「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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守護神

 クライマックスの告白タイムでニューヨーカーを爆笑の渦に巻き込んだ『LIMIT OF LOVE 海猿』じゃなくて、劇場版1作目の方の勝手リメイクかと思うほど物語構造が酷似している本作。パクリというより同じ方法論で作ったら似ちゃったってとこですかね。つまり、『トップガン』『愛と青春の旅立ち』等の名作から露骨に良い所取りしていったら、結果として『フルメタル・ジャケット』風味のマッチョな『海猿』になってた感じ。
 どこかで見たようなエピソードの羅列ではありますが、なかなかどうして楽しめちゃうのが困りもの。沈みゆく巨星と昇りゆく新星の交錯という師弟モノの定番展開を軸に描かれるレスキュー・スイマーの“ 正しき資質”の継承はベタだけど心に響きます。演出が丁寧なので訓練シーンも救助シーンも説得力のあるものになっています。やっぱり、マトモに事故を描いたり、沿岸警備隊に対してしっかりと敬意を払うのが正解なんですよね。

 難点はあまりにも色々なネタが盛り付けられてるところ。ラブ・ストーリーはハリウッド映画の必須事項だから混ぜるなとは言いませんが、唐突にならないように工夫していただきたいです。他にも、ケヴィン・コスナーのトラウマとか熟年夫婦の危機とか海軍とのケンカとか余計な要素で引っ張りすぎ。訓練シーンももっとスリム化できた筈。特にアシュトン・カッチャーの実戦デビュー・エピソードは丸々不要だったと思います。あんな不自然な展開させなくても終盤に繋がるのに。

守護神守護神
(2007/06/20)
ケビン・コスナー、アシュトン・カッチャー 他

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ドリームガールズ

 モータウン・サウンドが好きな人にはたまらない作品です。ナンバーが抜群にグッド。逆に言えば昔のR&Bに興味のない人だとかなりキツイ内容じゃないかと。そこがクリアできれば、音楽映画に近いのでミュージカル嫌いの人のアレルギー反応は弱そうです。

 ポップ・ミュージック・シーンの偉大なる「モータウン・レコード」が大発展する60~70年代を下敷きにしたミュージカルの映画化。天才創業者ベリー・ゴーディ・Jrとダイアナ・ロスが在籍した3人組女性ボーカル・グループ「ザ・シュープリームス」の逸話をベースとしたフィクションであります。ストーリーは浅く予定調和的ですが、権利関係がいい加減で白人優位のこの時代のショービズ界バックステージものとして面白いです。

 ドラマ的には実在の偉人がモデルなのに社長さんの役回りがネガティヴなのがショックだったんですが、役者的にはビヨンセ・ノウルズが可哀想なポジション。あえて「ビヨンセ天晴れ!」と強調しておきたいですね。役柄的にはジェニファー・ハドソンの印象が強烈過ぎて主演女優として割を食ってる上に、彼女の役は「歌唱力で劣りながらルックスでメインに選ばれるシンガー」なので本職の歌手のスキルでジェニファーに勝つわけにも行かないのですよ。よくぞ、こんなオファーを受けたものです。
 儲け役のジェニファーは助演女優賞総なめも納得の新人らしからぬ存在感。加えて卑怯な体格。中盤の山場をはじめ要所を彼女の抜群の声量が占めてます。本業じゃないジェイミー・フォックスやエディ・マーフィも吹替え無しでかなり頑張ってて、エディのジェームズ・ブラウンの物真似は最高でした。ジェイミーは『Ray』のレイ・チャールズのイメージが強すぎるのが難点。

 ところで、和製シュープリームスといえば「キャンディーズ」。振り付け、衣装に加え楽曲も一部モータウン路線を狙った節があるように思うんですが、センターをスーからランに変えてブレイクって所までパクリとは恐れ入りました。目立たない3人目とかもよく似てますな。ただ、こっちの3人は非常に仲が良く、事務所の了承無しに3人だけで解散を決めて「普通の女の子に戻りたいっ!」ってやっちゃうんだけど。

ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション
ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ 他 (2007/06/22)
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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幸せのちから

 「全財産21ドルから立ち上がった父子の奇跡の感動作」という、実話に基づくアメリカン・ドリームもの。コピーが激しくネタバレなのですが、そこから想像するような定番のサクセス・ストーリーとはちょっと違ってました。なんというか、研修で見せられる教育ビデオに強引に親子愛要素を挟んだみたいな印象です。あの手のセミナーの啓発映像が大嫌いな上に、主人公が目指すのが証券会社のトレーダーって事で個人的にドン引きに。マピールさんは常々、投資とかで電話してくる見知らぬ輩を「地獄に落ちろ!」と思ってますから。

 それを抜きにしても、どうにも主人公に感情移入できないので困りました。最初の破綻が歩合制セールスマンの悲劇というより自業自得の投機失敗に思えるし、主人公の行動も頭がいいのか悪いのか謎。確かに頑張って成功を掴み取ってるんだけど、それで家庭は崩壊してるわけで美談とは程遠いと思いました。特に納得いかないのは、女房に置き去りにされたのではなく協議の上で息子を手元に残していること。無給の主人公ではなく定職のある母親に親権があることは自明でありながら、息子の意思でもないのに主人公が引き取る無責任さに腹が立って仕方なかった。父親がいないで辛い思いをした経験から息子には同じ思いをさせたくないといえば立派ですが、母親も家も無い状況に息子を追いやってちゃ説得力がないです。
 原作が自伝とはいえ視点が主人公に固定されてるのも旨くない気がします。実話を基にしてるのに胡散臭いご都合主義の物話に見えるのは、子供のために必死で生きる主人公を客観視する存在がいない為でしょう。あまりにも一匹狼で不自然。事実がどうあれ映画的には、ビジネスに関わる人々が主人公の熱意と息子への愛に魅かれたという流れにした方が良かったんじゃないかと。後半の母親のぞんざいな扱いも残念。

 そんなこんなで主人公の生き方はあまり心に響かなかったのですが、実の親子共演の甲斐あって「父と息子」のシーンは自然で心温まるものが多かったです。それと、走りまくるウィル・スミスと街の風景のマッチングも素晴らしい。ウィル・スミスという役者は本当に走る姿が絵になる人ですな。

幸せのちから コレクターズ・エディション 幸せのちから コレクターズ・エディション
ウィル・スミス.ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス.タンディ・ニュートン (2007/07/25)
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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トゥモロー・ワールド

 人類に子供が生まれなくなって18年がたっている2027年が舞台のリアルでシリアスでショッキングなSFアクション。60年代後半の反体制活動を描いたみたいな暗い映画なのですが冷徹な傑作です。邦題のB級臭さに騙されちゃいけません。いつ死んでもおかしくない荒廃の世界を体感できる作品。観終わってみるとストーリー自体は大した事ないんですが、臨場感が図抜けていて独特の緊張感が心地好いです。驚異的長回しに見えるよう編集された緻密な画面構成に舌を巻きますよ。
 注意点はディティールを気にし過ぎないこと。子どもが誕生しなくなった理由とか、英国以外の世界情勢とか、謎の人権団体の正体とか、気になることは多々ありますが最後まで答えは明示されません。そこに横たわるのは「状況」だけです。設定大好きなSF者には辛いところですが謎解き映画じゃないと割り切るしかないです。これは大人の寓話なのです。

 とにかく「これ、どうやって撮ったの?」というような見た事のないカットがたくさんあってカメラワークとかに拘る人には垂涎の映像です。一言で言うと「滑らか」。圧巻は6分を越えるクライマックスの市街戦における長回しで、銃弾と砲撃をかいくぐりながらビルの3階まで昇る主人公をレンズに付着する血糊もそのままにカメラで追いまくるんですが、実際は1階建てだったという脅威の編集技術。DVDで何度もチェックしたけどつなぎ目が何所なのか判断できませんでした。冒頭の爆破テロシーンと中盤の車内映像も必見。数多あるCG合成も違和感なしです。随所で光る脚色の妙技をたっぷりと味わいましょう。
 しかし、個人的にはテクニカルな撮影よりもブリティッシュな空気に酔いましたね。宗教対立から成るアイルランドとの紛争・テロの歴史とか保守的でクールで動物好きな国民性とかね。全共闘世代じゃ無いんでヒッピー文化やラブ&ピースはよくわからないし、英国特有のシニカルな笑いも正確な理解は難しいのですが、雰囲気は伝わってきます。なにより音楽のセンスが好み。劇伴にはマーラーやショスタコーヴィチ等のクラシック、挿入歌は60'sブリティッシュロック中心。『クリムゾン・キングの宮殿』が流れるシーンでのピンク・フロイドのアルバム『アニマルズ』のオマージュ(バタシー発電所に飛ぶ豚)はプログレ・ロック・ファンには嬉しいサービスですが、英国だと万人にわかるネタなんでしょうか?
 ところで、こんな状態になっても争う人間を見ながら「このままだとイデが発動しちゃう!」とか思ってたオタク脳な自分にちょっと悲しくなりました。

トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション
クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア 他 (2007/03/21)
ポニーキャニオン

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