「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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インベージョン

 古典SF『盗まれた街』の映画化。と言うより『ボディ・スナッチャー』のリメイクと言った方がわかりやすいでしょうか。宇宙からの侵略者が地球人の肉体をジャックするSFサスペンスであります。元々は知らぬ間に家族・隣人が別人にすり替っている恐怖を描くスリラーなのですが、侵略方法が複製から知能を持つウィルスに変更され感染ゾンビ映画に生まれ変わりました。即ち原作が『盗まれた街』である必然性は宣伝効果以外にないというふざけた映画です。
 ここまでの説明で想像がつくとおり、設定・脚本・演出から特殊効果まで何所を取っても安手のB級ホラーなんですが、何を間違ったか出演は“オスカー女優”ニコール・キッドマン&“007”ダニエル・クレイグ。事実上、キッドマンの美貌ぐらいしか見所が無い映画なので彼女が出ずっぱりなのは救いです。逆にクレイグは完全な刺身のツマで肉体美もアクションも披露しません。

 とにかく何の工夫もない展開の連続に驚かされる作品です。つっこむ気にもならない程にご都合主義で、バカ映画ですらないのが虚しいです。冒頭から無駄に感染ルートを示すなどフェイク一つ無くあからさまに異変が進行するので、序盤のサスペンスに全く緊張感がありません。中盤のゾンビ映画では「感情を表に出してはならない」「眠ってはいけない」という設定が殆んど活かされず、逃走劇は盛り上がらず恐怖も絶望感も壊滅的に不足しています。そして、「平和主義者のウィルスによってもたらされる世界調和」という命題を提示しておきながら、おもむろにアクション映画に突入し強引に有耶無耶。これがまた、主人公の抗戦の成否が全く影響を与えない酷いオチなのでした。
 SFに見えて途中でゾンビ映画に変わると言えば記憶に新しいのが『アイ・アム・レジェンド』ですが、本作も中盤までの流れにそぐわないラストがついてるあたりアレと同じで監督の意図と違う結末になったっぽいです。それにしてもあまりに安直な最後で監督のやる気の無さが窺えます。

 ただ、前述したとおりニコール・キッドマンが全ての作品でして、高額ギャラは伊達じゃない活躍ぶりです。やたらとボディラインを強調した服ばかり着て、ノーブラTシャツ姿、Tバック下着姿、更には顔面ぶっかけ(?)まで熟女のサービス映像が満載。この映画は母子愛モノだというのに・・・。

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(2008/03/07)
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レミーのおいしいレストラン

 ピクサーらしいポジティヴな物語と圧倒的技術力の3D-CGで贈る大人も子供も笑って愉しめるアニメーション。人の言葉や文字を理解し天才的な料理センスを持つドブネズミと、ひょんな事からネズミの指示で動く破目になる厨房の雑用係との二人羽織で織り成すハートフル・コメディであります。存分なスピード感のアクションに、綺麗なパリの夜景とか水関連映像の質感とか見所もたっぷり。料理モノ作品の要である味の視覚表現も噂に違わぬ見事な出来映え。ネズミ達もリアルな造形でありながら可愛く見せる事には成功しています。

 だけど、この話をあんなリアルなネズミでやる事にはちょっと疑問。あの造形で『ウィラード』や『ベン』並にネズミの恐怖を描いちゃ、どんなにキャラが可愛かろうが「でも、ネズミが作った料理は遠慮したい。」と思ってしまうのが人情です。それに現実に寄っているが故に、消毒程度では解決しないサルモネラ菌の媒介問題や小動物の短い寿命などいらん事にまで頭が回ってしまうのですよ。「ハンナ=バーベラ」と「ルーニー・テューンズ」で育った世代としてはエンディングの平面ネズミで普通に擬人化してくれた方が心地よかった気がします。ついでに言えば、リアリズムでやられちゃうとかなりアレですが、お約束である猫の攻撃シーンも見せて欲しかったです。
 あと、相棒の若者が料理人を目指してもいなければネズミの料理に惚れ込んでる訳でもなく店に愛着も無いという成り行き任せのダメ人間に設定されているため、主役のネズミが外れてしまうと途端にドラマが退屈になるのは問題です。中途半端な恋愛要素は邪魔臭いし店の相続だのの話も必要ないと思いました。それよりも「のび太」並みの友情と献身を徹底的に示すべきでしょう。オーナーなりギャルソンなりの才能が有ったとかならともかく、夢を共有しない男が無能なままなんとなくスタッフに加わってるのは見るに忍びないです。最後には最大の理解者というポジションまで失っちゃうし。

 とはいえ、「友情・努力・勝利」の三原則をきっちり押さえて「諦めなければ夢は叶う」という王道サクセスストーリーが展開されるのでキッズ向けとしては安心。問題は子供に「ラタトゥイユ」をせがまれて作っても映画とは見た目の全然違うものが出来てしまいそうなところでしょうか。

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ルー・ロマーノブラッド・バード

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

 90年代後半にヤマト、ガンダムに続く第三次アニメブームを引き起こした『新世紀エヴァンゲリオン』のリビルド作品。四部作というか、三本作って最後が45分×2話となる予定だそうです。今回はマイナーチェンジレベルですが、ただのテレビ版総集編に終わらせず何か仕掛けてくる気配で、何を訴えるつもりなのかは未だわかりません。この新シリーズはあくまで旧作を見た人に向けられた作品であり、新参者は「序」から観てもいいけど次回作「破」までには予備知識入れとけという造りになっております。

 面白かったですが話が途中なのであまり書く事は無いですな。今回は98分に召集・初出撃から「逃げちゃ駄目だ!」を経て「ヤシマ作戦」までですが、既に隠す必要の無くなった謎や鬱陶しい心理描写を整理した事でダイジェスト編集の慌しさは抑えられスッキリしてました。初見の人にも比較的取っ付き易く、しかし世界観を充分には把握させずに旧作に興味を抱かせる辺りはやはり商売上手ですね。「説明不足」こそがこの作品の魅力なのでこの按配は絶妙です。もっとも「エヴァって何?」をはじめとする数々の疑問はシリーズ全部観たって推測の域を出ないんですけどね。

 止め絵がほとんど無くアクションシーンのクオリティはかなり向上してます。たいしてレイアウトをいじって無いのにスケール感はテレビ特撮から怪獣映画レベルに引き上げられており、異様に細かく描写されたギミックといい、セルアニメでは不可能な変形描写といいSF好きには堪らない出来です。新ラミエルが格好よすぎる。
 ただ、その一方でドラマ性が薄まってしまったのが難。人気キャラ綾波レイの独特の「間」と包帯姿の痛々しさがあまり見られずファンはがっかりな事でしょう。例のヌードは健在ですが。

 作品を覆う内向的な雰囲気が薄まって人間関係の繋がりも微妙に進展するなど、前向きなやり直しの物語を匂わして重要情報チラ見せの「次回予告」と相成ったわけですが、次で大きく変えると見せかけてフェイクの線も捨て切れません。肩透かしはお手の物だし、90分で予告の内容を全部やるとアスカの出が妙に薄くなりそうですし。まあ、一番困るのは製作快調が伝えられつつ順調に遅れてる「破」が無事に完成し期待通りの独自展開をみせるも、三本目が『スター・ウォーズ』シリーズ並に引っ張られるパターン。ガイナックスならやりかねません。

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(2008/05/21)
三石琴乃林原めぐみ

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プレステージ

 19世紀のロンドンを舞台に互いをライバル視するマジシャンの壮絶な闘いを描くサスペンスという触れ込みの映画ですが、トリックの謎解き合戦を期待すると拍子抜けでしょう。釈然としないオチのせいで不評を買ってると予想されますが、仮に冒頭に「・・・あなたは今、ミステリー・ゾーンに入ろうとしているのです。」というナレーションがついてたなら拒否反応は少なく、なかなかの秀作と評価されていたんじゃないかと。つまり、豪華すぎるキャストとセットに惑わされてますが、本質的にはB級テイスト全開の奇譚モノなのであります。

 これ、キャストに見合う愛と憎しみのヒューマン・ドラマにする事も可能だった筈なんです。共に学びやがて袂を分かつ因縁の二人、人気ではライバルに劣り貧乏暮らしの天才、才能と幸せな家庭に嫉妬する秀才、二人を行き交う魅惑的な女。羨望・焦燥・葛藤・執着などなどドロドロの人間模様を描くに充分な要素は盛り沢山なのです。だけど、そんなもんが観たかったら『アマデウス』でも観とけと言わんばかりにミステリー仕立てワンダラス・ストーリーで描かれる子供の喧嘩。トリックの構造の問題で男女のドラマを深く語る訳にはいかないのに敢えて起用されたスカーレット・ヨハンソンの無駄遣いっぷりも天晴れなのであります。

 しかし、一連の仕掛けと謎解きを楽しむ映画としてはヒントを見せ過ぎ。特に、最後まで隠しておきたかった方のトリックが早い段階でバレバレなのは困りもの。劇中で強調されるマジシャンのロジックを組み立てれば容易に想像がつく方法なのだからもっとミスリードに力を入れて欲しかったところです。もう一方の大ネタは「フェイクだよね?ま、まさか、直球勝負?」という感じで意図的に早めのネタバレをして惑わす魂胆なんでしょうが、ニコラ・テスラを登場させたのがやり過ぎだった模様。
 ニコラ・テスラは磁束密度の単位の由来になり交流発電機やテスラコイルを発明した偉人でありますが、小説でも漫画でもなんでもこの人物が絡むと忽ち話が胡散臭くなるという特徴があるのです。テスラのエピソードを知ってれば、彼が登場した瞬間に警戒警報発令で、ましてフィクションにわざわざテスラを出す意味を考えれば不思議な物語が決して不思議ではなくなる世界に突入したという結論に達さざるを得ないのであります。
 あと、魔術師達はオンとオフで容姿が違う上に変装まで頻繁で人物の一致に難儀。3つの時系列がバラバラに進められるのも混乱を誘います。演出として煙幕張ってる部分もあるんですが、ラストの水槽のカットのように意味もなく散漫な撮り方で無駄にわかりにくいものも多く残念でした。

 でも、トンデモと割り切って観てる分には奇術黄金時代のステージ・マジックの様子が興味深いし、クリスチャン・ベールとヒュー・ジャックマンの二枚目競演には華があり、大人気ない二人の騙し騙され足の引っ張り合いも楽しいです。夫々に隠しても嘘は言わない姿勢を貫いてるのが素晴らしい。複雑なストーリーにたっぷりの伏線を用意し綺麗に回収した手腕にも惜しみない拍手を贈ります。

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