「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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ターミナル

 政変でパスポートが失効しJFK国際空港のターミナルで何ヶ月も過ごす羽目になる男の物語。どうも評判がイマイチで敬遠してたんですが、蓋を開けてみたらかなり良かったです。物語のテーマは「待つ」ことで、登場人物たちはそれぞれ何かを待ち続け何かを得る。そんなシンプルなエピソードを細かく積み重ねており派手なアクションやCGは無縁な映画でした。感動のラブ・ストーリーのような宣伝をされてましたが、中身はハートフル・コメディ(・・・また日本独自の宣伝か!)。なるほど、それじゃスピルバーグと言う名前に脊髄反射の特撮フリークも泣きに行った客も肩透かしですな。でも面白かったですよ。最初は「人の不幸を笑っちゃっていいのかな?」と躊躇してたけど、コメディだと理解してからはリラックスして2時間夢中で観れました。

 殆んど言葉が通じず、両替できないから無一文という状況でサバイバルが始まるつかみから、やがて空港で働く人たちとの友情が生まれ恋が芽生える中盤までのエピソードはほぼ完璧。全てセットで再現された空港、スピルバーグらしいカメラワーク、トム・ハンクスのユーモラスなキャラ造り、ほのぼのとしたストーリー、どれを採っても見事で感心します。監督はテロと戦争を意識してファンタジーとして撮ってるわけで、あんな空港が実際に存在する筈ないんだけど、それでもあの国のいい加減さのおかげでそこそこリアルな物語に感じてしまうのがいいです。
 だからこそ終盤の詰めが勿体無い。唐突に訪れる恋の結末は中途半端で、敢えてああいった演出にした意図がちょっとわからない。友人達を守ろうとした筈の主人公が最後に下した決断も腑に落ちないです。あれでは友人達はクビになるかもしれないし、主人公が空港に居続けた理由も見当たらなくなります。特に不満なのがラストで主人公が念願の約束を果たすシーン。呆気なさ過ぎ。あれなら友達に頼んで替りに行って貰っても差し障りがないです。あそこのシーンはもっと重厚に描き、そしてジャズ演奏はフルコーラス、友人達の回想フラッシュ・バックに感涙の主人公。ベタでもそれぐらいはやって欲しかったです。本当に惜しい。もっと良くなった感が強いです。

 複数の国の言葉が飛び交う映画なので、吹き替えよりフライト・アテンダントをスッチーと訳す戸田女史の字幕がお薦め。
 あと劇中には60'sアメリカのSFテレビネタとかがちょこちょこ出てくるんでちと薀蓄。

・トワイライトゾーン(1959~65)
 邦題は「ミステリーゾーン」。一話完結で日常と異常の狭間を描くSFドラマ。劇中に出てくる「殺してごめんなさい」、「2万フィートの戦慄」は第5シーズンの傑作。後者はスピルバーグ総指揮の劇場版「トワイライトゾーン」にも登場する。

・アウターリミッツ(1963~65)
 邦題は「ウルトラゾーン」。トワイライトゾーンと同ジャンルのSFドラマだけど宇宙人や怪生物が頻繁に現れるのが特徴。放送時期がかぶるため両者が混同されるってシーンは劇場版「トワイライトゾーン」にもあった。日本の「ウルトラQ」の元ネタでもある。「蟻人の恐怖」は第1シーズンの代表作でザンティ星人が人気。

・スタートレック(1966~69)
 邦題は「宇宙大作戦」。映画化を経て新シリーズが次々と作られている宇宙パトロールものの超メジャー作品。古くからトレッキーと呼ばれる熱狂的ファンを持ち、今ではアメリカの何処かで週に一度は大会が開かれオタク達が集うらしい。
 ジェニーってのはカーク艦長の秘書ジャニス・ランドのこと。第1シーズンのみ出演の端役のくせに人気が高い。「宇宙の巨大怪獣」には出て来ない。

・シェール
 60年代にU2のソニー・ボノと「ソニー&シェール」として活躍した女性ポップ・シンガー。ソニーと離婚した後はソロ活動の傍ら女優として「マスク」「イーストウィックの魔女たち 」等に出演、「月の輝く夜に」でアカデミー主演女優賞に輝く。歌手としても98年に「ビリーヴ」がヒット、近年は奇抜なファッションとエクササイズ・ビデオ事業で有名らしい。

ターミナル DTSスペシャル・エディション ターミナル DTSスペシャル・エディション
トム・ハンクス (2005/04/28)
角川エンタテインメント

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ローレライ

 「第二次大戦末期、東京へ向けた3発目の原爆投下を阻止するため、秘密兵器を搭載した最新型潜水艦イ507は単艦で敵陣に突入する。」と書けば骨太の架空戦記モノみたいですが、実際にはSF要素が強く「海底軍艦」とかの東宝特撮の延長線上にある映画です。

 いやー、ひっどい脚本です。福井晴敏の原作「終戦のローレライ」は「太平洋戦争と潜水艦と女を出す」というオーダーで映画化を前提に執筆されたものですよ。だから映画向けに豊富なエピソードと事細かな設定をあらかじめ用意してあり、どこを切っても金太郎状態になってるんですがねぇ。・・・なんでわざわざ飴を砕いて使うのか。
 別に原作に忠実にやる必要はないですけど纏めるのが下手すぎ。人物描写は薄いし、話の焦点があっちこっちに飛び回るし、原作読んでないと理解できない部分も多すぎです。弄った事で生じた不具合を調整してないから北朝鮮の調査報告並に杜撰な出来になってます。
 思うに福井氏の提示したプロットと監督の思惑に最初から大きなずれがあったのでは。原作の見せ場の大半は敵味方の大量死に彩られてるのに、この映画では「生き残るのは諦めなかった者」とか言って凄惨な場面は極力排除してるんですから。なのに馬鹿丸出しの水兵をあっさり諦めて殉死させるエピソードをわざわざ追加するってどーよ。

 文句ばかりではアレなんで誉める所。ゲームっぽいCGに目を瞑りさえすれば格好いいアングルの戦闘シーンと、役所広司ら実力派俳優の演技力に支えられてそこそこ面白い娯楽作品にはなっています。アイデアは興味深いしテンポも悪くないから退屈はしませんね。ゴジラやガメラと同列のジュニア向きと割り切れば高水準です。どーせならギミックたっぷりの潜水艦発進シーンが欲しかったけど。

ローレライ スタンダード・エディション ローレライ スタンダード・エディション
役所広司 (2005/08/19)
ポニーキャニオン

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トロイ

 三千年前のトロイア戦争を描いたハリウッド伝統の歴史スペクタクル。と、なれば知識不足で話が見えず途中眠くなるのが必定ですが、この映画は3時間近くの長編でありながら全く退屈しなかったです。分り易くスムーズな展開のストーリー、大迫力の戦争シーン、古代ギリシャの雰囲気たっぷりな美術、豪華すぎる男優陣の卓越した演技と褒めるポイントは盛り沢山。女優陣が妙に地味だったり、CGのコピペ感が強かったりしますが許せる範囲です。しかし・・・。

 この映画、ホメロスの叙事詩「イリアス」をベースに神話的要素を極力排除した歴史ドラマに仕立てられてるのですが、なんだか話がひどく薄っぺらい。確かに神々の干渉を除いてしまうとトロイア戦争はこんな展開なんですが、劇中で一つ大きく異なるのが時間軸です。この映画では10年以上の長期戦だったトロイア戦争を1ヶ月足らずの短期決戦に大胆に圧縮。このおかげでスピーディーな進行を生んでいる一方で、馬鹿ばっかのこんな世の中じゃPOISONな話に・・・。
 そもそも「イリアス」はトロイア戦争中のアキレスに関する挿話に過ぎないんで、映画ではこれに戦争の発端やらトロイ陥落やらを付け足して大戦記に纏めてます。「イリアス」の部分(王の理不尽にアキレスが怒るくだりから木馬が登場する手前まで)は割と忠実なのですが、それ以外の部分、特に終盤はかなり強引です。先ず、トロイの増援を駆逐するアキレスの大活躍がさっくりカット。次にトロイ陥落時には戦列を離れている筈のアキレスを木馬作戦に参加させ、有名なアキレス腱の逸話を敢行。でも、劇中のアキレスは不死身じゃないんで別にそこが弱点というわけでもなかったり・・・。
 かくして、アキレスはちょっと私闘しただけで歴史に名を残すほどの活躍もなく、トロイ王はあっさりと国土を蹂躙される無能、ギリシャ王はそんな最弱トロイにわざわざ背水で戦って膠着する迂闊者、全ての元凶たるトロイのボンクラ王子は大金星なのに空気を読めといわれる。うわ、オイシかった役はヘクトルとオデッセウスぐらいじゃん。まあ、面白かったからいいけど。身勝手に付き合わされたトロイの人々は災難だったね。

 あっ、それとオーランド・ブルームが途中で弓使いにジョブ・チェンジしますが、あれは別に「ロード・オブ・ザ・リング」に媚びたファンサービスではなくて原作通りです。ファンの人はいくら情け無い役だったからってここにケチつけちゃダメですよ。

トロイ トロイ
ブラッド・ピット (2005/09/30)
ワーナー・ホーム・ビデオ

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SAW ソウ

 語りたいことは多々ありますが、ネタバレすると価値が半減する種類の映画なのでここは我慢。

 目覚めたら老朽化したバスルーム。足首には鋼鉄の鎖。対角線上にもう一人の男。間には自殺死体……。このノコギリは何に使うのか?

 もう、このコピーでそそる人は四の五の言わずに観る事をお薦めします。奇抜なシチュエイションの冒頭から、回想を交えつつ徐々に明らかになる一人のシリアル・キラー、仕掛けられた残酷なサバイバル・ゲーム。とにかくジェットコースター的スピード感でラストまで一気に畳み込む演出がいいです。実に良質なサスペンス・スリラー。R-15なのでスプラッターだと思って敬遠してる人もいるかと思いますが、実はそんなに怖くないし、実はそんなにグロくもないです。こんなのR指定つけないでいいと思うんですけどね。こういうジャンルは子供を怖がらせてなんぼですよ。

 観客も登場人物同様に正気に戻ろうとすると新たなネタで狂気に引き戻され、一歩先は読めるけどなかなか最後までは詰まさないバランスとタイミングが実に旨いです。伏線のさじ加減も絶妙。そして、脚本がよく練りこまれていて考える余地が多いです。観終わったあと直ぐには穴だらけのオチのように思えたけど、やがて色々と疑問が生じます。矛盾やアラに見えるけど監督がそれに気付かないとは思えない。どんな意図があるのか深読みしたくなり、ジグソウパズルを組み立てるように仮設を重ねていく。全てが明らかにならないから楽しめる、そんな映画です。

 さあ、これでただいま公開中のSAW2を観る為の復習完了。ネタバレ情報を目にしないうちにさっさと観てこようっと。果たして1作目の疑問の答えはあるのか・・・。

SAW ソウ DTSエディション SAW ソウ DTSエディション
ケアリー・エルウェズ (2005/03/11)
角川エンタテインメント

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