「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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忍 SHINOBI

 普通なら絶対セレクトしない種類の作品ですが、ワースト映画を決める「2005文春きいちご賞」の冠が載ってしまったので気乗りしないまま観賞。うん、予想通り何所にでもある駄目な日本映画、わざわざ賞を与えるほどの物じゃない凡作です。一言で済ませば「あっさり薄味」です、あらゆる面で。

 一応の原作は、イリミネーションマッチで最後に生き残った者勝ちという現在ではどこの少年漫画誌でもやってる手法の雛形的作品『甲賀忍法帖』です。甲賀五人衆と伊賀五人衆の総力戦、忍びの者とは思えないみっともない装束に、忍術というより妖術なイロモノ集団が繰り広げる超絶バトル。
 B級映画好きとしてはバカらしい演出であればあるほど望ましいアクションシーンに期待したのですが、これがどうにも物足りないです。キャラ描写もなくバトルで魅せる暇もなくざくざく犬死する忍者達。こんなに「燃え」も「悲哀」も「艶気」も「滑稽さ」も薄いどーでもいい死に方が揃うと圧巻ではあります。これは演出の責任。
 アクションそのものもチープかつ低難易度ですが、このキャスティングはアクション監督イジメみたいなもんなんで仕方ないのかも。

 さて、『甲賀忍法帖』といえばバトル以外に『ロミオとジュリエット』の要素があるわけで、本作はそっち方面重視で明らかに『LOVERS』を狙ってるのですが、アレが手に負える力量を持つ日本人監督が存在するわけもなく、雰囲気をなぞる程度でなにやら気まずいことになっています。
 戦闘シーンを不自然に詰めてまで拵えた恋愛パートなんですが、信じ難いことに恋愛描写が見事なまでに皆無です。濡れ場はもとよりキスシーンすらありません。愛憎劇が描けてないどころか、とても愛し合ってるようには見えない二人なのでした。無理に原作付きにして中途半端にアクションするより、オリジナルのラブ・ストーリーをじっくりやった方が役者に合ってたと思うのですが、オダギリジョーと仲間由紀恵を揃えながら何でこんな事に。

 あー、良かった点は・・・。えっと、だらだら長引かせず上映時間101分は好感でした。後半の脚本がダメダメなせいで長く感じましたが・・・。それから、えっと、そうそう映像は綺麗でしたよ、風景は。ただ衣装が安っぽい上に背景とマッチしないんで映像美にはほど遠かったけれども・・・。あと、主役は2人とも時代劇調の台詞が下手で実力以上に大根に見えたけど椎名桔平が演じたキャラは良かったです。一人だけ不必要に頑張りすぎで痛々しかったですが・・・。うーん、あっ!知名度のある『甲賀忍法帖』を敢えてタイトルに使わなかった潔さは評価に値します。ああ、助かりました、手放しで褒めれる所があって。

SHINOBI SHINOBI
仲間由紀恵 (2006/02/18)
松竹

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アイランド

 これは近未来SF大作を期待した人とマイケル・ベイ映画を期待した人では大きく評価が分かれそうです。勿論、泣きをみるのは前者。ストーリーそっちのけのスペクタクル満載でカットつなぎもお構いなし、それがマイケル・ベイ。考証よりもアクション優先、とりあえず激突と爆発はお約束、必然性という言葉は無い、それこそがマイケル・ベイ。

 そんな訳でSFコーナーに陳列されているだけで迷惑なこのアクション映画、しかし、その序盤は70年代の本格SFを彷彿する展開を見せ、作風を知ってる者はマイケル・ベイのくせに生意気だとか思ってるだけなんだけど、深遠なドラマや緻密な設定を期待したSFファンが己の過ちに気付くのには1時間近くかかるという凶悪な代物です。キューブリックとかならそのままダークなハードSFになるかもですが、これはベイ監督の映画なのでここから本領発揮の大味アクション三昧なのでした。
 かといってベイ作品フリークがお腹一杯になるかというとそうでもなく。原因は意外に纏まってる事、これに尽きます。いや、荒唐無稽の大破壊アクションもクラクラするカメラワークも希薄なストーリーも健在なんですけどね。でも想像できる範囲の事しか起こらない。決定的に破綻したバカ映画を期待してる者にとっては肩透かしなのです。普通に面白いありきたりのハリウッド映画なんですがそれじゃ物足りない。

 それにしても激しく死人が出る映画でした。秘密裏に解決したい筈の追っ手が警察と繰り広げる凄まじすぎる銃撃戦、積荷が落ちても気にしないで走り続ける運ちゃんが素敵なド迫力カーチェイス、網でキャッチすれば死なない理論の超高層落下アクションなどなど、無垢なだけに容赦の無い主役カップルと大雑把な元特殊部隊のせいで犠牲者が続々・・・。ラストも無駄にスケール感を強調して感動的に見せかけて誤魔化してるけど、どう考えても幸せな結末とは思えないブラックなシーンで、あの先に悲劇的な展開と死体の山を想像してしまうのでした。
 それと、劇中の企業が商品の欠陥に迅速にリコールを決めて不良品を廃棄処分ってのを観ながら、「カリキュラムで自己犠牲精神を刷り込めばリコールを避けれるんじゃ?」とか、「オーナー以外の直ぐ必要な人にパーツ売りすればかなりの損害額を回収できるんじゃ?」とか、企業の人よりもよっぽど鬼畜なことを次々と考えてしまうマピールさんの倫理観も問題だと思いました。

アイランド アイランド
ユアン・マクレガー (2005/11/25)
ワーナー・ホーム・ビデオ

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亡国のイージス

 原作既読の立場で言いますと凄くストレスの溜まる映画でした。プロットは面白そうにみせながら中途半端な描写でスケールを矮小化しています。原作の長さからいって大幅に切り詰める必要があるのは解るんですが、「何を残して、どうやって繋ぐか」という判断が常人と違う感覚なのですよ。見せ場が悉くカットされる一方で謎の水中キスとかは残ったりしてるわけで、これが予算の都合とか自衛隊同士の殺し合いがマズイからとかじゃ説明がつかない纏め方なのです。まるで原作小説の予告編の様で、各所に「原作を読めば明確になるよ。」というメッセージが潜んでいるようでイラつきます。

 最大の問題は人物描写を端折りすぎてることです。原作未読だと主要キャラの行動原理が不明瞭どころか誤解されても仕方が無いレベルで説明不足。信念の為に悲壮な決断をした筈の叛乱側の動機がまるで伝わらないし、反攻に転じる主役コンビも場当たりで抵抗しているようにしか見えません。吉田栄作の役とか何のために出てるのか解らないし、女工作員とか意味不明すぎる。それで官邸周辺の事なかれ描写だけは妙に丁寧なんですよね。

 折角本物のイージス艦を借りたのに殆んど活かせて無い艦上戦闘といい、クライマックスに向けてちんたらと進む流れの悪さといい、この監督にアクション映画のセンスはありません。アクションの肝心なところをスローモーションにするのも戴けませんね。極めつけはラスト付近でそれまでのテンションをぶち壊しにする爆笑演出で、これで原作への思い入れのない雇われ監督と確信するのでした。
 それでも見応えがあるのは日本アカデミー常連を揃えた豪華な男優陣がいい台詞を吐いてることと、本物の船内や航行シーンがリアリティを与えているおかげでしょうか。断片的な人間ドラマのシーンはよく描けてるのですよ。アクション重視だと『ザ・ロック』や『ダイハード』に似るのは目に見えてたんで、問題提起ドラマに注力する手もあったんじゃないかと思うのですが、どっちつかずになっちゃったのが残念です。

 これで2005年に吹き荒れた原作・福井晴敏の軍事映画を三作とも観たことになりますが、いずれも丙丁つけがたいです。どれも見た目はそこそこだけど脚本・演出がイマイチで、テーマを深追いしないし虐殺描写は避けるしで無難な作り。どの話もリセットしようとする者とそれを阻止しようとするものの対決で、この手の話は敵味方容赦なく皆殺しのシビアな展開から突如として夢と希望を若者に託す力技で収束させるのがロマンチックなのに。・・・それじゃ富野由悠季だけども。

亡国のイージス 亡国のイージス
真田広之 (2005/12/22)
ジェネオン エンタテインメント

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フォーガットン

 とにかく物凄い珍作だと言う評判だけは耳にしてたけど、母子ものサスペンスはヒステリックで苦手という事で敬遠してた作品。ようやく誰もが「マピールさんは絶対観るべきだ。」と口を揃える理由がわかりました。
 例によって『シックスセンス』を引き合いに宣伝が行われてたんで、どんでん返しは終盤だと思って油断してたら中盤で仰天展開。サスペンスドラマが盛り上がってきたところだったんで完全に意表を衝かれました。ミスディレクションを警戒し頭を捻りながら真面目に観賞してて、「これ妄想や夢オチ以外でどうすんの?」と思ってたら、いきなりズバコーンッ!!って人が、人がっ・・・。

 広げた風呂敷の下には遥かにでかい風呂敷が敷いてあったという釈迦の手のひらの悟空の気分。嗚呼、風呂敷のたたみ方なんて小さな事はどーでも良かったのです。凄い反則技。いや、よく考えると『ミステリー・ゾーン』とか往年のTVシリーズで使われてたパターンなんですが。

 B級好きとして超絶展開は許せるんですが、前半の秀逸な出来に比べ後半のお話がヘボなのが残念。それに、ただでさえクライマックスの緊迫感・恐怖感が足りないのに、時々バッヒョーンッ!!の壮絶な演出で爆笑させられるのがなんとも。まあ、この衝撃映像だけがこの映画の価値なのですが。内容的には60分の尺で充分なものを無理に90分にした感じでした。終盤にもうひと捻り欲しかったです。

フォーガットン フォーガットン
ジュリアン・ムーア (2005/11/02)
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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