「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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28週後...

 いまやオスカー監督になってしまったダニー・ボイルが超低予算で撮った感染パニック映画『28日後...』の続編。共通する登場人物も無いため前作未見でも問題なく楽しめる・・・というか、細かい整合性やらテイストの違いを考えるとむしろ観てない方がいいかも。ゾンビ&戦争映画の色合いが増大しており、前作のいかにもイギリスっぽい毒気だらけの人間ドラマを期待すると辛いです。

 前回は英国民の大半が死滅し事態が終息に向かう時期の、荒廃した空っぽの街に遺された生存者の物語だったわけですが、今回は大幅予算アップとなり物量にものを言わせたヴィジュアルを実現できるという事で、台詞で済ませていた大量感染の地獄絵図を映像化。その為、復興後の再感染という路線と相成っております。ダニー・ボイルが製作総指揮に回り監督が交替した影響か、ドラマそっちのけで「走るゾンビ」の恐怖感たっぷりの逃走劇と死体のオンパレードとなる殲滅戦を中心に描写。閉鎖空間での感染発症パニックに、無差別発砲からナパーム&ガス攻撃の掃討シークエンス、ヘリコプターのローターを使った大量虐殺などド派手な狂気をぶつけてきます。ドキュメンタリー風の映像も効果的。特に冒頭で“別の28日後”を見せて前作のおさらいと「ヒューマニズムと緊急避難」という今回のテーマを集約したのは見事でした。ラストも巧い。
 ただ、臨場感を生む筈の手持ちカメラが寄りまくりブレまくり、スピード感重視とはいえカット割りすぎ、クライマックスで真っ黒画面乱舞など何が起こってるのか全然わからない場面が多いのが難点ですが。

 シチュエーションや映像は面白いんですが考証がかなり陳腐で苦笑。三宅島の全島避難やSARS騒動などの実例と比較しても復興は拙速だし都市封鎖は緩すぎます。媒介が死に絶えたから拡散が止まってるだけでウィルスが根絶したわけでは無いのに。感染源の進入経過とその後の対処もいちいちリアリティに乏しいです。これ程に素人でも容易に想像がつくレベルのミスを重ねてはあまりに危機感が無いというもの。マヌケな経緯でBSE発生となった日本でもここまで平和ボケした対応はしないでしょう。
 ストーリーも拙いです。罪を背負った父・地獄に残された母・無知と特異体質で悲劇を誘発する子供達を揃え期待感を高めながら、感染パニックに傾れ込んだら家族の感情なんか殆どどーでもいい扱いで進行。多数の利益の為に少数を犠牲にする人間の業を強調するにはNATO軍はお遊び感覚で信念がなさすぎ。登場人物が情に流される度に裏目に出る皮肉な展開が絶望感を誘う筈なのに、家族も軍も中途半端に描いただけでそこにドラマが無いのが残念でした。

28週後... (特別編) [DVD]28週後... (特別編) [DVD]
(2008/06/06)
ロバート・カーライルローズ・バーン

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少林少女

 公開時から渦巻く悪評に注目していた作品ですが、カンフー映画ファンが激怒しているものと思えばそういうレベルを遙かに超えて凄かったです。物語が何を目指し何処に向かうのかも謎なら、主要人物の背景・因果関係も理解しがたい。多くの矛盾を胎んだまま最後は唐突に「愛」とか言い出して大団円するに至っては斬新過ぎて言葉もありません。
 とにかくストーリーの酷さが目立ちますが、どんな屑ライターでもここまで整合性のない脚本を書くとは考えにくいです。ここは、『ラヂオの時間』で描かれてた「作り手のいい加減さやしがらみでどんどん内容が変わってしまう事態」が現実に起こったと、できるだけ好意的に解釈したいと思います。罵声はコントロールを放棄した監督・本広克行と公開に踏み切った製作・亀山千広、そして名義貸しのチャウ・シンチーに浴びせるべきです。宣伝でこれを誉めなきゃならなかった出演者や御用評論家にも同情しますよ。特に身体を張ってアクションを頑張った柴咲コウの無駄な努力に。彼女のマネジメントは何故いつもいつも罰ゲームみたいな仕事を受けちゃうんだろうか。

 これねぇ、本来の筋は①少林拳を普及させたい柴咲コウがラクロス部にスカウトされる。②いろいろあってチームが団結する。③皆の特技と少林拳で勝利、結果的に少林拳も普及。ってな流れだったと思うんです。そのままじゃモロ『少林サッカー』なので『スウィングガールズ』風を狙ったのでしょうね。チーム18人全員の設定が存在しキャストも可愛い娘ばかりです。公式BLOGによるとガールズは拳法やラクロスの特訓を行っており、友情ドラマや試合が丁寧に撮られていた節もあります。・・・それが何故だか②と③がダイジェストとなりガールズはエキストラ同然の扱いに。
 撮影途中で脚本の大幅変更を余儀なくされたとみてまず間違いないでしょう。おそらくラクロス部や中華料理屋のシーンを撮り終え仲村トオル絡みのシーンを残すのみの段階で。そして難解なパズルを余儀なくされた作り手は匙を投げ、後半は少林拳の普及もラクロスも無関係なバトルに費やされテーマ不在の事態に。たぶん、仲村トオルの暗躍や柴咲コウの巨大過ぎる「気」もバトル肥大化後の新設定なんでしょう。だから江口洋介が隠すべき愛弟子とともに敵の本丸でラクロスしたり、CG演出では「パワーが制御不能だからノーコン」となってるのに、チームメイトには「スタメン当確の上手い選手」と認識されてたりするのでしょう。

 ただ、当初コンセプト通りに少林ラクロスを作ったところで結果は同じでしょうね。B級アクションなんだから話なんてメチャメチャでもいいんです。でも、「徹底して格好いい功夫シーンを集める」とか、「ラクロス少女の躍動美を究める」とか、「柴咲コウの新たな魅力を追求する」とか、何でもいいからバカに徹する心意気が必要なのです。それが無い時点でこの企画の失敗は必然。香港コンビとナイナイ岡村のギャグで爆笑とっても意味なくて(実際はくすりとも笑えなかったですが)、欲しいのはいかれたコンセプトから滲み出る笑いなんですよ。チャウ・シンチーと言う看板を掲げた以上はそれは必須であり、この出来ならどう考えても「お蔵入り」が妥当でした。配給の見識が問われますよ、ホントに。

少林少女 コレクターズ・エディション少林少女 コレクターズ・エディション
(2008/11/05)
柴咲コウ仲村トオル

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シューテム・アップ

 ハード・ロックに載せて贈るB級アクションの面白さを凝縮したスタイリッシュなバカ映画。気合いで全編ひたすら撃ち続ける無茶苦茶なノリが堪りません。とてつもないナンセンス表現が目白押しなのにシリアスなバイオレンス描写が共存するのが素敵。好きな人だけ喜んでくれればいいという潔い態度で、不謹慎でお下品な小ネタの数々をスパイシーに連ねます。尺は90分弱でテンポもよく気軽に楽しめます。しかも意外に社会派。

 もう、開始早々から「行きずりの妊婦をお産させながらガン・ファイト」という想像を絶するシチュエーション。もちろん赤児を抱いた女で成り立つけどインパクト重視です。「ヘビメタで泣きやむ赤ん坊」という無理な設定、「駅弁ファックで銃撃戦」というハイパーバカ展開はじめ、オツムのネジが弛んだアイディアてんこ盛りでその都度口あんぐり。様々な手法とギミックでガン・アクションを楽しませる事に特化しており、物語は全てアクションへの繋ぎに過ぎないのですが、布石をきちんと打っていてパッチワーク感が薄いのに感心しました。何故か人参リスペクトなのも笑えます。アレはなにかのパロディなんでしょうか?

 「ジェイソン・ステイサムのテリトリーを犯すな!」とは思うものの、汚れた風体に仏頂面でキレやすい、でも創意工夫でなにがなんでも撃つ動物好きの主人公クライヴ・オーウェンが魅力的。対するは、銃撃戦の最中も携帯電話を手放さず奥さんに言い訳する家庭人ながら仕事は残虐で、実は人の行動や考えが読めるインテリの非情な中間管理職ポール・ジアマッティ。こちらもバカやりつつシリアスにブッ飛んでてよろしい。妖艶のひと言なモニカ・ベルッチは劇画チックな容貌が嵌ってます。主要人物のディテールがしっかりしているからこそ、破天荒なだけの「マンガ的」映画が成立するのであります。

シューテム・アップシューテム・アップ
(2008/10/08)
クライヴ・オーウェンモニカ・ベルッチ

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インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国

 本国ではラジー賞最悪リメイク賞を獲得し、日本でも興収の割に年間ベストと無縁で黒歴史扱いの本作。過大な期待に応えられなかったのは事実ですが、間違いなく『インディ・ジョーンズ』な奇想天外冒険活劇なのに。娯楽作品として旧作にヒケをとらない疾走感を維持してるし、シリーズ初体験でも単品ですんなり理解できる丁寧な造りになってる点も良いです。トリロジーとして美しく完結させておいて欲しかったとは思うものの、決して失敗作ではありません。むしろ「脚本の不出来なんて演出でカバーできる」という好例なのです。
 そりゃセピアな30年代の冒険譚が見られれば最高ですが、ハリソン・フォードは外せないし若返らないから作風に合わなくても時代設定は50年代にずらさざるを得ない。古臭くなろうがハリボテチックなチープ感を重視し予定調和なドタバタ展開に終始するのもシリーズものとしては仕方ないです。やたら高いハードルの割りに、数多の「劣化インディ」とは一線を画すアクション演出とユーモラスな小ネタの数々で片時も飽きさせず楽しませてくれてると思いますよ。構わないじゃないですか、宇宙人ぐらい。

 『レイダース』でがっかりしたクチなので気持ちはわかりますが、このシリーズは最初からオカルト有りの世界。キリスト教由来のお宝に限定してたわけでもない。胡散臭い考古学者であるヘンリー・ジョーンズJrがオーパーツに関わってるのは当然だし、そこに宇宙人が絡むのも定石でしょう。そこから大きく捻って来るかと思ったらションベンカーブだったのはアレですが、オチが酷いのも今回に限った話では無く伝統ですし。
 老けたといわれるハリソン・フォードだってイメージを崩さない程度にちゃんと動けてるし、これならep7のハン・ソロ役だって任せられますよ。何より演出が巧いので、タフな爺がアクション・ヒーローとして活躍してもやり過ぎにならない説得力があります。晩年の「カーク艦長とエンタープライズ・クルー」とは違うのです。
 そして、子供じみたルーカスと悪趣味大好きスピルバーグが本領発揮なのも楽しいです。ターザン映画で育ち空飛ぶ円盤に魅せられた少年だっただけあって当時と繋がる文化ネタ・映画ネタが多くセルフ・パロディも盛り沢山。被爆ゴシゴシのシーンに反発してる人がいますけど、アレも『007 ドクター・ノオ』のオマージュで核兵器に無知なわけではないですよ。

 アドベンチャー要素にハラハラする場面が少なく、特にお約束のトラップ系ピンチが無いのが残念でしたが、カーチェイスやアクションは見事。スクリューボール・コメディまんまの恋愛劇も違和感ありません。ただ、惜しむらくはストーリーに一貫性が無い。ジェットコースター・ムービー”と呼ばれ荒唐無稽のアトラクションを繰り広げてきたアクション優先の漫画的世界とはいえ、倉庫で入手した物やケイト・ブランシェットの超能力設定がそれっきりってのは酷い。毒矢で襲う守り人の件なんかも出オチで済ましちゃうのは乱暴です。あれじゃインディは殺人&逃亡の外国人犯罪者としてお縄だし。

インディ・ジョーンズ/ クリスタル・スカルの王国 スペシャルコレクターズ・エディション 【2枚組】 [DVD]インディ・ジョーンズ/ クリスタル・スカルの王国 スペシャルコレクターズ・エディション 【2枚組】 [DVD]
(2008/11/07)
ハリソン・フォードケイト・ブランシェット

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