「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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幸せのレシピ

 主人公は腕は良いけど自分のルールを頑なに貫き妥協を許さない女シェフ。唐突に始まった心に傷持つ姪っ子との同居生活は様々な問題を抱え、職場では彼女の築いた秩序を乱す自由気ままな能天気男が副シェフに着任。公私にわたりかき乱される受難のヒロイン、反目しやがて惹かれ合い形成していく擬似家族。物語は実にテンポ良く誰もが予想する結末に向かいハートウォーミング・ラブストーリーの王道を手堅く突き進みます。
 そうして出来上がったのが、見た目は凄く美味そうなのに味は可も無く不可も無しって程度のお料理。プロットやキャストなど素材は決して悪くないですし、演出・音楽も的確に調理されてますが、決定的に個性が足りないのです。

 先ず、ロマコメというジャンルで括るのを躊躇するほど笑いの要素が弱いのが意外でした。だからといって、うっとりするほどロマンティックな恋が描かれるわけでもなければ、涙と感動の家族愛路線で攻めるでもなく、小さな曲折を経て低い障害を乗り越えなんだか淡々とゴールインという中途半端な盛り上がりに唖然。
 特に、姪っ子とのドラマが薄味なのは疑問。仕事しか興味のないヒロインが子供の行動から何かを学び打ち解けていく話にしてはイベントのクリア条件がわかりにくく、ヒロインの手料理を食べなかった理由もオペラ男にはいきなり懐いた理由も不明瞭なままです。あれだとヒロインが成長しなくても姪っ子お気に入りのラテン野郎さえキープしていればオールOKな気が・・・。
 階下の住人やシッターといったスパイスになりそうなキャラ達が中途半端な描写だけで結局何もなしな役割なのも勿体無いです。主人公の性格は不器用そのものなんだから男女関係でも親子関係でも彼らの手助けなり騒動の火種なりに話を膨らませるのは容易なのに。カウンセラーだってもっと洒落た助言や粋な計らいが欲しかったです。サブキャラが動きすぎて本筋から逸れすぎるのも問題ですが、ほぼ全く肉付け無しというのも味気ないものだと痛感しました。
 根本的な部分では設定が特に料理人である必要性がないというのもあります。グルメ漫画が発達した日本では料理に意味を持たせてドラマとリンクさせるのはごく普通の手法なんですが、そういった深みが殆んどなく設定を他の仕事に置き換えても遜色ないものになってます。それに目を瞑っても、主人公が独立せずにあの店に拘る意味も不明なため、終盤の展開にはちょっと説得力が・・・。

 しかし、器だけ盛り付けだけの不味い料理になってるわけではなくそこそこ美味しい映画なのも事実。キャストそれぞれの魅力が存分に引き出されており、欠点の殆んどを演出でカバーした印象であります。
 キャサリン・ゼタ=ジョーンズの厨房を仕切る様が凛々しくて、これが『王様のレストラン』で山口智子が要求されてたコンダクター能力なんだなぁと。生真面目な出来る女がエキセントリックにあたふたしてる様というのはド定番であろうともチャーミングであります。相手役にこのジャンルではあまり見かけない地味な俳優アーロン・エッカートを起用したのも当り。軽薄すぎずに嫌味のない色男ぶりが温かみのある作品カラーに相応しく、随所に配置された二人のキスシーンを印象深くしたのは主に彼の功績です。そして、『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブレスリン嬢の可愛くも憎たらしい演技が素晴らしい。ストーリーに捻りがないのだって無理矢理な泣かせや不自然なご都合てんこ盛りのハッピー映画よりは数段マシですしね。

 ところで、映画の中で客のお気に召さない料理を作り直すシーンがありますが、これって日本でも高級店なら許される行為なんでしょうか?フォアグラが生っぽいってのはともかくレア・ステーキが好みより焼け過ぎでリテイクを要求するって強心臓だと思うのですが。マピールさん的には二度とその店に行かないだけなんですがねぇ。

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(2008/02/08)
キャサリン・ゼタ=ジョーンズアビゲイル・ブレスリン

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ミスト

 『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』に続くスティーブン・キング原作×フランク・ダラボン監督と宣伝されたため、感動作を期待して絶望の深淵に突き落とされる人が続出。キングは「モダン・ホラーの旗手」でダラボンはSFホラー『ブロブ』の脚本家なんだから勘違いした方が悪いとはいえ、うっかり観たのが気力・体力に余裕がないと超しんどい悲惨の極致な作品ってのは同情します。好き嫌いがはっきり分れますが、ただのB級ゲテモノ映画かと思ったらとんでもない傑作ですよ。「男はタフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない。」という言葉を噛みしめて刮目して見よ。

 ストーリーは単純。町を覆った正体不明の濃霧の中には危険な生物が潜み、スーパーマーケットに閉じ込められた人々は恐怖の襲来する極限状況下で疑心暗鬼から諍い収拾が付かなくなっていく、そんなありがちパニック映画です。舞台が保守的白人率のかなり高そうな田舎町なので宗教と迷信が大きく絡むアメリカ特有の流れとなり、極めてB級臭い超常現象設定にも胡散臭さ爆発ですが、そんな事では揺らがないヒューマンドラマの説得力で緊迫感と狂気を観客と共有させます。そして最後に仕込まれた大ダメージ必至の凶悪な罠に誘うのです。いやぁ、希望の見えないパンドラの箱ってのはキツイですなぁ。

 “映画史上に残る衝撃のラスト15分!”と謳われたラストは確かに凄まじく、ダークな上に、まさかの人物登場で最高にシニカル。ただ、想像もつかないアイデアってわけではないので誤解しないように。たぶん『宇宙戦争』のスピルバーグも似たような着想を持ってたと思いますが、商業的にリスキーな結末をハリウッドのお偉いさん方に承知させるのは至難なのですよ。実際、本作の観客動員は米国でも惨敗だし。
 でも、この映画の真髄は結末ではなく過程にあると思います。ここの見せ方が異様に上手いのでドキュメンタリーっぽい臨場感で紡がれるリアルな心理劇が成立。プレッシャーの連続の中での理性と感情の対立、友人関係や社会ルールの崩壊、集団心理の恐怖。日本人ならあんな宗教女に惑わされないとか思ってみても、平時ですら「スピリチュアル」や「水からの伝言」に惹かれる層がそこそこ存在し、ちょっと揺さぶられると容易く「オレオレ」や「マルチ」に引っ掛かり、法律や科学データを拡大解釈して煽られるとコロッと騙される輩も多い。大規模な自然災害とか似たような事態は現実の人間社会でも起り得るわけで、怪物なんかいなくても人の理性は脆くて選択を誤って罪に身を委ねる事が多々あるのです。
 そこで、マピールさんがあの場にいたらどうするかと考えると、影の薄い傍観者として日和リたいけど年寄りとかが多い状況だから戦力扱いされ、頼まれると断れないからズルズルと雰囲気にのせられて火の着いたモップとか持って自滅するとか濃厚。冷静に考えればもっとマシな武器や防御体制があるのに短絡な愚挙を犯すタイプだし。

 さて、本作の唯一と言っていい弱点は低予算です。このクラスの監督の特撮にしてはあまりにもチープ。確かに作り物とCGの融合は巧みだし特殊メイクやエフェクトも高水準で、高価なCGに頼らずにかなり頑張ってるのはわかります。けど、いかんせんドラマのリアリティが強すぎます。特撮シーンにはそこまでの現実感が無い為どうしても浮いてしまうのでした。
 ・・・と、思ったらその欠点は意外な形で克服されていました。それがコレクターズ・エディションDVDに収録されたモノクロバージョンです。ガラリと雰囲気を変え強烈なインパクトを醸し出す怪物たちに驚愕。これをスクリーンで観たかったです。間違いなくこっちがあるべき姿、『真・ミスト』なのです。

ミストミスト
(2008/09/17)
トーマス・ジェーンマーシャ・ゲイ・ハーデン

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スマイル 聖夜の奇跡

 経験ゼロの素人監督が弱小小学生アイスホッケーチームを率い北海道大会の優勝を目指すというコメディタッチのスポーツムービー。主演がダンサーの森山未來なためタップダンス戦法でアイスホッケーという無茶な企画が採り入れられ、俳優の陣内孝則が原作・脚本・監督というなんとも頭の痛くなる作品。ところが、いかにも陣内孝則な大袈裟で空回り気味の笑いは別として、漫画的王道ストーリーが意外と健闘している作品なのでした。アイスホッケーが映画になっただけでも奇跡ですが、バランスがメチャメチャなのに好感が持てる作品に仕上がったのがもっと奇跡。

 本当に妙な映画です。話に現実味はないし、内容は詰め込み過ぎでとっ散らかってるし、展開は在り来りの一本調子だし、ギャグは煩わしいぐらいに挿入されるし、マクドナルドの宣伝は露骨だし、子役達はお世辞にも上手いとは言えません。けれど、独特のテンションで全てを強引に乗り切る勢いがあり、短所なんかどうでもよくなる力技が冴えています。最終的にはしっかりと痛快感を味わえ泣かせもあるモノになってるのです。
 件のタップ戦法も、リズムで相手チームの長所を盗んで戦術に活かし、児童心理学専攻の人心操作で勝利に導くという設定がそれなりに成功。実は無理にタップを入れなくても音楽教師とかで成立してしまうんですけどね・・・。あと、とかくゴチャゴチャしがちなホッケーシーンも単純化して流れを追いやすくする工夫の跡が見えます。そして、試合中にベンチで監督が踊りまくるという、状況的には明らかにバカみたいなタップシーンも、ダンス自体が本物なのでかなり見栄えが良いのでした。

 でも、陣内演出というエクスキューズを退けてしまうとやっぱりキツイかも。キッズには通用しないですからね、そんなもん。特に、物語構造的にはチームのポイントゲッターの少年が主役であるべきなのにメインに監督が座ってるあたりに無理があり、その弊害をまともにくらったのがヒロインなのでした。結婚を目指す主役カップルのエピソードは話が進めば進むほど薄まっていき、代わって語られる少年少女の初恋物語との接点が薄い加藤ローサの出番は激減です。主役からして最後の方は采配抜きでただ踊ってるだけの人ですけどね。挙句にエピローグでは主人公カップルに一切言及無しという身も蓋もない扱いで爆笑。
 で、下克上に成功した少年の物語というのがまた凄まじい。大人になった少年の回想形式で物語は始まり、東京から来た少女が少年に積極アプローチ→カップル成立→少女、デート中に倒れる→実は難病→少女の母は少年を快く思っていない→無断で連れ出す→容体悪化というどっかで聞いたような展開をベタに辿ります。まさか、森山未來が出演してる映画でこれをやるとは。まあ、無理矢理な泣かせに陥らずに前向きな流れにしたのは良かったのですが。
 そして、無駄に豪華なカメオ出演者の出番が大過ぎです。特にキッズの家族に色々な設定を持たせたためにクライマックスに枝葉が大量発生。闘病する女の子との約束を果たす為の戦いがぼやけまくりでした。でも、一番の難は役者・陣内孝則が出てこない事です。この珍妙な世界観に一番しっくりくる役者は間違いなく彼ですから。

スマイル 聖夜の奇跡スマイル 聖夜の奇跡
(2008/06/04)
森山未來加藤ローサ

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ヒッチャー

 派手な破壊と大味なストーリーで知られるハリウッド製アクション映画の巨匠マイケル・ベイ監督ですが、最近は製作者としても活動してまして『悪魔のいけにえ』『悪魔の棲む家』などの往年のホラー映画のリメイクに熱心です。他にも、『13日の金曜日』がまもなく公開であり、製作予定ラインナップには『鳥』『エルム街の悪夢』『ローズマリーの赤ちゃん』など錚々たる面子が並んでおります。
 上記タイトルは全部観てるのに、本作のオリジナル版(1985)をマピールさんは未見というか存在自体を認識してないレベル。有名な作品だろうになんで全く記憶にないんだろ?

 砂漠地帯のフリーウェイで車が故障した男を仕方なく同乗させたら、そいつが危険な異常者で執拗に追いかけられる破目になるというシンプルな話で、最近のトレンドのスラッシャー描写もあるのですがインパクトは弱め。致命的なのは殺人鬼に追われる怖さというのを殆んど感じられないこと。なにしろ主人公がホラーの定石通りなら真っ先に惨殺される運命であるバカップルなのでハラハラするよりイライラする事のほうが多いのであります。さっさと人里に駆け込んで通報すべきなのに悠長に仮眠とったり、先ず助けを呼ぶべき場面にタオルの準備を優先させたり、被害者としての緊張感が足りません。戦闘力が低過ぎるので倒しても倒してもゾンビのように追ってくる敵の怖さも表現できず。なんとなくリッチー・ブラックモアの死神が追いかけてくるレインボーの古いプロモーション・ビデオを思い出して笑ってしまいました。

 また、ショーン・ビーンの演技は確かに不気味なんですが、狂人ならではの不可解な行動原理による恐怖感は薄く、心理サスペンス的なジワジワと嬲られる感覚も弱め。高スペックの殺人マニアックが窮地に陥れようと仕組んでるわけですから主人公達にもう少しクレバーな側面が欲しかったところ。あるいはボンクラにあわせてサイコ・キラーのオツムのネジを弛めてもいいです。とにかくスライム並みの雑魚にレベル99のサイコ野郎が必死に手加減アタックという構図は興を削ぎます。いっそ、要らぬお節介野郎が親切心から暴走し、代車を用意したり警察から救出したりするたびに死体の山とかでも面白かったかも。
 あと、下着姿で逃げ込んだ洗面所にちゃんと服があるとかしょーもない伏線は貼ってあったけど、序盤の公衆電話とか指輪とか意味ありげなネタが全く拾われないのも不満でした。

 しかし、マイケル・ベイが一枚噛んでる事をわかって観てる分には大雑把な展開が楽しいです。主役2人の頭の悪さに加え警察の使えなさっぷりに爆笑。また、ド迫力なカーチェイス、無駄に派手なクラッシュ、無茶で強引なガンアクション、必然性もない爆発など、いかにもマイケル・ベイ的な要素が盛り沢山なのも嬉しいです。ただ、中途半端にホラー調なのが難点でテンポがやや悪く、不意を突くショック演出や音響によるコケ脅しもあまり効果的じゃありません。ギリギリまで残虐映像の直接描写を避けておいてクライマックスでアレをやる効果は見事でしたが、あの位置で切れるのは疑問でした。
 やはりマイケル・ベイ自らメガホンをとりホラーでもサスペンスでもなくアクションに徹した方が面白い題材だったと思いますね。それじゃホラーのリメイク・シリーズというコンセプトから逸脱しすぎだけども。

ヒッチャーヒッチャー
(2008/03/05)
ショーン・ビーンソフィア・ブッシュ

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ミッドナイト イーグル

 冬の北アルプスに墜落した米軍機を追うジャーナリスト達が遭遇する自衛隊と秘密工作員の血みどろの争奪戦を壮大なスケールで描く山岳ミリタリー・アクション&サスペンス・・・と言えば聞こえが良いですが、劇中の猛吹雪以上に「なぜ?の嵐」が吹き荒れるトンデモご都合主義ユカイ映画です。ストーリーの流れに意外性は全く無いけど設定や行動は意外な事だらけと言う稀有な作品。軍事・政治・人間ドラマに至るまであらゆる方面に不自然かつ頓珍漢な展開を取り揃えており全く飽きさせません。無能者ばかり登場するある種の実験映画。誉める所が見当たらない作品ではありますが、ダメなところを一晩中語り合ってもネタが尽きないのがストロング・ポイントなのでバカ映画好きには堪らない逸品です。

 先ず、主人公の戦場カメラマンと相棒の新聞記者の冬山エキスパートとは思えない行動の数々は必見。道中で装備の半分とテントを失って下山すら困難な遭難状態の筈なのに、全く意に介さずに「この山は俺たちの方が詳しい」とか自衛官にアピールして登山を続行。でも目的地到着順は、たぶん土地勘は無い外国の工作員集団>深手を負った別働隊の自衛官>ご立派な山の心得を説く主役パーティと、やっぱり口だけです。キャリア20年のサバイバル術や地の利を活かした抗戦を期待したいところでしたが、缶切り無しで缶詰を開ける知恵すらないから無理なのでした。挙句に必死に防戦する自衛官を他所にずっと遊んでる始末で、実は主人公はいらない子です。実に大胆な脚本ではあります。
 サブストーリーの東京編も負けてはいません。コッチの担当は主人公の義妹で米軍横田基地に侵入した不審者を追う週刊誌記者。家庭を顧みずに山に篭ってた義兄を憎み姉の忘れ形見を引き取って育ててる設定ですが、偉そうな事を言いつつ自分も幼い子供を独りで留守番させ、突発の外泊に連絡ひとつ寄越さず保護者の自覚はゼロです。取材活動では共犯とされても仕方の無い迂闊な行為ばかりして無用な混乱を誘発させるという、正義の社会派ヒロインとしてあるまじき人物像が新鮮。事態の真相を知ってなおスピーディーな行動に繋がらない頭の悪さも素敵です。

 このように主人公もヒロインもダメ人間なのですが、組織の方も作り手の見識を疑うダメ対応を頻発させます。工作員潜伏を想定しながらご多分に漏れず呆気なく殲滅されるレンジャー部隊、だけど後続を投入する気配の無い司令部、100万人単位で死者が出るかの瀬戸際に独断で驚愕の行動に出るヘリ部隊と、撮影協力した自衛隊をコケにしまくる役立たず描写満載です。現場が初動で知ってる情報を2日たっても共有できてない対策本部、発砲やら爆発やらあっても独力で関係者を捕捉出来ない捜査機関、工作員の情婦に尋問すらせずヒロインの持つ情報一点賭けの公安、宣戦布告されたに等しい事態に何故か静観を決め込む米軍も凄い描かれ方です。総理に至ってはアマチュア無線でのやり取りで不特定多数にバレたと思われる情報の漏洩に拘ってたり、特に意味もなく映像送信させたり、民間人の浅知恵作戦にのっかったり馬鹿丸出しで困ります。
 でも、一番わけわかんないのは某国工作員の皆さん。パイロットが山中で軟着陸を決める前提で作戦展開する根拠がまったく不明です。それができるなら本国に堕とせば容易に機体回収できるのにねぇ。安全圏までは逃げきれないのに時限装置を使用するのも謎。何処かに消えていた理由も理解できません。そもそも現地が確実に吹雪に閉ざされてくれないと成り立たないザル作戦ですよね、コレ。そして、東京の怪我人が持ってたのは起動パスじゃないから全く「保険」にはなってない気がします。そもそも「保険」を持ってる時点で不可思議なのですが。

 クライマックスの「泣かせ」も酷いです。前フリで親子の物語を全くやってないのに30分も引っ張るし、息子の演出もおかしいです。母と死別し父に育児放棄されて叔母に引き取られたのですからそれこそ「許さない!」と叫ぶべきなのは息子でしょう。それに呼応して主人公は僅かな可能性を探り、結果はどうあれ最後まで諦めない姿を見せるのが筋だと思いますよ。無責任な奴が無責任なまま終わっては映画のテーマ自体がグダグダじゃないですか。ちゅか、ヒロインが義妹なんてややこしい設定だから変なのであって、別れた妻なら息子を託すだけで済む話なんですが。

 説得力皆無の脚本も強烈ですが演出の手抜きも目に余ります。軍事・政治方面は演出以前の問題で知識が無いとしか思えませんし、「ミッドナイトイーグル」の墜落は台詞のみで語られ最低1機は堕ちた方が自然なヘリも無傷で残すなど、あからさまにCG・特撮を避けてるのもナイスです。低予算でも普通はもっと工夫しますが、自衛隊機を使って撮れない画は挿入しないという潔い態度が貫かれてます。
 アクションでは敵も味方も白迷彩で区別がつかない一方で主役達は的同然の派手な服を着たままだし、銃撃されても避けもしないし、伏兵に全く驚かされないなどダメ演出を連発。登山のベテランの装備がピカピカで、疲れも凍えも全くみせず、ラッセル不要の積雪状態とか笑えますが、それなりに寒い中で頑張ったであろう役者さんの努力は水の泡です。でもこの監督、山中に航空機が墜落する『クライマーズ・ハイ』に引き続き関わっちゃってるんですよねぇ。やれやれ。

ミッドナイトイーグル スタンダード・エディションミッドナイトイーグル スタンダード・エディション
(2008/06/04)
大沢たかお藤竜也

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