観てると「大雪とか大停電にあっさり順応するニューヨーカーなら或いはこれぐらい・・・。」と思わされちゃいます。単純に悪意で皮肉るのではなく、真理は揺るがせずにシンデレラ・ストーリーに仕立て上げる“ディズニー愛”にも脱帽。これはジブリには出来そうもない芸当ですな。

 そしてアニメ世界の人々のキャラ造形が素晴らしいです。お伽噺のお姫様が意外に年齢くってる事実はショッキングですが、エイミー・アダムスの超夢見がちで突き抜けた天真爛漫ぶりはチャーミング。ジェームズ・マースデンも大馬鹿ぶりが最高なナルシスト王子に全てがぴったりです。極め付きは漫画キャラそのままのティモシー・スポール。生身なのにCGのリスより嘘くさいんだから凄いです。一方で、現実世界の住人たる弁護士親娘とその恋人はどうしても地味ですな。

 惜しむらくはクライマックス・バトルからラストまでが妙に淡泊。リスの活躍は中途半端だし、ヒロインを慕う娘が蚊帳の外なのもファミリー路線としてはいかがなものか。ここで子役と動物に活躍させつつ王子達も絡めてもう少し丁寧にロマンスを処理すれば美しいフィニッシュが決めれたと思うんですがねぇ。何故に肝心なところが鹿島と若松の『みゆき』オチ同等なのよ。

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