「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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シンデレラマン

 大恐慌時代、一人のボクサーが家族を守るためにどん底から這い上がり、史上最大の番狂わせを演じ「民衆の星」となる実話を元にした伝記映画。要するにボクシング版の「シー・ビスケット」です。もっとも、あちらは明確に最強馬を目指してたけど、此方は必ずしも世界王者を狙っていたわけじゃないんですが。

 直球ど真ん中のスポ根感動モノに見せかけて実は手元で少し変化してる映画です。ポイントは主人公が夢見るボクシングバカじゃないこと。主人公J.ブラドックはかつてはライトヘビー王座に挑戦した事もあるベテランですが、彼がボクシングをするのは生活のためであり、失業者が溢れかえった時代に日々の食事にも事欠く中で家族を養うために必死に生きた労働者の一人に過ぎません。他に稼げる仕事にありつけたならボクシングを辞めていたに違いない、地位や名声に憧れてアメリカン・ドリームを成し遂げた人達とは一線を画する人物です。
 恵まれた体格のブラドックですら日雇いの肉体労働にありつけるのは稀ってのはシビアな状況です。現代日本では生活のためにボクシングを捨てたりするのに、この映画ではボクシングの試合が出来なくなって生活が破綻するんだから物凄いです。普通のハングリー精神とはちょっと違う、3人の子供の人生を背負って闘う父親の、自分の生き方を真摯に貫き通す姿勢が感動的。

 そんなワケで、前半は貧窮に喘ぐ失業者時代のドラマが非常に道徳的に描かれてて興味深いんですが、後半のシンデレラ・ストーリー、噛ませ犬からヘビー級挑戦までのボクシング・シーンがやや冗長に感じました。生涯成績86戦51勝26KOから判るとおりブラドックはKO率の低いボクサーであり、大半の試合が打たれ強さ任せの判定決着だというのが原因だと思います。色々趣向を凝らして盛り上げてるんですがヨレヨレ判定勝ちばかりだとどうしても演出が苦しくなります。特典の実録映像を観るとかなりリアルに再現してるのは判るんですが、リアルだからこそ泥仕合なワケで・・・。
 それと、対戦相手の世界王者マックス・ベアって、若くて強くてルックス良しでコミカルなファンサービスに派手なKO劇とスターの要素をまとめて持ってる人なのに、なんで人気がブラドックに集中したのかが納得できませんでした。ラフファイトや好戦的な言動はボクサーの芸みたいなもんだし、彼も裕福な出自では無さそうなんですが。判官贔屓ってアメリカにもあるんですかねぇ。

シンデレラマン シンデレラマン
ラッセル・クロウ (2006/01/25)
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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交渉人 真下正義

 「踊る大捜査線」シリーズのスピンオフ企画第1弾。最初に断っておきますがマピールさんは「踊る~」の映画はおろかTVのエピソードすら1本も観た事がありません。つまりシリーズを知ってれば楽しめるネタが全く通じていません。だから、この怒りは見当外れかも知れませんが、国民的娯楽シリーズなのにこの映画が全く受け入れられません。世間がコレを許容してる事に衝撃です。マピールさんは心が狭いので、今回はネタバレしようともこの狂った脚本の愚痴を書き連ねようと思います。
 なんでこんなに憤っているかというと、東京の地下鉄で神出鬼没の無人車両が暴走するという前半のプロットの出来が良かったのでうっかり期待してしまったのです。それが後半では地下鉄を放ったらかして客を舐めてるとしか思えない設定の数々を見せつけられ、「警察関係者全員が勘で動いてたらなんとなく事態が収拾しちゃった」なんて話に。真面目に鑑賞してたのがバカみたいじゃないですか!





 とりあえず、この地下鉄会社はヤバ過ぎです。運行システムがダウンしても地下鉄を手動で走らせ続ける理由がサッパリ解りません。「止めると連鎖的にぶつかっちゃうから」ってのはありえない。それじゃ、テロなんか無くても乗降時にトラブっただけで大惨事じゃないですか。
 まあ、その後のシーンで別路線との相互乗り入れはしてない事が判明するんで、止められないってのは広報が嘘の説明をしたって事も考えられます。しかし、それだと乗客ごと列車を留置線に入れたり、停車駅を通過させたり、封鎖駅を拵えたり、爆発が起きたり、SATが駅構内をうろちょろするような状況において、乗客の安全よりも運行を優先させ続ける説明がつきません。
 しかもSATごとホームが吹き飛ぶ事は容認しちゃう優秀な地下鉄マン。狙撃作戦が展開できるほど走行ルートが読めてるんなら、罠を仕掛けて特定区間に閉じ込めればいいじゃないですか。留置線も脇線もあるのに。
 JR西の事故で過密ダイヤが批判されてる最中に、こんな綱渡り運行を正義と考える地下鉄会社を天晴れな職人のように描いた映画を平然と公開した配給会社は肝が据わっていたと思います。

 そして交渉人の不思議。この男、何の役にも立ってないです。元々、役に立たないキャラなのかもしれませんが。これなら「踊らされる交渉人」ってタイトルにすればいいのに。
 先ず犯人の目的は色々苦労してヒントを聞き出してたけど、前半のヒントは無意味だし、放っといても犯人は全容を喋る気まんまん。しかも情報ゼロでもボレロケーキと座席番号だけで勘が良ければ最終ターゲットが何処か判るし。初手から爆弾使ってるから当然爆破を疑いますよね。徒労感溢れる仕事振りに拍手です。
 んで犯人の説得は最後まで失敗。っていうか、全く説得はしてません。一応お願いしてみている程度。この時点で交渉人失格です。終いには任務を弁えず司令室から飛び出して、しかも特に活躍はしない。大団円してないで恋人にチケットの入手経路ぐらい訊けよ、犯人から送られた可能性が高いんだから。もう、こんな奴の責任をとる上司が可哀想です。
 唯一突き止めたのは最後の起爆方法ですが、携帯電話で起爆信号をターゲット→暴走車両→ターゲットというルートで送るという、わざわざ車両を経由する意味が不明な作戦をなんで見抜けたのかが謎です。普通は爆薬に起爆装置が設置されてるわけですが、何故爆薬が発見できてないのにその可能性を排除するのか。しかも犯人が異常を察知して直接起爆できる可能性を指摘しながら、なんでホール内はモニターしてないと判断できるのか。本当にプロの書いたシナリオなんですか、これ?
 この際、携帯電話を使って地下鉄を操作とかは目を瞑ってもいいですよ。でも天才ハッカーで映画好きのオタクだからってだけで爆弾を作ったりあちこちに忍び込むスキルをもってる理由にはならんでしょ?そこらを交渉人のテクと絡めて説明付けるのが脚本家の仕事なんですよ!

 そして犯人の正体は不明のまま。それまで延々とプロファイリングしてきて、犯人に辿り着いた時点でわざわざ犯人の存在自体に矛盾を生じさせた挙句、何も説明をつけないまま終わりって・・・これは手抜きでしょ?しかも、この結末だと事件は未解決のままです。自分の恋人まで巻き込もうとした犯人が生死不明だったらすっごく不安だろうに真下正義はメンタルが強いですね。
 世の中には確かに破綻で終わって許される作品もありますよ。でも、それはお話が物凄く面白い時に限られるんですよ、特にミステリーでやる時は。全く製作陣の絶大な自信に呆れるばかりです。
 西村雅彦・石井正則・小林隆と古畑任三郎の警官トリオを脇に揃えるんだったら、ついでに脚本も三谷幸喜の手を借りて欲しいと本気で思ったのでした。

交渉人 真下正義 スタンダード・エディション 交渉人 真下正義 スタンダード・エディション
ユースケ・サンタマリア (2005/12/17)
ポニーキャニオン

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ルパン

 ルパン生誕100年を記念して製作されたフランス映画。物語のベースとなっているのは「カリオストロ伯爵夫人」です。日本ではロリエコジジイのアニメが圧倒的に有名ですが、あの話とは無関係というかコッチが元ネタ。ちなみにカリオストロ伯爵には更に元ネタがあって、マリー・アントワネットの時代に実在した錬金術師です。彼は「王妃の首飾り」と呼ばれる歴史的事件で失脚するんですが、この首飾りをモチーフにルパン・シリーズ「女王の首飾り」が書かれ、そのエピソードがこの映画の冒頭の少年時代シーンの原作だったりします。
 マピールさんは少年期に南洋一郎のジュニア向けシリーズ30巻を読破したり、リライト前の原作も数冊読んでますんでルパン物への思い入れは深いです。でも世間的には名作とされる「カリオストロ~」って話が個人的にはあまり好きじゃないんですよ。これ駆け出し時代のルパンが三つ巴の闘いの中で2人の悪党にコテンパンにされる話なんです。シリーズの売りである華麗な謎解きや大胆なトリックとは程遠い、荒削りで浅薄な若さ故の過ちルパンなんですな。ちなみにマピールさん好みなのはルパンがドン・ルイス・ペレンナを名乗って活躍する一連の愛国冒険モノです。ちょっとマニアック。

 この映画はコアなルパンファンがニヤリとする小ネタが盛り沢山なのですが、シリーズの良いとこ取りに力を入れすぎるあまり、前後のつながりに無理があったりテンポを悪くなったり、はっきり言って中だるみしまくりで退屈でした。まあ、フレンチ・ムービーにしては眠くならなかったですが。ラストは原作を知らない人にとっては謎でしかありませんし。痛快な冒険譚を期待すると痛い目を見ます。勿論、子供向きではありません。
 少年期のエピソードは設定変更が激しいですが、ヤング・ルパンがカリオストロ伯爵夫人ことジョゼフィーヌに鍛えられ立派な怪盗に成長する前半の流れは思ったより原作に近かったです。令嬢クラリスと悪女ジョゼフィーヌに瞬速で二股のルパンとか、クラリスを押し倒して妊娠させちゃうのも原作どおりですが、クラリス嬢が積極的にたらしこむ姿には唖然。ジョゼフィーヌは妖艶なんだけど二十歳の男をメロメロにするのはちょっと無理がある気が。いくらなんでも40歳代はオバハン過ぎです。
 問題はオリジナル要素が増える後半でジョゼフィーヌの原作設定をわざわざ否定してオカルト設定にしてあったり、もう一人の敵・ボーマニャンの裏設定にサプライズがあったり。面白い設定だったけど残念ながらまとまりが悪く話が入り乱れ過ぎでした。催眠術とかやり過ぎだったと思います。ボーマニャンとの対決は裏設定を活かしきれない消化不良の結末でしょんぼり。ここが事実上のクライマックスで、ジョゼフィーヌとの結末は続編「カリオストロの復讐」のモチーフを中途半端に頂いたグダグダの蛇足でした。不必要に人が殺されすぎるのも違和感。

 目を瞠るのは美しい装飾品の数々とベルエポックのパリ。たぶん時代考証は嘘ですが美しい衣装が次々とお目見えして面白いです。もっともシルクハットに夜会服で片目にモノクルという一般的ルパン標準服は原作には登場しないんですけどね。
 あと、日本語吹替のカリオストロ夫人の声が不二子ちゃんなのは笑いました。

ルパン ルパン
ロマン・デュリス (2006/04/07)
角川エンタテインメント

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頭文字D THE MOVIE

 日本の漫画を香港映画化ってのはいいとして、何故に律儀に舞台を日本のまま作ってくれたのかよく解りません。峠道でカーチェイスを繰り広げる若者達の映画は、ロケ地は原作どおり群馬、カースタントは高橋レーシング、だけどヒロインを除くオールキャストがチャイニーズであり使用言語は広東語という、なんとも珍妙な一品です。まあ、日本で作る「西遊記」の逆パターンなんですが。
 でもB級臭い雰囲気に反し、殆んど『インファナル・アフェア』シリーズのスタッフ&キャストという豪華作品です。主役の人はV6の井ノ原君みたいな顔してますが。

 マピールさんは全巻読破するほどの原作ファンでありますが、『頭文字D』として観ようとするのは早々に諦めました。ドラマ・パートはいかにも香港映画なベタなコントが繰り広げられ、登場人物ほぼ全員の性格が激しく変更されてるんだから仕方ないです。
 しかし、1本の青春映画として観ても色々と問題が。先ず、主にコントを担当するキャラたちに比べると、バトルでしのぎを削るライバル達の個性が妙に弱いし魅力がないです。それに主人公がバトルにのめりこんで行く過程も曖昧。エンジン乗せ換えでタイム・アップし過ぎな上に主人公が挫折し努力する部分がごっそり抜けてるんで成長を感じられません。つーか、最後まで主人公は親父さんの思惑通りに踊らされてるだけです。原作でも賛否が分かれたヒロインとの恋愛話を更に劣化させて中途半端なところで終劇したのも理解しがたいです。

 しかし、舞台が峠に移ればCGとは段違いの迫力の実写ドリフトがたっぷり楽しめます。夜の峠道という映画向きとは言い難いシチュエーションでありながら、凝ったアングルとインパクトのあるヴィジュアルを駆使して変化をつけ原作の走りを見事に再現してます。必殺・溝落としの表現はちょっとやり過ぎ感があるものの、驚愕のカウンター・ステアに高速シフトチェンジの超絶ドライブ・テクニック目白押し。カーアクションは醍醐味抜群です。残念なのはキャラごと削られてしまって黄色のFDの勇姿が見れない事。原作じゃ最強のライバルなのにひどいや。
 そして豆腐屋の親父の怪演も注目。扮するは“香港のアンソニー・ホプキンス”こと性格俳優アンソニー・ウォンです。とにかく常時酔っ払ってるダメ親父が並々ならぬ存在感を放ち、気がつくと実質主役を張ってるんだから本来は堪ったもんじゃ無い筈なんですが、ドラマ部分もそこそこ楽しめるレベルになったのはこの人のおかげです。多謝。
 それにしても、主人公が南葛のユニホーム着てたりするのは日本向けサービスのつもりなんでしょうか。援交女子高生ヒロイン・鈴木杏のミニスカ&水着は完全にサービスですが。

頭文字[イニシャル]D THE MOVIE スタンダード・エディション 頭文字[イニシャル]D THE MOVIE スタンダード・エディション
ジェイ・チョウ (2006/02/15)
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ

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