「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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シムソンズ

 最近流行りの寄せ集めの素人がなんか凄いことやっちゃう系青春映画。ちょっとしたキッカケで始めて、最初メタメタで、ワケありの凄いコーチがついて、内輪揉めして、強引に仲直りして、再始動後はいきなり実力アップという、掃いて捨てるほどあるヤツです。この映画はものの見事にこのパターンで、対象スポーツはトリノ五輪の「カー娘。」旋風が記憶に新しいマイナー冬季種目・カーリングであります。先日のパシフィック選手権は男子4位・女子3位でしたね。

 この物語は実在したチーム「シムソンズ」がモデルのフィクションです。「チーム青森」の小野寺選手と林選手がかつて在籍していたソルトレイク五輪日本代表チームが「シムソンズ」なのです。つまりこの映画は和製『クール・ランニング』なんですね。
 ホタテとタマネギとカーリングの町・北海道常呂町を舞台に、氷上のチェスに青春をかけた卒業目前の同級女子高生4人組の友情をライトタッチで描きます。トリノの頃に得た知識では小野寺さんと林さんは中学からチームメイトだった筈なのでストーリーのかなりの部分が脚色だと思いますが、たぶん選手の性格とか彼女らを鼓舞するメンタルな部分は現実に近いんじゃないかと推測。小野寺・林の両選手をモチーフとした2人(残念ながら脇役)が妙にベタベタと仲が良かったり、ひとり突っ走るリーダーの娘が現実でもさっさと結婚引退してたりしますし。

 実にオーソドックスな演出で、予想外の展開も無いし、台詞も青臭いし、演技もアイドル映画の域を出ないのですが、つくりが丁寧でテンポも良く、キラキラの北海道とキラキラの4人娘がきっちり撮れてて、くだらないギャグでドン引きさせることもなく、素朴で暖かく萌えも燃えも充分で泣かせも上々。要するにバランスが絶妙です。意外な良作。
 ただ、カーリングは常呂中学校が日本代表を負かしたりするスポーツではありますが、それでも初心者が確変に入って快進撃って展開にするにはプラスアルファが必要に思えました。劇中でわざわざ「練習すれば出来るってもんじゃないっ!」って云わせておいて友情パワーだけで押し切るのはどうかと。それに、体育の授業や町内会行事で親しまれているスポーツと説明しといて主人公達がルールもろくに知らないって設定は不自然。さらに勝利至上主義の娘があんな素人集団とおとなしくチームを組む理由も弱いです。コーチが叩かれてるのも理解できません。一般人ならともかく競技者ならセルフジャッジの紳士的スポーツって知ってるだろうに。この辺り脚本で何とかなったんじゃ無いですかね。
 まあ、常呂町とカーリングのPRには充分に貢献してるし、女の子達が元気で可愛いってことで細かいことは許しましょう。ただ、カーリング特有の試合途中のほのぼのおやつタイムが無いのは残念。アレは目茶目茶キュートな光景なのに。

シムソンズ 通常版 シムソンズ 通常版
加藤ローサ (2006/07/28)
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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Mr.&Mrs.スミス

 あー、予告編を見て想像したまんまのお話の映画でした。ブラピとアンジーの豪華スター競演アクション・ラブ・コメディという、お気楽映画として求められるお洒落で楽しくゴージャスで派手という要素はきっちり抑えているのでなかなかの出来映え。予想外にアクションも多めでしたし。捻りも無いスカスカのストーリーでしたが意外と酷くなかったです。

 「倦怠期の夫婦は互いの正体を知らぬ殺し屋同士で、やがて真実を知り生死をかけた夫婦喧嘩が・・・」というのは、奇抜でも斬新でも無いけどやっぱり可笑しげなプロットだと思うんですよ。実際、カーチェイスの真っ最中に繰り広げられる夫婦喧嘩あたりまでは面白かったんです。だけど、テーマになるべき「愛」の描写が足りませんでした。なんとなく主人公達が元の鞘に収まってインパクトが無いし、仲直りのタイミングを中盤に持ってきたせいで終盤は完全に失速しちゃいました。もっとロマコメして2人の絆を強調しても良かったのに。
 もうひとつの問題は主役2人以外は誰も話の本筋に絡まないのでスパイスが利かない事。2人の喧嘩に巻き込まれていつも悲惨な目に遭うキャラとか和解しかけた2人を掻き回すキャラとか欲しかったです。ハイテク美女軍団ももっと後半まで活躍させたかったし。特にダメなのは明確にボスキャラが示されて無い事で、そのせいでラストバトルはクライマックスにならずに尻切れに。オチさえマトモなら良作なのに勿体無いです。

 だから、普通なら屑脚本のダメ映画なんですよ、間違いなく。ところが役者がピッタリと嵌まるものだからそれなりに観れちゃうのです。てゆーか主役二人を魅せるためだけにこの映画は特化してます。そして、その試みは概ね成功と云わざるを得ません。アクションも美形を格好よく撮るという1点において文句無しです。お洒落でセクシーな美男美女がたっぷり堪能できますし会話も洒落てます。特に前半は丁寧に夫婦の性格の違いと微妙な距離感を演じてました。ただ、もっとバカっぽく弾けてみて欲しいのに、どのシーンも絵になり過ぎてしまうのが難ですがね。とにかく二人の演技は最高なのでお話への興味なんてとっとと葬り去って画を楽しむのが吉です。

Mr.&Mrs.スミス プレミアム・エディション Mr.&Mrs.スミス プレミアム・エディション
ブラッド・ピット (2006/04/05)
ジェネオン エンタテインメント

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男たちの大和 YAMATO

 伝説の『北京原人』を撮ってしまったが為に地に堕ちた巨匠・佐藤純彌監督でしたが今回は熟練の手腕で汚名返上。極めてオーソドックスな戦争映画で、いかにも東映らしい王道的古めかしさが漂ってますが、殊更に特攻を英雄視するでもなく極端に無駄死にを強調するでもない、つまり思想的に偏っていない普通の老若男女にドンピシャのエンターテイメントを作り上げました。垣間見せる程度の軍隊批判のスタンスで青春群像や母子・恋人達などの人間ドラマを魅せる作品で、アクションや特撮を期待する人には不向きです。久しぶりにマトモな戦争モノの邦画を観れました。

 参謀や艦長ではなく機銃座や烹炊所の下士官にスポットを当てたドラマ展開になっているのが日本映画にしては珍しいです。あくまでも下士官の視線なので雲上人の幹部や大和の全景、僚艦の姿、敵軍などの描写を控え、舞台は予算一点投入の見事な大和左舷甲板周辺のセットだけにほぼ限定(米軍は左舷に攻撃を集中したから)。スケール感は落ちますが下手にCGでゲームっぽいロングショットを拵えるより良かったんじゃないかと。絶望的な物量の敵が見たいなら『父親たちの星条旗』(観賞済、良作)でも観ればいいんだし。いいじゃないですか『男たちの大和・・・の対空機銃』で。弾幕といえば左舷ですし、うん。

 戦闘シーンは、撃たれて息も絶え絶えになりながら大物役者がたっぷり見得を切って死ぬような場面は殆んど無くて(東映なのに!)、手足が千切れて肉片が飛び交うほどにはリアル過ぎないレベルで凄惨にあっさり死んでいく兵士たちが出色でした。少年兵の死があまりにあっさり過ぎて誰が誰だかわからなくなるのが難ですが。
 丸刈り痩せ型の少年兵たちや下士官向けルックスの中村獅童だけじゃなく期待してなかった反町隆史もちゃんと当時の海兵に見えてて良かったです。でも、「男たちの・・・」といいながら儲け役は女性陣にごっそり。特に蒼井優が光ってましたが、泣き要員・寺島しのぶが少ない出番ながら存在感たっぷりで実に東映的だったのが印象深いです。

 だけど間に挟まる現代劇部分がいかんともしがたいのです。原作未読なんでよく解らないんですが、戦艦大和の生き残りの《あまりにも若すぎる》養女に乞われ大和が沈んだ場所まで船を出すことになった漁師が偶然にも義父の戦友なんて無理な設定が必要だったんでしょうか?更にその道すがら、養女が船酔いに苦しんだり漁師が心臓病で倒れたりしつつ切々と60年前の回想が進む不自然さ。しかも回想部分とのつなぎが上手くシンクロしないので全体がぶつ切りのエピソードの羅列になりリズムを損なってます。シニア層のトイレ対策で中座しても話が繋がるシーンを意図的に入れてるのであれば拍手ものですがね。

男たちの大和 / YAMATO 男たちの大和 / YAMATO
反町隆史 (2006/08/04)
東映

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プロデューサーズ

 ミュージカルは嫌いじゃないし下品な笑いも平気な筈ですけど、残念ながらマピールさんにはこのコメディが理解できませんでした。『ヤング・フランケンシュタイン』とか『新サイコ』はいけるのでメル・ブルックスがダメってわけでも無いと思うんですが、この映画では始終醒めっぱなしで。大絶賛してる人も多いので完全に好みの問題なんでしょうけど面白く無かったです。申し訳ない。

 メル・ブルックスといえばパロディなのに元ネタの知識が浅すぎたのがいけないのでしょうね。ブロードウェイ・ミュージカルやアメリカン・コメディの歴史、ショービズ界の慣習なんかがわかってないので意味がサッパリでした。ナチスやゲイのブラック・ネタも当時のアメリカ富裕層の感覚が上手く想像できないから厳しかったです。たぶん、「たいして面白く無い作品でもブロードウェイでは大ヒットする」という風刺なんだろうけど、マピールさんにとっては、まさにこの映画が「たいして面白く無いヒット作」なので洒落になりません。
 楽しめなかったもうひとつの原因は言葉の壁。オカマ言葉や訛りを用いたギャグ、ダブル・ミーニングや韻を踏んだ歌詞などが多用されてる気配なのですが、字幕じゃいまひとつ伝わりません。往年の広川太一郎さんみたいに強引に日本向けに変えて吹替してくれというのは高望みにしても、DVDなんだから日本語吹替をちゃんと付けて欲しかったです。

 パロディがわからない、言葉遊びもわからないとなると、歌とダンスを楽しもうという事になるわけですが、個人的には思わず口ずさんじゃうような耳に残る曲が無かったです。これはミュージカルとしてはかなり痛い。どんなミュージカルでも大概1曲ぐらいは好みの歌があるんですけどねぇ。
 ダンスは流石に見応えがあって、ゲイのダンサー達のシーンや劇中劇「春の日のヒトラー」が特に良かったです。でも、足元が見たいシーンでバスト・ショットが多いんですよ。あと、基本的にデブやゲイが踊るんで華が足りません。戦車は素敵でしたが。期待の綺麗どころユマ・サーマンの登場が遅い&踊りが意外に鈍重なのが残念。ボディ・ラインは素晴らしいのに。

プロデューサーズ コレクターズ・エディション プロデューサーズ コレクターズ・エディション
ネイサン・レイン (2006/10/04)
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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THE有頂天ホテル

 ホテルの中のみという限定空間と新年を迎えるまでのリアルタイム進行という時間的制限により完成した舞台では再現不可能な舞台劇。役者多数が出ずっぱりの群像劇を得意とする三谷幸喜ならではの小ネタ満載バックステージものコメディです。20人超の主要人物が入り乱れながらも各役者さんに見せ場があり、「自分に正直に生きる」というテーマにそれぞれの物語がきちんと整理されるのも見事で、当代随一の脚本家ならでは。映画的な演出はもうひとつですがね。

 三谷監督お得意の長回し多用も生瀬勝久・浅野和之・堀内敬子など脇にまわって映える実力派の役者さんが揃ってるので見応え充分でした。オダギリジョーの意外な使い方とか驚かされたというか初見ではオダギリだと気付かなかったです。YOUもどーでもいい役かと思いきや凄い儲け役でビックリ。でもMVPは絶妙のタイミングで自らバンダナを脱いだアヒルのダブダブですね。そして裏MVPは未公開シーンの主役・西田敏行。ノーカット版「天国生まれ」のシーン他、アドリブがいちいち凄すぎなのです。

 三谷監督も三作目にして舞台と映画の折り合いがついてきた感じですが、サービス精神旺盛すぎて後ろの方でも目立ち過ぎになってる点や、ワンシーンワンカットにこだわるあまり抜くべきショットが抜けてないシーンも散見し、まだまだ改善の余地ありです。スペシャル版の未公開シーン集を観ると画面の隅の方どころか見えてない所でもキャスト陣は演技しまくってるわけで、別ヴァージョンで1本作れそうな勢いで捨てカットが発生した模様。最初から同時に使えないのをわかってて複数の長回しシーンを一つに編集したりするから、熱演が殆んど使われずむごいことになってるキャストもいて可哀そうです。

 「観終わって直ぐ忘れるようなその場限りの笑い」と批判する人も居るけど、最近の三谷監督は意図してそういう笑いを追及してると思われます。自分の劇団で書いてた頃はハチャメチャな複数の事柄をひとつに収斂させて最後に西村雅彦が孤独感を漂わせながら捨て台詞吐いてほろりとさせて幕でしたが、最近は登場人物をそれぞれにちょっとだけ成長させながらもドラマチックじゃない位置に敢えて着地させてる。カタルシスが弱めなので肩透かしに感じる人も居るでしょうが、核のないストーリーで2時間超をつなぎ余韻もなくサッと終わって「いろいろあって面白かったな。」ぐらいにしか頭に残ってない映画なんて簡単に作れないですよ。三谷監督は間違いなくそれを狙ってやってます。

 いつも監督の語りが面白いんで期待してたんですが、今回のコメンタリーは聞き手がイマイチで盛り上がりに欠けました。スペシャル版のメイキングやインタヴューも過去2作のおまけに比べてパンチ力不足で若干割高感がありますね。ペーパークラフトがついてたり、クネクネダンスが観れたりもするんですが。

THE 有頂天ホテル スペシャル・エディション THE 有頂天ホテル スペシャル・エディション
役所広司 (2006/08/11)
東宝

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