「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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戦国自衛隊1549

 栄えある「2005映画秘宝トホホ10」の1位作品。秘宝の1位ってのは只のワーストとは一味違うんですが、世間的には割りと本気で酷評されてるっぽい。困ったことにマピールさんはこの映画がかなり楽しめたんですが・・・。
 やっぱ覚悟の違いでしょうかね。トホホと思って観るのとシリアスなSFミリタリー時代劇と思って観るのとは訳が違いますから。でも、この作品が続編でもリメイクでもなくちょっと着想を得ただけってことと、平成ゴジラの手塚昌明監督にオタク系軍事小説を得意とする福井晴敏ってことが解ってれば、この着地点は予想の範疇と思うんですがねぇ。皆、何をそんなに興奮してるのか。

 戦国自衛隊という題名がついてますが、これを旧『戦国自衛隊』と比較して怒るのは間違いです。内容はトンデモSFアドベンチャーの金字塔『タイムライン』の無断リメイクといっていいので、アレと比較して笑うのが正しいやり方。微妙な活躍の主人公&ヒロイン、不思議設定のSF要素、派手だけどドラマ的には呆気ない戦場シーンに時間制限の緊迫感を感じさせないクライマックスと酷似しながら、タイムラインの見せ場だったサブ主人公のラブ・ロマンスとかはこっちでは薄味。あのバカ映画の良いところを削り悪いところはそのまま残すという暴挙に惜しみない拍手を贈ります。

 自衛隊全面協力で戦車もヘリも借りれたし演習場なので火薬も派手に使えるし、その為に舞台が固定されたという大人の事情はあるけど戦国ならやっぱ信長でしょっていうノリが笑えます。1549年だと信長は尾張すら未統一で跡目も継いでないし、もちろん美濃の斎藤道三の家臣が富士の裾野をうろちょろしてるわけも無いけどお構いなし。多少の不一致では未来は変わらないという設定を便利に使ってやりたい放題です。全篇に渡って「ちょっと待て!」「有りかよ!」「それでいいのか?」の連発で予想のつかない強引な展開を見せながらもやがて在り来りの結末へ。一応「未来に責任を持って現在を生きろ」という福井氏お得意のメッセージは示されてますが、主人公やヒロインからも散っていった戦士達からもそんな信念は伝わって来ません。

 アクション・シーンは流石のゴジラ監督、自衛隊が完膚なきまで敗北していく描写が見事です。交戦を想定していながら不意打ちを喰らった形の敵に何故かあっさり捕まる緒戦にしても、相手の信じられない無策になんとなく奇襲が成功する終盤戦にしても、こんな間抜けな作戦行動と激弱の描写ばかり続けて協力した自衛隊が怒らないのか心配になる一方的なやられっぷり。時代劇の攻城戦としても近代兵器の交戦としても戦術的に不可解なシーンばかりですが、格好よく戦闘を見せる画を撮る腕はあるので製作費以上のスケールの映像になっています。ただ、自衛隊が派手に散る横で合戦に見せ場がない武者達が哀れですが。役者は武者側ばかり目立つんですがね。

 結論として、脚本は酷いし武士団VS自衛隊の野戦はないし主演俳優の演技は男女とも疑問符ですが、インスパイアを笑う心の余裕があれば最後まで飽きずに観れます。問題はタイムラインを観ている客がどれだけ居るか怪しいという事ですが。いっそ福井氏についてるオタク層を狙って『ダンバイン』のオマージュにすればよかったのかも。

戦国自衛隊1549 通常版 戦国自衛隊1549 通常版
江口洋介 (2005/12/22)
角川エンタテインメント

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セルラー

 突然、おばさんは謎の男達に誘拐される。監禁部屋の電話は不自然にハンマーで粉々に破壊されるが頭のいいおばさんは根性で即座に復元、たまたま繋がった携帯電話の持ち主である頭の軽そうな若者にSOS。こうして正義感だけは強い能天気な若造は無関係なおばさん一家の命運を背負うことになる。電話が切れたらお終いという状況で・・・。

 巻き込まれ型のシリアス・サスペンスかと思ったら、ノリは明るくコミカルなノンストップ・アクションでした。開始からおばさんの拉致まで3分足らず、主人公にヘルプが入るまでで10分程度とバカみたいに展開が速いです。95分全篇をアップテンポで突っ走りながらギャグやカースタントなどの娯楽要素が適度に散りばめられ、ストーリー・テリングの巧みさに唸らされられるスリルの連続に的確な伏線回収。徹底的に携帯電話という小道具の使い方にこだわった逸品です。万人ウケ間違いなし。おばさん一家の命運よりも、動くたびにどんどん犯罪を重ねていく主人公にハラハラして仕方がなかったですが。後半にはおばさんも結構な重犯罪に手を染めるのだけども。

 B級感漂う映画ですが、監禁されるおばさんは『LAコンフィデンシャル』の“見返り美人”オスカー女優キム・ベイシンガー。アレから10年、ビックリするほど老けてて手とか凄いことになってます。実質の主役は新人の携帯青年の方だと思いますがエンドクレジットの頭はこの人の名前です。警官役や犯人役も実は主役級の人材を揃え、そして主人公の恋人とはいえ殆んどどーでもいい役にジェシカ・ビール。無駄に豪華です。
 細かいことを言えば、旦那さんの行動が不可解だったり犯人達の行動がかなり間抜けだったりするし、「近所に居る人の携帯にかかって良かったね。」という根本的な問題もあるんですが、面白かったので許します。
 リダイヤルが公衆電話にかかったシーンがちょっと謎だったんですが、恋人が何度も電話したって言ってたからそのせいかな?彼女は携帯持って無いって設定なんですかね?

 端役の弁護士さんは日本語吹替がいい感じでした。ただキム女史の吹替は酷いです。あんな悲鳴じゃいたずら電話だと思ってとっとと切りますよ。

セルラー セルラー
キム・ベイシンガー (2005/08/26)
アミューズソフトエンタテインメント

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オペラ座の怪人

 これは『シカゴ』のような舞台版と一線を画したミュージカル映画ではなくて、舞台に観に行けない人や日本の某劇団のは駄目だと思ってる人がブロードウェイの雰囲気を楽しむための映画です。だからDVDで観たのは失敗でした。大画面・大音響じゃなきゃダメな種類の作品。セット替えの時間を省いたことも映画化のメリットですが、セットの変化こそが舞台の醍醐味なのでデメリットでもあります。映画でやる意味は薄い気もしますがオペラが好きな人向け。

 全篇にわたって唄いまくりのオペラ調、音楽ジャンルはネオ・クラシックなのでかなり人を選ぶ映画だと思います。マピールさんはロイド=ウェバー版のミュージカル『オペラ座の怪人』のCDを持ってたりする人ですが、それでもこの映画は退屈で長く感じました。オープニングのオペラ座のCGが素晴らしく、気合を入れて観始めたんですが途中で息切れ。字幕で追い続けるには歌唱シーンが多すぎるし、台詞が少ないのでメリハリが利かないです。テンションの高い曲調と相まって集中力が持ちません。英語の素養があれば大分違うと思うんですが。単純なストーリーなんで字幕を無視してぼやっと聴く感じでヴィジュアルを楽しんだ方が良かったかもしれないですね。もう一度観直す気にはなれませんが。

 マピールさんはあの有名なメインフレーズを聴くとピンク・フロイドを思い出す特殊な人なので当てになりませんが、このジャンルが大丈夫な人なら楽曲は文句なしでしょう。駄目な人には同じテーマの繰り返しで飽きると思いますが。
 ただ、ファントムが“音楽の天使”にしてはオペラっぽくない歌唱法なのが気になりました。他のキャストがオペラやミュージカルのキャリアを積んでるだけに見劣りします。特にスローな曲は厳しい。声質は良いんですがね。
 一方、演技の方ですが、ヒロインのイメージがちょっと・・・。エミー・ロッサムはオペラ出身で唄はいいんですが、基本的に現代風のアクティヴでキュートな役柄向きで古風で清楚な演技はイマイチです。表情に気品が足りないし胸元が目立ちすぎるので優柔不断の尻軽女に見えました。ファントムも格好いいのはいいんですがマスクをとっても醜くならないのがマイナス。あれでは怪人の孤独が伝わらないですよ、まるで逆切れストーカーです。子爵は容姿端麗で誠実な青年まんまで歌唱力も見事、ただし印象は薄いです。

 結論。ロック好きのマピールさんには同じ原作の『ファントム・オブ・ザ・パラダイス』の方がしょうにあってる。この映画も猫が立って踊る舞台よりは数段面白く感じましたが。

オペラ座の怪人 通常版 オペラ座の怪人 通常版
ジェラルド・バトラー (2005/08/26)
メディアファクトリー

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バタフライ・エフェクト

 これは最高に面白かったです。何が起きてるのか解らない導入部から、精神がおかしくなりそうな病んだ映像、複雑で衝撃的なストーリー、悪趣味な笑いとスリル満点のサスペンスと切ないラブ・ストーリーが混在するダーク・ファンタジー。かなり強引な展開を見せ緻密とは言い難いのに、開始からぐいぐい引き込まれ圧倒されました。クライマックスの連続で高いテンションを維持する脚本の完成度が素晴らしいです。とにかく先の読めないところがこの映画のセールス・ポイントなので予備知識無しで観た方がいいです。以下も重要なネタバレはしないけど未見の人は読むのはここまでにして観賞することをお薦めします。

 凄いのは脚本だけじゃなくて、役者の頑張りもたいしたものです。作品の特性上、主要キャストは色々演じ分ける必要があり、社交クラブから底辺まで、善人にも悪人にも、果ては痩せたり太ったりまで要求されるのです。さらに幼児期と少年期で子役が4人×2セット必要なんですが、そっくりなだけじゃなくて彼らも難しい演技をこなしてるのです。
 エキストラに服役中の受刑者を起用して本物の刑務所で撮影したり、実際に麻薬常習者がごろごろ居る場所に撮影に行ったり、変なところにリアル志向。特殊効果を多用しながら低予算に泣かされ、それでも尽くアイデアで乗り切る。この若い2人の監督兼脚本家の今後が実に楽しみです。

 まあ、上で絶賛しておいアレですが、ダメな人には全然受け入れられない映画な気もします。直接表現じゃないけどチャイルド・ポルノとか、ホモにフェラとか、障害者の自殺とかタブーとされる描写が一杯なんで不快な人もいるでしょうし、コアなSFファンはバタフライ・エフェクトという割りに因果関係がハッキリしすぎてる点や細かい齟齬やハッタリ気味の伏線が許せないでしょうし。

 このラストのせいで6年も脚本を暖めることになったという「結末が全く異なるディレクターズカット」の方も面白かったです。ハリウッド的な結末にすることで監督側が折れてやっと契約にこぎつけたっていうから、これは最初から劇場公開の可能性が無い監督のこだわりでDVD用に撮られたエンディングですね。通常版についてるアウトテイクとは全く別物です。
 この物語は要するにマルチエンディングのアドベンチャーゲームの構造になっていて、何処かのフラグを弄っていくたびにバッドエンドを迎え、そのたびに主人公も観客も精神に大ダメージを受け事態が深刻化していくのですが、初見から劇場公開版のラストはパンチが弱いと思ってました。それまで生死に関わるやり取りを繰り返して来たのに、最後だけ払うべき代償が少なすぎるんですよね。ディレクターズカット版はその点を満足させる破滅的な結末で強烈でした。例によってタブー表現なんですが。
 でも、どちらのエンディングを選ぶかと言うと、やはり劇場版で正解だったと思います。オアシスのStop crying your heart outって選曲が絶妙というか卑怯。結構、普通の結末なのにあのBGMで強引に感動の波にさらわれました。

バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション
アシュトン・カッチャー (2005/10/21)
ジェネオン エンタテインメント

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香港国際警察 NEW POLICE STORY

 やっぱりハリウッドの連中はジャッキー・チェンの撮り方を解ってなかったと痛感させられた香港クオリティの快作です。ここ10年間では間違いなくベスト。見事な体当たりアクションを披露するジャッキーが帰ってきました。

 ジャッキー率いる警察の精鋭チームが凶悪な犯人グループに壊滅に追い込まれ、屈辱と失意でジャッキーは酒浸りの日々、そこに前向きな若い相棒が現れて・・・という、序盤の典型的バディ・ムービーな展開に、ジャッキーも遂にアクションは若手に譲ってサポートに徹する時が来たかと思いきや、中盤からいつも通り孤高のエース振りを発揮。流れるような格闘シーンでは他の俳優とまるで違うレベルの「受け・止め」技術に驚かされました。
 ストーリーもこの辺からヒートアップが始まり、リアリティより豪快さが売りの香港テイストで、銃撃戦・カーアクション・無駄にデカイ爆発・カラフル小物が散乱するバトル・お約束の転落と詰め込んで最後はきっちりNG集で締めます。NG集の前には本編なんて刺身のツマなのが香港アクションの醍醐味。さすがに命綱ついてるけど当然ジャッキーはスタント無しでトライなのです。ビルから落下するジャッキーに魅了された中学生が腹の出たオッサンになっても、依然としてジャッキーはビルから落ちて精神年齢中学生並みのオヤジを喜ばせてるんだから驚愕です。

 だけど、両手を挙げて喜んでられるほどの傑作ではないのも事実です。ストーリーのあちこちに綻びがあるのはご愛嬌として、シリアス路線で行くなら徹底的に猟奇的なテンションを保つべきだったと思います。話が進むに従い犯人達はスケールダウンしていくし、警察は面子をかけて捜査に当たっているにしては馬鹿過ぎて迫力がありません。中途半端にコミカル・テイストが混ざるのも緊張感が薄れる原因です。最終的に爽快でもなければ哀愁も漂わない、ただアクションを堪能したってだけの映画になってます。たぶん、香港若手スター豪華勢ぞろいなんでしょうが、悲しいかなジャッキー以外見るべき所が無いですし。
 そして、ラブ・ストーリー。もう、そこは若手に任せていいんですよ。部下の姉と婚約してるなんて設定はどう考えても40歳前後までの配役です。そこに50歳過ぎのジャッキーが収まるのは無理ありすぎ。素直に親子設定じゃダメなんですか?

香港国際警察 NEW POLICE STORY (通常版) 香港国際警察 NEW POLICE STORY (通常版)
ジャッキー・チェン (2005/08/26)
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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