「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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サンシャイン2057

 古典小説『冷たい方程式』的な極限状況解決型SFに見せ掛けた幽霊船モノのホラー映画。なんとも評価に困る・・・いや、違いますね。評価は失敗してるB級SFで鉄板です。ただ、製作陣の姿勢が読みきれません。どこまでが予定調和でどこからが暴走なのか謎。

 この映画、『2001年宇宙の旅』『エイリアン』『惑星ソラリス』『サイレント・ランニング』などの名作映画をそこかしこで彷彿させるのですが、プロットで一番影響を受けてるのはなんたって『クライシス2050』です。あちらは太陽の活発化による危機から人類を救うべく宇宙船ヘリオス号で太陽に爆弾を打ち込みにいく話なのですが、本作は太陽の衰退化による危機から人類を救うべく宇宙船イカロス2号で太陽に爆弾を打ち込みにいく話。日本人クルーが1人いるのも共通です。ご丁寧にイカロス1号の失敗ミッションが2050年に設定されてたりもします。タイトルも激似ですが、これは邦題のみ。
 問題は『クライシス2050』がハリウッド映画の皮を被った日本映画で、邦画最高額といわれる70億円の製作費で国内興行成績が14億円、米国でもひっそりと公開されたのみという曰く付きの失敗作だってことです。前述の名作群と並べるにはマニアックすぎる作品なのです。加えて『宇宙からのメッセージ』のおかげで全米に知られているデューク真田こと真田広之の起用(役名はカネダ!)。SF映画に超詳しい奴がスタッフにいるのは間違いありません。

 なのにSF設定が異様にゲロ甘。いくらなんでも進路変更とシールド制御が非連動のシステムとかありえませんし、非常時には融通利かない割にザル過ぎるセキュリティやら命令一発で全開になる危険な遮光制御など、コンピューターが不自然にポンコツです。その他、わざとやってるとしか思えない素人臭いツッコミどころが彼方此方に散見してます。物語的にもハードSFの香りを醸し出しつつ、やがて横道に逸れ、無駄に凝りまくりのSFギミックや妙な宗教概念や説明不足の人物描写でグダグダになり、何が起きてるのかわからないエフェクトに紛れて間違った着地点に捻りも無く到達。・・・このテイストは和製SF映画そのものです。これがマピールさんが冒頭で困ってる理由なのですよ。オマージュならば見事なダメダメ感の再現なんですが、果たしたその為にそんな極端なマニア向け作品をこしらえれるかというとこれまた疑問なのです。

 まあ、ゴチャゴチャ考えても詮無い事ですな。本当は何がしたかったのか解らん作品ですが、小ネタを拾ってニヤリとするマニアック魂充足映画としては上々なのでそういう覚悟での観賞をお薦め。心情描写や科学考証をいちいち説明しない作風なので一般には敷居が高く、気難しい本格SFファンが両手を挙げて喜ぶでもなく、デューク真田を目当てにすると出番は少なくアクションも無くと、なにかと微妙な作品ですが、ハードコアのわりに哲学的難解さとは無縁でパターン通りに進むのでストーリーを確実にトレース出来るのが長所。それなりに面白いです。トリップ・ムービーみたいな太陽の映像表現も見応えありで、これは劇場で観たかったと思う出来なのでした。

サンシャイン2057サンシャイン2057
(2007/09/07)
クリス・エヴァンス真田広之

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ゾディアック

 全米を揺るがした実在の劇場型連続殺人犯を題材にしたノンフィクション小説を映画化した作品。このゾディアックと名乗る人物は『ダーティ・ハリー』の偏執狂的な犯人・スコルピオの元ネタでもあります。未解決事件なのでオチが弱くなる事も重々承知してましたが、監督が『セブン』のデヴィッド・フィンチャーとなれば否が応でも期待しようもの。ましてやサイコ・サスペンス系を思わせる妙に出来のいい予告編付きだったし。でも、「待て、あわてるな。これは孔明の罠だ。」ということで・・・。

 マピールさんが劇場で観たときは始終睡魔との闘いとなり、劇中の記者や刑事さんより早く「犯人の正体なんてどーでもいい」気分に。最後の30分は意外に盛り上がったもののそこに到るまでの展開が淡白で退屈なのでした。サスペンスでもミステリーでもないのは残念ですが、事件に魅入られた男たちを描くヒューマン・ドラマというのも一興なので否定しません。でも、あまりにも観客を引き付けるキャラクター性に乏しいのです。メインの漫画家・記者・刑事とも人生が滅茶苦茶になっていくわけですが、しっかりとした人物描写と見事な演技だからこそ、その遊びの無さに腹にもたれます。リアルすぎて群像劇としての面白味も感じません。しかも、登場人物自体は多くその整理が忙しいときます。事件の予備知識がないとかなり厳しいです。
 そして、犯人像に魅力が無い事も話を盛り下げます。出来事が羅列されるだけで知性や狂気を感じさせる演出は乏しく妄想は膨らみません。これは、犯人が望んでいた「事件の映画化」を実現させるに当たり美化を避けたせいなんだと思いますが、謎の事件としての興味を大きく削ぐ結果に。事実なのかもしれませんが、容疑者の首実験が終盤まで行われないなど腑に落ちない展開の数々も足を引っ張ります。なんだか完全犯罪には程遠い事件を無能な刑事と趣味の探偵が追った挙句の迷宮入りみたいなのです。

 そんな訳で、初見では何を見せたいのかわからないモヤモヤ感がつのるばかりだったんですが、DVDで再観賞するにあたり「なにゆえに未解決に終わったのか?」という視点で見たらそこそこしっくりきました。あと、キャラ的に最も目立っている遊軍記者(ロバート・ダウニー・Jr)を中心に観てしまいがちですがマーク・ラファロ扮する市警の刑事を追った方が理解はスムーズです。一応の主人公である漫画家(ジェイク・ギレンホール)は古典的探偵小説ばりに終盤をまとめるだけで殆んどは蚊帳の外ですし。
 頭の中を整理してから観賞するとかなり味わいが違うようで若干評価を改めました。独特の刺激的な映像センスで知られるフィンチャー監督らしからぬ演出や映像に頼らない地味な映画にがっかりだったのですが、その後『ダーティ・ハリー』を観なおした事で実は当時のアメリカ社会を細かいところまで作りこみ再現しているのがわかりました。漫画家私見とはいえ生半可に結論付けるなら動機にまで踏み込めと思っていた終盤も、この消化不良な感じがフィンチャーらしくていいと思えます。嗚呼、これでドラマ性がもっと高ければ。

ゾディアック 特別版ゾディアック 特別版
(2007/11/02)
ジェイク・ギレンホール.マーク・ラファロ.ロバート・ダウニーJr.アンソニー・エドワーズ

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釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の約束

 『釣りバカ』シリーズはスペシャル版2本を含めると今回で20作・20年目を迎えたそうです。当初は『男はつらいよ』のB面映画でしたが96年からは松竹のニュー・スタンダードの座を守ってきたのだからたいしたものです。尤も、ハマちゃんの妻・みち子さんをはじめ実は結構降板が多く、主役コンビ以外にレギュラーを守り通してるのは谷啓、笹野高史、中本賢といった面々ぐらいなんですが。後継シリーズの模索も始まりましたが、ハマちゃんは定年せずスーさんも隠居しない不自然な世界で延々と続けていって欲しいものです。まだ廻ってない県もかなりありますし。

 さて、三國連太郎さんを如何に動かさないで撮るかに腐心していた近作とは一線を画し、今回は釣りバカコンビ中心に原点回帰してて嬉しいです。朝原雄三監督の5作品では一番好きですね。遂にスーさんが鈴木建設社長を退任し会長に就任という導入部から岡山に失踪してマドンナと合流という流れまで、完全にスーさん中心に話が進みます。毎回『三國さんはあと何作出来るの?』という不安に苛まれて来たのが馬鹿らしくなる健在ぶり。考えてみれば森光子さんの三歳下で森繁久彌さんよりは十も若いんだから芸能界の85歳はまだまだ現役です。寄る年波に負けず頑張って欲しいものです。
 一方、今回は前半でスーさん夫人の密命を帯び、後半はスーさんの手足となって動く位置にいるハマちゃんは印象が薄め。その場その場のギャグは見事だしスーさんとの息のあった掛け合いもバッチリなのですが、ストーリーの中心に活躍の場が用意されてません。西田敏行さんがバイプレーヤーとしても優秀なのを証明した形ですが、「弥七」兼「八兵衛」役で主体性無く動かされるハマちゃんって何かが間違ってます。

 そしてゲストの印象も弱い。今回は釣りバカ・パートとマドンナ・パートがバラバラという事は無く、「リゾート開発と反対運動」として程好くブレンドされてるんですが、「お寺の後継者問題」に中途半端にちょっかいを出してバランスが悪くなった感じです。マドンナは山田洋次のお気に入りで宝塚出身の檀れい、その母親に東宝『若大将』シリーズの星由里子と、シニア層には堪らない新旧女優揃い踏み。これは何の問題も無いんですが、反対運動のリーダーという重要な位置にいる筈の高嶋政伸の掘り下げがあまりに不足。結果として酷かった前作の恋物語以上に底が浅いです。
 今回、痛感したのはパターン消化が多すぎて本筋に割ける時間が足りないって事ですね。ハマ・スー両家に営業三課にボンクラ取締役四人衆を絡め先述の皆勤レギュラートリオの出番も作らなきゃって事で尺はどんどん喰われます。釣りのシーンや地方スポット廻りにゲスト描写を織り交ぜてサイドストーリーを充実させろというのは無理な要求なのかも。どこかを思い切って切らないとね。
 ところで、今回は闘争という全共闘世代向けの題材を持って来たのがナイスなアイデアと思いました。入場料千円の低予算映画で採算ラインをキープするには従来のシルバー層に加え団塊世代を取り込めるかが重要ですからね。きっと「今どきの若いやつはピケの張り方もしらねぇのか。」とか盛り上がるでしょう。

釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の約束釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の約束
(2008/02/08)
浅田美代子谷啓

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ホリデイ

 おや、ロマコメかと思ったらもうちょっとシリアス寄りのライトな恋愛モノなんですな。基本はお約束的展開に満ち溢れた崖っぷちOVER 30女の癒し系ラブストーリーですが、2週間の自宅交換生活を英米二つの舞台で同時進行させるプロットのおかげで飽きはきませんでした。主演の四人もキャメロン・ディアスとジャック・ブラックがアメリカ人でケイト・ウィンスレットとジュード・ロウがイギリス人と、ちゃんと分かれてキャスティング。『恋愛適齢期』のナンシー・メイヤーズが監督・脚本なのでたぶん今回も当て書きなんでしょうが、豪華キャストのイメージまんまのデフォルメがなされたキャラが生き生きと描写されてます。脚本的には出来が良いとは言い難いんですが、女性監督らしい演出のセンスの良さと小憎いオールドファン向け映画ネタで印象はかなり良好。痛恨は真夏に観賞しちゃったことですな。これ、クリスマス映画じゃん。

 二つのドラマが交互に進行するスタイルなわけですが、始めと終わり以外は殆んど交錯しない独立エピソードなのは捻りが足りません。しかもラブ・ロマンスの分量はキャメロン×ジュード(ロンドン・ペア)に片寄ってるのにストーリーとしてはケイト×ジャック(LA・ペア)のが出来が良いなどバランスの悪さが目立ちます。
 ロンドン・ペアは「ドアを開けたらイケメン→ベッド・イン」という大味ハリウッド展開から紆余曲折してハッピー・エンドと徹底的にオーソドックスで王道な流れな分だけ薄っぺらいのが難。「三銃士」とかのキーワードをもっと効果的に使って欲しかったところです。キャメロンはいつも通りに妄想癖で独り言が多く常にテンパってて強気な振りして臆病な典型的ラブコメ・ヒロインを好演しているのですが、変人ぶりが作品の世界観からは浮いてしまってます。コメディも得意なジャックがそれを封印して「いい人」を演じちゃってるだけに痛々しいのでした。あと、老け方が尋常じゃなくてアップの度にハラハラドキドキ。ソフトバンクのCMとかだとそんなに酷くないのに。
 一方、LA・ペアはじっくりと丁寧に出会いが恋に変わるまでをやってるのですが、その割には終盤が唐突で拙速で淡白な展開なのが問題。ケイトと老人の交流からの成長ドラマにウエイトが置かれるあまり、お相手のジャック抜きでも話の顛末に支障が無いという困った事態に。一本道のありきたり物語の中でこれは予想外ですが、こんな予想外は不要です。それと、コッチのサイドは登場人物が多いのに、感情説明を会話でやるシーンが多いのも感心しませんでした。

 だがしかし、編集が巧いためバラバラのエピソードが混ぜこぜになっていてもぶつ切り感はありません。可愛い田舎の家とかビバリーヒルズの豪邸とか強く優しくユーモアも携える男優陣とかのロマンチックな設定とは裏腹に、女性心理は一貫してリアルで微妙な距離感が見事。それに、賢者な老人、天使な子供、愛嬌ある犬に素敵な音楽といった好感度アップの豊富な飛び道具の配置が巧み。独特のハート・ウォーミングな雰囲気作りと俳優達のアンサンブル演技の力技でシナリオの穴をかなりカバーしております。
 そして、若者にはマニアック過ぎるとは思うものの古き良き映画をリスペクトする数々のサービスが楽しいです。予告編風の妄想や架空の予告編、何度もあるDVD選びのシーンのラインナップ、老脚本家の名画解説にジャック・ブラックの映画音楽ネタ。そしてもの凄く贅沢な使われ方のダスティン・ホフマンに感服。

ホリデイホリデイ
(2007/08/09)
キャメロン・ディアスナンシー・メイヤーズ

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ラブソングができるまで

 年齢的にきつくなってきたもののチャーミングなダメ男役をやらせたら当代随一のロマコメ俳優ヒュー・グラントと、三十路過ぎから俄然キュートになってラブコメ女優に邁進するドリュー・バリモアの有りそうで無かった共演作品。出会って魅かれて喧嘩して仲直りのオーソドックスな展開で、強力タッグは期待通りの相乗効果を発揮。作詞作曲と男女の関係を絡めた題材も上手く料理されコメディとしてもちゃんと笑えます。けど、肝心のラブ・ストーリーが弱く心にグッと来る要素に欠けており、結果的に平均点レベルの安直ロマコメに落ち着いてしまいました。
 ただし、80年代の洋楽ポップシーンの空気感を知るMTV漬け世代限定で面白さ倍増。最近のガールズ・ポップも押さえてると更に笑えるという、狭い層にアピール度の高い作品であります。時代に取り残された元アイドルの主人公が出演依頼されるTV企画のラインナップが、REOスピードワゴン、フロック・オブ・シーガルズ 、デビー・ギブソン、ティファニー、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(全て名が出るだけで出演は無いので注意)。この名前を見てニヤリとする人なら音楽ネタの大半はクリアできるでしょう。

 とにかくオープニングを飾る架空80'sバンド"PoP"のプロモーションビデオが強烈。デュラン・デュラン風のニューロマンティック路線で、シンセドラムな楽曲といい口パクっぽい歌い方といい仰々しいダンスといい再現は完璧。アホな小芝居までちゃんと挿入してて芸が細かいです。他には、かつて郷ひろみがカバーしたワム!の『ケアレス・ウィスパー』によく似た劇中曲も必聴です。そして、ブリトニー・スピアーズ以上の大スターとして登場する「ブッダのエロ姫」のいかにもな雰囲気も素晴らしいです。「シャキーラに負けちゃうの!」という台詞の意味がわかればモアベター。本題のラブソング『Way Back Into Love』もターゲット層には納得のクオリティ(が、今のティーンにウケるかは疑問)。

 設定的にどさまわりの元ポップ・スターっていう境遇が観ていて辛くなったり、それを現在でも応援してるオバハン達がラブリーだったりで、ストーリーそっちのけで劇中で特に言及されないリック・アストリー、カイリー・ミノーグ、カルチャー・クラブ、そしてワム!の片割れアンドリュー・リッジリーなんかに思いを馳せました。主人公がアンドリュー並にジリ貧まで追い込まれてればもっと話が盛り上がったと思うんですが、中途半端に人気があるのと作曲に苦労しているようには見えないのが難です。ヒロインの方もトラウマを乗り越えるようなエピソードが無いし。カリスマ歌姫と中盤の二人の恋愛劇との関わりが薄かったのも問題で、彼女はクライマックスで主人公とデュエットするという重要な位置にいるのにキャラ描写が不十分で、作詞家のヒロインの思いを巧く重ねるにはシンクロが足りませんでした。まあ、肩のこらないハッピーな映画なのは間違いないんでポジティブになりたい時にはよろしいんじゃないでしょうか。

ラブソングができるまで 特別版ラブソングができるまで 特別版
(2007/09/07)
ヒュー・グラント. ドリュー・バリモア. ヘイリー・ベネット. ブラッド・ギャレット. クリステン・ジョンストン

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