「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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007/カジノ・ロワイヤル

 大ヒットしたピアース・ブロスナン主演シリーズを完全スルーしたので『リビング・デイライツ』以来20年ぶりの007シリーズ観賞であります。ロジャー・ムーア以降のジェントルで派手だけど大味で弱そうなボンド像が嫌いなショーン・コネリー派としてはタフでクールでワイルドなジェームズ・ボンドに期待大・・・と思ったら、こいつヤクザですよ、ヤクザ!

 こんなチンピラのボンドは見た事がないです。最初の殺しがステゴロから洗面台で溺死のコンボ!やりすぎてMに呆れられる・八つ当たりする・女に金をせびる・自棄になる!!従来の甘く洗練された紳士のイメージは全くないです。しかも、今回は若き日のボンドといいながら設定年齢は四十歳間近。分別がないだけでやっぱりオッサンです。
 しかし、素晴らしい。荒唐無稽の度合いが下がり過ぎて007を観ているんだか何だかという気にはなりますが、マッチョでふてぶてしくて腕っ節の強いボンドを断然支持します。ダニエル・クレイグの必要以上にシリアスな雰囲気が秀逸です。先代の『カジノ・ロワイヤル』はナンセンス・コメディだったのに。
 ボンド・ガールも従来のゴージャスでグラマラスなイメージを払拭し、コケティッシュな知的美人だけどさりげなくエロいエヴァ・グリーンを起用。『ルパン』に続き、またも反社会的職業に勤しむ駆け出しがコテンパンにされる話のヒロインです。相当男運が悪いですな。とはいえ人物描写はかなりしっかりしていて刺身のツマでは終わらない扱い・・・なんだけど、そのせいで終盤がちょいと長過ぎ。男の視点だと凶悪な拷問シーンでへとへとになっちゃうんでロマンスの行方とかわりとどーでもよくなっちゃいまして。

 アクションの見せ場は一杯有りますが冒頭の追いかけっこが好きです。やってることはジャッキー映画なんですが、追いかけるボンドの方が身体能力が劣る上に顔が強面で悪のターミネーターにしか見えないので困ります。ちゅか、観る者を釘付けにする凄いスキルの逃亡者がストーリーには殆んど絡まない只の下っ端ってのはどーかと思います。
 空港でのカーアクションでは肉弾戦をたっぷり仕込み、『ホステル』ばり拷問シーンでは歴代のボンドには絶対ない見事な裸体を披露するなどリニューアル版007の特徴が前面に出ているシーンも良かったです。ただQの秘密兵器は無いしボンドカーもアイテム置き場扱いで目立たないのは残念でした。大袈裟なギミックはいらないけど超小型発信機ぐらいしかハイテクがないのはそれはそれで寂しいものです。
 それと、話の中心に位置するカジノのシークエンスはフロップ・ポーカーの一種である「テキサスホールデム」のルールがわかりにくいので予習をお薦め。しかし、資金繰りに困ってポーカーで巻き返そうって小悪党もダメダメですが、そいつを負かして追い込み&お金はちゃんと回収してねっていう英諜報機関の命令もかなりダメです。両者揃ってすってんてんという可能性は微塵も考慮されてません。まあ、一番ダメなのは生け捕りの命令をすっかり忘れてる主人公ですが。
 本作は余裕のない荒削りな新人から冷静沈着なプロフェッショナルに成長していくボンドを描いてるわけですが、長期シリーズ化の懸念事項は、この男が成熟し完成したら行き着く先は007よりも犯罪組織スペクターの幹部のが近いってことでしょう。できれば、ずっと成長しないでほしいですねぇ。

007 カジノ・ロワイヤル (初回生産限定版)007 カジノ・ロワイヤル (初回生産限定版)
(2007/05/23)
ダニエル・クレイグ; エヴァ・グリーン; マッツ・ミケルセン; カテリーナ・ムリーノ; ジュディ・デンチ; ジェフリー・ライト; ジャンカルロ・ジャンニーニ

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ロッキー・ザ・ファイナル

 シリーズを全く観たことが無い人でも理解できるストーリーと直球のメッセージの非常にシンプルな映画です。だがしかし、『ロッキー』シリーズに思い入れを持たない人には古臭く説教臭いだけであまり意味のない作品。完全なファン・ムービーです。しかも徹底的に1作目のオマージュで、サバイバーの曲の方が燃えるって輩も用無しです。これはロッキーの30年に見合うそれなりの年輪を重ねた、何かのために戦う時に頭の中に『ロッキーのテーマ』が流れる漢のためだけに作られた映画なのです。

 シリーズ中に世を去った老トレーナーのミッキーと宿敵で親友のアポロに加え愛妻エイドリアンも既に他界している設定のため、ロッキーと関係の深い人物は息子と義兄ポーリーぐらいとかなり苦しい陣容なのですが、1作目で説教しただけの不良少女リトル・マリーを登場させる荒技で60歳の現役復帰とチーム・ロッキーの人間ドラマに持って行っちゃたのに感心しました。強引ですがそれなりに納得のいく展開なのが良かったです。
 疲れたオヤジ丸出しで「そうそう、ロッキーはバカにされて無視できるような大人じゃない」「そうそう、奴はジャマイカが何所にあるかなんて気にもとめない」と肯き続ける100分間。愚直に困難に立ち向かい休まず前に進み続けた男が燃やし損ねた最後の何か。「人生はどんなパンチよりも重い!」「心だけは年をとらない!」等の魂を奮わせるベタな台詞の数々と、『ロッキー1』を忠実に踏襲する中で郷愁と共に想起させられる受け入れざるを得ない「老い」に胸が熱くなります。リアリティなんてくだらんものは気にしちゃいけません。村田兆治が未だ140キロのストレートと落差20cmのフォークを披露できるように、イタリアの種馬には可能なんですよ。生卵、精肉工場での練習、そしてフィラデルフィア美術館前のロッキー・ステップを駆け上がり闘える肉体を手に入れるのです。異議は認めません。

 悲壮感漂う壮年男の過ぎ去りし栄光の人生の決着に否応なく被るのは、“ラジー賞20世紀最低主演男優”シルヴェスター・スタローンの生き様。冷戦時代のマッチョ・ヒーローは今何を想い何を求めているのでしょうか。ちょっと頭が足りない殴られっぱなしの男・ロッキーは何度でも立ちあがりました。スタローンはまだもがいてます。ファンの「もう充分だっ!よくやった!そのまま寝てろ!!」との叫びを背に、それでも彼は『ランボー4』の撮影に・・・。やれやれ、こっちの結末も感動的になるといいのですが。
 あと、同じように殴られっぱなしで再チャレンジとか謳ってた空気読めない人はこの映画でも観て元気だして下さい。

ロッキー・ザ・ファイナル (特別編)ロッキー・ザ・ファイナル (特別編)
(2007/10/05)
シルベスター・スタローン

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DEATH NOTE 後編 the Last name

 死神が増えた時にはヤバイ方向にはみだして行くのかと不安になりましたが、ストーリーの良さを武器にテンポよく走り続け想定以上に面白かったです。無駄に巨大な遺影とかの謎演出はそのままですが、CG始め前作での不満がかなり解消されていましたね。なにより淡々としすぎていた物語のドラマ性が向上した功績が大きいです。ミステリーとして頭を捻るのを諦めてボヤッと観ているべき作品だと学習済ですが、やっぱりそこは簡単に割り切れないんでストレスが溜まりましたが。

 前編のラストで少年誌の主人公にあるまじき非道を行ったためか、物語の主導権は謎の探偵・Lにシフト。飄々として面白すぎる特異なキャラクターと殆んど直感に見える推理でいい味を出してます。松山ケンイチの好演は特筆ものでしょう。キラ・藤原竜也も巧みに演じてますが、この役は天才なんだかバカなんだかわからないのが損です。また、初登場のバス広告が不自然すぎてこんな重要キャラとは思ってもみなかった戸田恵梨香の嘘臭さが意外なスパイスになっていたのも興味深かったです。演技と演出のマイナス同士が掛け合わさってキャラクターの魅力が上昇する奇跡。特に必要ないのに披露される女性陣の美脚オンパレードにも惜しみない拍手を送ります。さすが、日活出身監督。

 『何所でも監視カメラ』という大技で安楽椅子探偵に近い捜査を成立させたのは見事。これは本格ミステリーでも滅多にない事ですよ。Lとキラの直接対決は説明台詞の応酬が妙に可笑しいし、両者の大胆な計略は意外性があり満足度がとても高かったです。論理破綻して行く正義とそれに踊らされる危険というテーマもよく描けてました。
 惜しむらくは前編との整合性が駄目過ぎって所ですよねぇ。「今までのキラよりも頭が悪すぎる」「犯罪者以外をいとも簡単に・・・」って言葉にまるで説得力が。犯罪傾向からズレを導くほど一貫した基準では絶対に殺してなかったと思いますし。ミサに「どうしてそこまで?」と問うほどの重い理由をキラ君が背負ってないのも失笑ものですね。ついでに言えば、せっかく冒頭にルールをまとめたのにノートの所有権がどうたらとか後付けしちゃうのも伏線ってモノがまるでわかってないです。
 あと、スマートじゃないのは死神に頼りすぎなところですよね。後継者を捜させたり嘘をつかせたり。そこはキラがお膳立てしたりフォローしたりしないと死神のミスで破綻する可能性が。とにかく簡単に埋めれる粗が多いです。大オチにしたって切り札を読めなかったと言っちゃったばかりに決死の行為に必然性が無くなってしまっていて、あそこは“読めてはいるが防ぐ手立てが他にない”という事にした方が良かったと思います。
 でも一番気に入らないのは[一年後]でして、キラも死神も確信していた大前提が最後の最後で崩壊。全く意図が解りません。

DEATH NOTE デスノート the Last nameDEATH NOTE デスノート the Last name
(2007/03/14)
藤原竜也、松山ケンイチ 他

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DEATH NOTE 前編

 とっくに地上波放送済み作品を今更観賞。原作漫画は主要キャラの絵ぐらいはわかるけど内容は全く把握してません。2ちゃん系のサイトとかで時折みかける「えるしつているか」の意味が今回やっと解ったほど。聞こえてくる原作ファンの評価は概ね「まあ、こんなもんだろ。」と漫画実写化に珍しく肯定的なようですが、無知な人間の視点から感想を。ちなみに後編はまだ観てません。

 一番面白いと思ったのは主人公キラの性格設定。この自称天才君、短絡で視野が狭く人の意見に耳を貸さない上におせっかいで、善意が暴走して本末転倒になっていく。炎上系ネットイナゴに必ず混ざってる自分に甘く他人に厳しい独善タイプですね。誤認逮捕や誤報の可能性もあるのに情報を精査せずに突き進む辺りも釣られ易いネット言論界に象徴される現代の若者の風刺としてよく出来てます。
 ただ、あまりにも幼稚に描きすぎなのが勿体無いですが。圧倒的優位な位置から追い詰められてもいないのに動いてはボロを出すループってどうなのか?しかも作戦が穴だらけ。例えばバスジャックの件。尾行を指摘してた奴を犯行一味と疑う流れからして変なのですが、細川茂樹は日本人だし身分も名前も偽って活動してる可能性の方が遙かに高いです。「実は私はFBI」って言っても胡散臭いだけだし。さらに尾行に失敗してターゲットと接触ってのを報告されてしまえばアウトで、同時殲滅であろうと第一容疑者です。つまり、最後まで尾行には気付かない振りをしないとダメ。その他のミッションでも手ぬかりが目立ちます。これじゃ悪運が強いだけの人ですよ。

 もっとも、名探偵側もかなり杜撰です。確実に見て貰わないとトラップにならないのに臨時放送ってダメでしょ。監視で不審な動きが無ければシロというのも単独犯前提の話で共犯がいたら崩れますよ。キラ君がスッパハッカーさん過ぎるのかもだけど電子データの情報漏洩に対して無策に等しいのも気になります。直感が鋭いだけの人ですね。
 原作の高評価から考えて、おそらく穴の多くは脚色が不味いのでしょう。ストーリーそのものは面白いですからね。寝る間も惜しんで休講も満遍なく仕事する奴が授業中だけ作業中断なんて妙なデータ、ヴィジュアルに訴えたい映画用じゃなければ出てこないと思いますし(原作通りだったらスイマセン)。

 ミステリー要素に目を瞑れば基本的にまとまり良くスムーズなストーリー進行で好感持てます。説明台詞満載になってしまってはいるけど、猛スピードで駆け抜けて振り落とされる事が多々あるダイジェスト編集に陥ってないのはありがたい。予備知識無しでも安心して観れる点は大いに評価できます。ちゃんと続きが気になるように拵えてあるし。
 ただ、危機を即座に解決しちゃって手に汗握らないのがよろしくないです。人気投票至上主義の週刊少年ジャンプ連載って事はほぼ毎週ピンチの連続だった事は想像に難くないのに。それは原作ファンにとっては予定調和かも知れないですが、そこを省略されて何にサスペンスを感じればいいのか。それに、ノートのルールを事前に示しておかないのも反則で、何が出来て何が出来ないのか判然としないし、なによりご都合主義にみえました。
 あと、現実離れした内容をシリアスに見せたいなら、ノートと死神以外は徹底してリアルにするべきで、事件を世界規模にする必要は全く無かったと思います。邦画の予算規模なら尚更。いかにもステレオタイプな凶悪犯罪者の大根芝居、着ぐるみの方がマシに思える死神CGなどもお金の問題という身も蓋もない結論なんだろうけど、ここは演出でもう少し頑張れたところ。どうも視聴者層を低年齢に見積もりすぎてる節がありますね。

DEATH NOTE デスノートDEATH NOTE デスノート
(2007/03/14)
藤原竜也、松山ケンイチ 他

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