「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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アヒルと鴨のコインロッカー

 一回きりのサプライズが肝の作品なので、やはりそれを味わうのは原作小説が相応しいと考えますが、この映画は原作の雰囲気を壊さないようにかなり頑張ったと思います。最大の注目点は「文章では許されてもそれをそのまま映像でやっちゃうのは反則」という制約をどう処理するかなのですが、それはごくストレートなインチキをやらかしていて拍子抜けでした。しかし、思い切ってぎりぎり反則負けにならないタイミングに種明かしを持ってくる事で上手くバランスをとった事には感心しました。その結果、さらりとした語り口はそのままに、若干現実離れした立位置から時にコミカルに時に陰惨に最後は切なく悲しい青春物語を見事に再現。原作が大ネタのインパクトだけに頼った作品じゃないから成立した手段ではありますが。

 しかしながら、雰囲気を維持してるとはいえ終盤は端々で微妙に設定変更されており、それが結構癇に障るのも事実です。元々が初対面の隣人と本屋に広辞苑を奪いに行くような突拍子も無い話ではありますが、原作ではちゃんと筋を通してリアリティを保っていたものをわざわざぶち壊す謎演出。例えば、ペット殺しの男の「慌ててて気付かなかった&自分は使い走り」という主張が成り立たない映像になってる意図が理解できません。遺された二人の一年半が伝わるようなカットが無いのも不可思議。あと、主人公の片割れたるヒロインを単なる脇役に落とした弊害で説明不足になってる辺りも一工夫欲しかったです。ただ、コインロッカーの場面の改変は癒しになってて良い感じでした。

 細かい不満はあるものの、それを補って余りあるのがキャスティングの妙でして、原作イメージを損なわない的確な役作りで揃い踏みです。特異で複雑なキャラクターを巧みに演じ観客を魅了した瑛太と、のほほんとした雰囲気を保ちアウトサイダーとして絶妙の距離感で浮いて見せた濱田岳のコンビは見事でした。表情を変化させない大塚寧々が最後に見せる笑顔も印象的。関めぐみと松田龍平は重要な役割をきっちり演じてるわりに存在感が薄くなってしまいちょっと損な役回りでしたね。
 あと、たぶん原作読者のメインはボブ・ディランに無縁な若い女性でしょうから、劇中で「神の声」と称される不思議な声を想像するのは難しい。その点においては、ちゃんとディランの歌声が流れる映画に分があるかと思います。

 ところで、こないだブータン王国初の総選挙があった為そのニュース映像を何度か見かけたわけですが、極端に日本人顔の人って確かに混ざってましたね。英語を普通に喋ってるのも確認できました。確かに英語ではアヒルも鴨も両方Duckなんですが、特に区別してないってのが本当ならやっぱりかなり大らかな国民性のような気がします。似ている筈の我々はアヒルと鴨の交配種も合鴨として明確に別けてるのに。

アヒルと鴨のコインロッカーアヒルと鴨のコインロッカー
(2008/01/25)
濱田岳、瑛太 他

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DOA/デッド・オア・アライブ

 元ネタは日本の格ゲーのようですが、マピールさんはDOAXの認識しかありません。それもネットで水着販売とかが盛り上がってたのを知ってるだけで、動いてる画はXboxのCMで見たぐらいです。この通称「乳バレー」と呼ばれるゲームの存在だけでどういう客層がどんな理由で支持してるかは容易く想像出来ますけど。

 つまるところ、アメリカのティーン向けセクシー格闘バカ映画ということで、ゲームファンの悲鳴を他所にB級映画好きに全力でツッコミを堪能させてくれる期待通りの作品でした。なんせ、合間に人探しやらお宝探しやら様々な思惑で格闘トーナメントに集まった世界最強のファイター達が陰謀に巻き込まれるドラマが挟まるものの、基本的にはアートフルなアクションとねえちゃん達の乳を眺めて楽しむだけの作品です。舐める様なローアングルや不自然なトップアングルが多用され、ストーリーに全く絡まないのに延々と挿し込まれるビーチバレーから無意味な雨中のキャットファイトまで、ポロリなしの健全お色気描写で徹底的に攻める姿勢が最高にくだらないシーンの数々を生み出すのでした。

 まあ、そうやって笑っていられるのもゲームに全く思い入れが無いからで、コアなファンは憤懣やるかたないんでしょうがね。潔いまでに女性キャラのみをフィーチャーするのは正しいにしてもロケもエキストラも日本の忍者集団の描写も全部中華ってどーなのか。しかも、ストーリーの一応のメインを張る忍者姫(なんだそれは?)がつのだじろうの漫画キャラみたいな顔で華の無い貧乳日系人、もう1人の女忍者に至っては北欧系と何かが間違ってます。同じく忍者設定のケイン・コスギまでもカンフーを軽やかに披露したりする始末で、日本のゲームなんだから少しはリスペクトしろと言いたくもなるのでした。でも、カウボーイハットのアメリカ娘のいかにもなルックスとか、半裸からのブラ装着アクションを決める女泥棒とかは素晴らしかったです。

 問題は意外にツボを押さえた造りというか、物語構造がまんま『燃えよドラゴン』になっているため折角の場当たり展開が予定調和に落ち着いて弾けきれないことと、アクション映画なのに「燃え」要素が決定的に足りないことですね。愛・友情・正義も仇敵・因縁・復讐もかなり薄目。ボスキャラとその陰謀にインパクトが無いのも痛いです。あと、クライマックスに関わる人数が多すぎ。気がつけば無駄に大量のカップルが発生している辺りは脳天気でよろしいのですが。

DOA デッド・オア・アライブ デラックス版DOA デッド・オア・アライブ デラックス版
(2007/08/03)
デヴォン青木 ホリー・ヴァランス ジェイミー・プレスリー ケイン・コスギ サラ・カーター ナターシャ・マルテ

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ディパーテッド

 巨匠マーティン・スコセッシ監督による、香港映画の傑作『インファナル・アフェア』のハリウッド・リメイク。しかし、マフィアに潜入した警官と警察に潜伏するマフィアの対決というプロットから主要なストーリーの流れまで同じなのに、作り手でこんなに変わるのかと思わせるほどに別ヴァージョンになっております。
 オリジナルは善と悪の狭間で苦悩するスパイの悲壮感溢れるヒューマン・ドラマだったわけですが、本作はソリッドでバイオレンス色の強い潜入サスペンスに仕上げられスコセッシ流ギャング映画に完全にカスタマイズ化。オリジナルに在った哀愁が微塵も残っていない上に終盤はブラック・コメディみたいなんですが、いかにもアメリカなスタイルでこれはこれで趣があると感じました。だけど、数々の名作で戴冠を逃し続けたスコセッシ監督が遂に制したアカデミー作品賞&監督賞作品という金看板を背負うに足るとは到底思えず。

 基本的にギャング映画という奴は独特のポリシーや因縁を上手く理解できない部分が多いので苦手です。まして本作はアメリカ特有の人種・地域ネタや市警・州警・FBIの複雑な対立が絡んでくるので背景がややこし過ぎてお手上げ。義理と人情のヤクザ映画のように感情移入できる登場人物も見当たりませんし。でも、オリジナルの感動的な要素をバッサリ切った代わりに加わったものを眺めながら、アジアンとアメリカンの好みの違いを浮き彫りにするという視点で結構楽しめました。

 売り物の豪華キャストは味のある役者揃いなんですがバランスは非常に悪いと言わざるを得ません。先ず、ボス役ジャック・ニコルソンが不必要に前に出過ぎ。しかも渋くダンディなファミリーのドンというイメージには程遠く、下品でクレイジーな殺し屋オヤジにしか見えません。その怪演ぶりは面白いんですがキャラが強烈過ぎて主役二人のインパクトがめちゃ弱に。事実上独りで敵味方構わず引っ掻き回しており、真面目に情報戦をやってる主役達が馬鹿みたいです。一方、警察側上司は逆にカリスマ性が薄すぎます。片方は怒鳴ってるだけだし。
 そして主役。覆面捜査官レオナルド・ディカプリオは新境地といえる演技で不安や焦りを巧く演じてるのですがマフィアとしてのポジションが下っ端にしか見えず、逆の立場のマット・デイモンの方はそもそも見た目が善人っぽくない上にあからさまに倫理観が薄めで小物臭が漂う役柄。そういう狙いの演出なんだとしてもこの二人にチンピラ役はミスマッチだと思います。
 あと、女医さん絡みの描写が邪魔臭いだけになってるのも不満。やたらと男臭い映画なんだからヒロインには一服の清涼剤を期待したいのに、主役二人に同時に愛されるにしちゃ妙に地味。こういう役は淑女と娼婦の魅力を併せ持つようなパワーがないと駄目ですよ。濡れ場も癒しって感じじゃなくて只の尻軽っぽいし。

ディパーテッド (期間限定版)ディパーテッド (期間限定版)
(2007/06/08)
レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン 他

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セレニティー

 一年近く前に英SFX誌の「世界のベストSF映画ランキング」で並み居る名作を抑えて1位を獲得していた謎の日本未公開映画を今頃観賞。予想通り、数多の特別な作品達と並べてしまうと見劣りするのですがそれはそれとして普通におもろい。
 本作は1シーズンもたずに14話で打ち切りになったテレビシリーズ『Firefly』を、熱狂的なファンの声とクリエーターの意地で劇場版に漕ぎ着けた作品だそうで、日本でも偶にそんな事がありますな。そして、この劇場版が今度は何故か英国で大ブレイクしたのであります。まあ、馬鹿そうで実はシニカルという、いかにも英国人好みのスタイルではありますが。

 そんな事情なのでメインキャストや設定が微妙に説明不足なのは否めませんが知らなくてもちゃんと楽しめました。時間軸はTV版の少し後の模様。
 海賊まがいの運び屋をやってるFirefly級宇宙船「セレニティ号」のクルー達は、義勇軍あがりのハン・ソロ風ならず者船長に率いられた訳有りっぽい面々でありまして、ヤバイ積荷にゃ抱えきれない程の陰謀というお定まりのSFアドベンチャーなのであります。しかも、スペースオペラ+西部劇+ゾンビ映画+カンフーアクションというB級ジャンル特盛り状態。特に目新しさは感じないものの、ユーモアの効いた個性的キャラ達と低予算の割に頑張ってる映像にはTV版も観てみたくなる魅力がありました。
 ただ構成はヘボ。序盤でもう少し船内の日常風景や人間関係を丁寧に描写してくれてれば予備知識無しでもスムーズに入れたと思うんですが、状況を把握しないうちにバタバタと展開してしまうので落ち着くまでが大変でした。それに、船長やクルー達のドラマが薄っぺらく彼らが命懸けで戦う説得力が乏しかったり、テレビドラマ的ぶつ切りの多用でリズムを悪くしたりと映画化に伴う粗さが目立ちました。冒頭のシークエンスで普通の映画なら中盤に持ってくるべきネタバレをふんだんに盛り込んでるのも、どうやらシリーズ見てれば自明だからみたいです。あの逃亡兄妹は映画ゲストじゃなくレギュラーで、彼らを匿いつつ物語は進行し伏線だらけのまま終了を迎えた模様。

 それはさておき、ソマー・グラウ嬢の柔らかく滑らかでリズムのあるアクションだけでこの作品を観る価値はあると思いました。主役格の船長を差し置いて宣伝ポスターで最も目立ってるのは伊達じゃないです。最近の彼女はTVシリーズの『ターミネーター:サラ・コナー・クロニクルズ』で ジョン・コナーを守る高校生ターミネーターを演じているようでコッチも気になりますね。

セレニティーセレニティー
(2007/04/01)
ネイサン・フィリオン、ジーナ・トレス 他

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今宵、フィッツジェラルド劇場で

 冒頭のハードボイルドな空気を漂わせる胡散臭い保安係を見て直感的に『THE 有頂天ホテル』のホテル探偵を連想したんですが、話が進んだらむしろ『ラヂオの時間』と被る要素が多く驚きました。大人数キャストのアンサンブル・スタイルなのも三谷幸喜監督の作風と似てます。しかし、三谷のようにドタバタ喜劇を最後に一気に収斂させて行くわけでなく、最後まで淡々としたまったりコメディが静かに展開されるのでした。

 題材は、30数年の歴史に幕を下ろすことになっているミネソタの公開ラジオショウ。その最後の生放送を、普段通りのステージとして出演者たちが手際よくこなしていく様が描かれます。名調子の司会者によるローカルCMで繋ぐカントリー・ミュージックの平々凡々なショウ。交錯していくのは舞台裏でのそれぞれの思いと「死」と「人生」というキーワード。スパイスにはトラブル処理に奔走する探偵もどきと謎の女。

 でもストーリーは無いに等しいので、劇中のショウ自体を楽しめないとかなり苦しいかも。古き良きアメリカを彷彿させる、しかしカビの生えた様な形式の地味なステージですし、出演者は年寄りばかりで奏でる曲はカントリー。メリル・ストリープはじめ皆さん見事な歌唱力なのですが、『笑点』がヤングからそっぽ向かれるように、このショウも万人受けとはいかない種類のものです。いや、ティーンズ・アイドルのリンジー・ローハンをわざわざ起用してるんだから若い客もターゲットなのかもしれませんが。でも彼女の見せ場はちょっとしかなくて残念。それに、オリジナルの「Frankie & Johnny」の歌詞を知らないのも難点。

 個人的にはショウの内容に抵抗は無かったんですが、語学力の壁がいかんともしがたく。下ネタとかどのぐらい際どいのかよくわからないんでどうしても反応が寒くなってしまいました。楽屋での与太話も意味深な感じは伝わるんですが細かいニュアンスがピンと来ない。効果マンのユニークなアドリブとか動きによる笑いはちゃんとわかるのですが。まあ、雰囲気だけで持っていけるパワーがあるので、心地よく少しだけシニカルな味わいを堪能できました。

 これ日本版を作りませんかねぇ。『8時だョ!全員集合』世代としてはバッド・ジョークの二人は当然カト・けんで姉妹は小柳ルミ子と由紀さおり、歌える司会者は布施明でビッグ・ゲストが沢田研二なんてどうだろうかと、妄想が尽きません。(* ´∀`)ポワワ 。

今宵、フィッツジェラルド劇場で今宵、フィッツジェラルド劇場で
(2007/07/27)
ロバート・アルトマン

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