「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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チーム・バチスタの栄光

 原作はベストセラー小説なのでちょっと迷ったものの結局は未読のまま観賞に及びました。心臓病の難手術で成功率100%を誇っていた「チーム・バチスタ」が3連続で失敗し、医療ミスの可能性を調査する女医と殺人説を唱え介入した厚生労働省の高級官僚を主人公に、病院の人間関係を浮き彫りにし謎を解く物語です。たぶん原作は面白いんだと思いますよ、原作は・・・。

 社会派のシリアス医療ミステリを想像してたんですが、元々なのか映画サイドのアレンジなのかは知りませんがこれがかなりコミカル・テイスト。前半は滑りまくりとはいえほんわかレベルで留まっているのですが、後半に阿部寛が登場すると共にユーモア成分が倍増し、肝心の医療ドラマがグダグダなこともあってなんとも締りが無い事に。

 とにかく脚本の出来が悪いです。主人公の心療内科医・竹内結子がいなくても事の顛末になんら影響が無いどころか狂言回しの役割すら担ってません。バディ・ムービーにしては探偵役の厚労省役人・阿部寛との信頼関係構築が全く描かれず、調査は第一印象を動物に例える以外に何もしないのでワトソン役にもならず、他人事として捉えていた「命を預かる重み」を知って成長するとかでも無い中途半端なポジションに鎮座。「チーム・バチスタ」の面々にしてもキャラ付けが下手糞で薄っぺらです。キャスティングは悪くないし各々の初期設定も面白そうなんですが、おそらく原作に在った其々の見せ場をバッサリいったんでしょう。まるで魅力がありません。阿部寛は十八番の饒舌コミカル・キャラで奮闘し面白いんですが出番は意外と少なく。それに破天荒ぶりが強調されるあまり、綿密な分析とロジックな思考で真相解明となるべき部分が大雑把に。

 人物描写そっちのけで注力した小ネタ系の笑いがいちいちくどいのもイラつきます。患者の愚痴聞きのシーンは半分に減らせるし、変化を付けたい意図はわかるけどソフトボールとロックのシーンは無駄に長い上にあまりにも無意味。オーバーなコメディ演出はリアルっぽい心臓手術の様子を台無しにする効果しかもたらしません。阿部寛のキャラが特異なんだから他の部分はシリアスでいいのに。
 あと、ミステリとして問題なのはチームの7人から容疑者を絞り込むのが容易過ぎる事です。ご丁寧にもオセロのシーンで共犯を暗に否定したため、動機や方法はわからなくても実行可能な人物は消去法で解けます。それに真相がつまらない。人物の悲哀もなければ日本の医療現場の問題に一石を投じるでもない底の浅いオチに唖然。こんな危険球を投げて医療界出身の作者は大丈夫なのか心配になりました。

 正直、竹内結子のソフトボールの短パン姿ぐらいしか目を惹くものがなく、阿部寛の怪演だけでもってるような映画です。けど、信じられん事に同じ監督・脚本・キャストで続編撮ってるんですよね、コレ・・・。

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銀色のシーズン

 田中麗奈はお気に入りのタレントなんですが、CMに比べると女優業では地雷っぽい仕事が多く出演映画の殆んどをスルーして現在に至ります。本作も危険な匂いがぷんぷんですが、これまたフェイバリットな男優・瑛太が主演となれば避けては通れません。まあ、『私をスキーに連れてって』みたいな映画だろうと高をくくっての観賞だったのですが、気づけば監督は『海猿』の羽住英一郎、またもや子供染みた人間描写と時間感覚の狂ったクライマックスを見せ付けられる事に。
 予想に反し恋愛要素は薄めでメインは理由あり主人公がヒロインとの出会いを切欠に新たな一歩を踏み出すまでのドラマとなっております。しかし、とにかく脚本が練れてないので中途半端なエピソードの羅列となり、しかも話のスケールは無駄にでかくなっていって収拾せず、ツッコむポイントだけは不自由しない頭悪い作品が完成。

 「雪猿」とかいうフレーズで宣伝してるわけですし、ゲレンデで好き放題の3バカが成長していく物語になるのが自然なんですが、玉山鉄二の話は横道に逸れたままフェードアウトし青木崇高に至っては存在する意味が謎の酷い扱い。掘り下げる気が無いなら完全脇役の仕事仲間の位置づけにしておけば良いものを。それに、この二人にはバカみたいでもちゃんと目標があるのに、それと意気投合してる主役の方が無目的に生きてるって・・・。
 他にも妙な設定だらけで呆気。アクセスが低速リフトのみで吹雪いたらアウトの結婚式場なんてハイリスク・ローリターンな物に湧く地元民というのが馬鹿げてるし、「勝ち負けのあるスキーが嫌い」という設定の奴が賭けレースやってたりするのも謎。この話にどうして高射砲が必要なのかも解せませんが、どうしてもそのアイデアを採りたいのならそれらしい設定を考えて欲しいものです。温泉発掘コントにしても「そこ夏場は地面の上だろ!」と瞬時につっこまれるネタを延々引っ張る意味がわかりません。
 そして、無駄に多いキャラたちが揃って存在感ゼロの中で期待の瑛太が頑張り過ぎて浮くという悲しい結果に。正直、この役は瑛太を使わなくてもジャニーズの若造とかでよかったと思います。田中麗奈もドジッ娘キャラで瑛太の相手を務めるとなるとミスキャスト感は否めないですね。ダメ映画が似合う女優なので世界観にはマッチしていますが。

 しかし、オープニングのスキー映像は良く撮れています。ロング良しアップ良しの斬新なカメラワークでバラエティ豊かに雪猿たちのスタント滑走が堪能でき、インチキもありますが様々なスキーの技で楽しませてくれます。長らくゲレンデから遠ざかってるマピールさんもスキー場に足を運びたくなるような出来栄えで、このシーンだけなら集客アップに貢献間違い無しです。これと並び立つようなレースシーンさえ撮れてればお話がどんなに屑でも格好がついた筈なんですが、どういうわけかクライマックスがやたらショボいんですよねぇ・・・。

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ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!

 当初は未公開作品としてDVDスルーされそうだったけど署名運動で日本公開を勝ち取り、宣伝予算の不足はネットを中心にボランティアの尽力で補った、良識的映画ファンの「面白い映画がちゃんと公開されてヒットする」という願いを結集した作品です。
 オフィシャルがB級コメディ風の副題をつけ「究極のおバカ映画」というフレーズで宣伝したためそのイメージが先行してますが、実はコミカルな要素もあるポリス・アクションと言った方が正確です。アメリカ映画的ドタバタ・コメディや下ネタを目当てに観賞するとシニカルで神経質でグダグダなブリティッシュ・スタイルに振り落とされる可能性が大。また、中盤には強烈スプラッターな殺人シーンもわんさか登場し、マニアックな映画オマージュも頻繁で、「お蔵入り」の危機に晒されるだけの取っ付き難さがあるのは否定できません。しかし、食わず嫌いで見逃すのは勿体無い作品です。

 マピールさんは警官モノって左程詳しくなくて、「ここパロディかな?」と思うシーンは多々あれど元ネタがはっきり判るのはジョン・ウーの2丁拳銃横っ飛びぐらい。劇中で言及されてる『バッドボーイズ2バッド』や『ハートブルー』も観てませんし。まあ、ホラーや怪獣映画のパロディーもあるから理解度はもう少しアップしますがね。でも、ネタ元なんか知らなくても格好良いアクションに酔いしれる事が可能なので特に問題はありませんでした。銃撃戦やらカーチェイスやら盛り沢山でお話は熱くて泣ける典型的なバディ・ムービー。しかも脚本がよく練られてます。それにロック好きにはたまらない選曲センス。笑いの要素が多少減衰しようが充分に楽しめる一級娯楽作品なのであります。
 基本的にはサスペンスの骨格で作られており、丹念に伏線が張られ、それが真面目すぎるほど綺麗に回収されます。アイデアの密度が半端無い上に細かいギャグまでもが計算されて緻密に敷設されており、在り来りのオチなのに手数で面白くしてしまうテクニックに拍手喝采。とにかく馬鹿馬鹿しくなり過ぎない絶妙の匙加減でいい感じに荒唐無稽なのが素晴らしいです。作り手の映画愛がダイレクトに伝わってきて感動しました。

 ただし、殺人が起るまでの序盤は落ち着きすぎていて退屈。いや、イギリス特有のまったりな笑いに適応できる人はここも愉しめるんでしょうが普通の日本人の感性では厳しいと言えましょう。実は重要な情報が随所に散りばめられてるので、ここを欠伸を堪えながら眺めるのは避けたいところなんですが。残念ながら吹替えも故・広川太一郎さんのような奇跡的な仕上がりとは言えず笑いの助けにはなりません。もっとも、後半の展開を考えるとぶっ飛んだ話芸で誤魔化すわけにもいかないんですけどね。
 それと、キャラ多すぎ。田舎町に移動後の登場人物に殆んど捨てキャラ無しなので覚えるのが大変です。一方でヒロイン不在は寂しくもあり。ハリウッド映画みたいにいちいち恋に落ちる必要は無いですけど華がないのは辛いです。一応、ケイト・ブランシェットが出演してはいるんですが、まったく気づかない登場の仕方なんですよね。
 あと、セル版DVDの絵コンテ付き特典のせいで字幕ずれが酷いという問題が発生したのは残念。手抜きとしか思えないアホな仕様で本編がちゃんと観れないとかありえませんよ。特に本作は情報量が多くて繰り返し観たくなる映画なのに。

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スターシップ・トゥルーパーズ3

 原作はロバート・A・ハインラインの古典SF小説「宇宙の戦士」ですが、1作目のポール・ヴァーホーヴェン監督が好き放題やって元々の右翼色を極端に増幅。目玉であるパワードスーツを一切出さずに戦争賛美の毒をのせたマッチョでクレイジーな男女平等社会を舞台に進行する巨大昆虫VS歩兵部隊の超大作を完成。この作品は「戦争は狂っている」という事を天下に知らしめる傑作ですが、露骨に米軍風刺だし原作レイプだしでアメリカでは大不評。2作目はヴァーホーヴェンの手を離れシニカル色を弱めたDVD販売専用超低予算ホラーと相成ります。有り体に言えばカスでした。
 そして今回。シリーズ全ての脚本家エドワード・ニューマイヤーが監督を担当し、前作の3倍の予算(けど1作目の1/5)を確保。予算はA→C→B級に変遷したシリーズですが内容は一貫してB級であり、ようやく身の丈にあった作品となった感じです。初期の世界観に戻した戦争映画で、遂にパワードスーツ“マローダー”も登場の触れ込み。決して出来が良いとは言えませんが、このバカ映画シリーズを追う酔狂なファンにとってはそれなりに健闘した作品になっております。尚、ストーリー的には問題ないですが狂った設定を理解するために1作目の観賞は必須。

 総司令官がアイドル歌手と言う『マクロス』ですらやらない馬鹿馬鹿しい設定、未来兵器を駆使して何故か繰り広げられる前近代的で非効率な塹壕戦、グロい惨殺シーンから無駄脱ぎまでヴァーホーヴェン風で頑張ってくれました。明らかにハリボテっぽくチープで、ド迫力SFアクションの面影は微塵も残っていませんが、バカっぽく弾けてなんぼの作品なので前作から軌道修正しテイストの再現に努めた点は評価できます。
 ただ、風刺が真面目すぎ。ダイレクトに対テロ戦争をモチーフとし「戦争と宗教」をテーマに持ち込んだものの、ナンセンスな世界観と上手く融合せず中途半端に投げ出される格好に。司令官ご一行が不時着するまでの前半部がわかりにくくなる原因にしかなってないのは問題です。
 そして、終盤にようやくお目見えのマローダー。一言で片付ければ「あんなのパワードスーツじゃない!」な凄いデザイン。キングジョーかと思いました。傍若無人の強さで敵を圧倒するのは良いけど、機動歩兵部隊の強さからすると一気にインフレし過ぎです。格好よく盛り上がる筈の降臨シーンは笑わせどころに配置されてるし、隊員たちのスキャニング場面のインパクトが強すぎて僅か3分強のマローダーの活躍は完全に霞んでおりました。まあ、最初から期待してないわけですが。何はともあれ、もし続編って事になっても次は心置きなくスルーできるようになり一安心。

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