「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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魔法にかけられて

 「アニメのキャラクターが生身になったら」という、どう考えても自爆気味のコンセプトながら意外に好評なこの映画。怖いもの見たさの観賞でしたが確かにこれは楽しかったです。大人にも子供にものディズニーらしいそつのない作りですが、掟破りの徹底したセルフ・パロディが見事。プリンセスの歌声で実写のハト・ネズミ・ゴキブリが集うのにはぶったまげました。しかもハトが、ハトがぱくりと・・・。

 お約束シーンがいっぱいで半端ない動きの伝統的手描きアニメはグラデーションが美しいです。実写映像に切り替わるまでスクリーンサイズが小さい辺りにセルアニメへの拘りを感じました。で、魔女に騙され落とされた「それからずっと幸せに暮らしましたとさ」の無い世界が現代のニューヨークというのも巧い。ディズニー・ファンタジーをリアルでやればとんでもなくバカバカしい画になるしかないんですが、セントラルパークでのミュージカルシーンを観てると「大雪とか大停電にあっさり順応するニューヨーカーなら或いはこれぐらい・・・。」と思わされちゃいます。単純に悪意で皮肉るのではなく、真理は揺るがせずにシンデレラ・ストーリーに仕立て上げる“ディズニー愛”にも脱帽。これはジブリには出来そうもない芸当ですな。

 そしてアニメ世界の人々のキャラ造形が素晴らしいです。お伽噺のお姫様が意外に年齢くってる事実はショッキングですが、エイミー・アダムスの超夢見がちで突き抜けた天真爛漫ぶりはチャーミング。ジェームズ・マースデンも大馬鹿ぶりが最高なナルシスト王子に全てがぴったりです。極め付きは漫画キャラそのままのティモシー・スポール。生身なのにCGのリスより嘘くさいんだから凄いです。一方で、現実世界の住人たる弁護士親娘とその恋人はどうしても地味ですな。

 惜しむらくはクライマックス・バトルからラストまでが妙に淡泊。リスの活躍は中途半端だし、ヒロインを慕う娘が蚊帳の外なのもファミリー路線としてはいかがなものか。ここで子役と動物に活躍させつつ王子達も絡めてもう少し丁寧にロマンスを処理すれば美しいフィニッシュが決めれたと思うんですがねぇ。何故に肝心なところが鹿島と若松の『みゆき』オチ同等なのよ。

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(2008/07/18)
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アフタースクール

 「甘くみてるとダマされちゃいますよ」なる煽り文句の公然どんでん返し映画。数多の作品が自らハードルを上げて敢え無く転倒する中で、本作はかなりの確率で引っかける見事な出来栄え。非常に緻密な構成でトリックを見抜こうと身構える程に作り手の思う壺な仕掛けが盛り沢山。種明かしに大きな驚きはないですが、伏線の張り方が上手くミスリードを誘う巧みな演出もあり、メッセージも痛快ならオチも好印象。終盤の展開には山ほど讃辞があるのですが、ネタバレになるので何も書けないのが難です。

 とりあえず内田けんじ監督を誉めましょう。TVドラマ的演出ではない貴重な正統派商業映画でして、しかもオリジナル脚本というのが素晴らしいです。リアリティを大きくは損なわず、コミカルな演出も大きくは外さない匙加減。いかにも人の良さそうな大泉洋、胡散臭く捻くれた佐々木蔵之介、捉え所のない笑顔の堺雅人と、ムード通りに個性派俳優たちを配置し絶妙のテンポと間合いで楽しませてくれました。実は堺と佐々木の共演シーンが存在しないってのも凄いです。ただ、傑作として絶賛できるかというと否でして大きな弱点も抱えております。

 それは「種明かしされるまでは面白くない」ということ。とても良く出来た騙しのアイデアですが作劇に最大限に活かされてるとは言えないのですよ。だって「堺雅人の失踪」自体には興味を惹く要素が薄く、彼に感情移入する材料も殆ど無いから“追われる男”のサスペンスが成り立たないもの。逆に“追跡者”佐々木蔵之介の情報提示は早過ぎます。少し謎を引っ張るなり先バレを笑いに活用するなりあればいいのですが、特に何もなく中だるみの要因にしかなってません。結果、“巻き込まれた男”大泉洋のキャラクターだけで保たす形となり、追跡で明らかになる事実に新鮮味がない点も辛いです。ドラマに目を離せない求心力がない為、折角の伏線も見落とされるという悲劇。まあ、終盤まで我慢してついてくれば、トリック判明後の再観賞は楽しいんですがね。観客を騙すことだけを目的にした必然性のない行動が時折見られる点はマイナスだけど。

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ウォンテッド

 日本だと「あなたならできるわ。」 とか「ダメよ逃げちゃ。」とかで巨大ロボットに乗せられちゃうところですが、アメリカのボンクラは正義の暗殺組織にスカウトされて銃を持たされたりするらしい。けど、冴えない若造が才能発覚でバラ色人生なんて甘い話にならない所は洋の東西を問わず。主人公に待っていたのは常識外れの過酷な特訓。瀕死の状態まで殴る蹴るされて秘伝の風呂で全回復の繰り返しというサイヤ人方式のレベルアップ術なのでした。
 餌食になるのはへなちょこ男若手No.1のジェームズ・マカヴォイ、無慈悲なコーチは蜥蜴顔の女王様アンジェリーナ・ジョリーという、これ以上ないキャスティングのスタイリッシュ・ガン・アクション映画。けど、荒唐無稽のドンパチや無駄に残虐な人体破壊描写やブラックな笑いで好き嫌いは分かれそう。

 冒頭の超人バトルから始まって、こじつけ臭い主人公の特殊能力、やたらサディスティックな訓練、トンデモ設定満載の老舗暗殺組織の匠の技、超絶カーアクションにやり過ぎ気味のガン=カタと全力疾走でかっ飛ばしてくれます。構図が際立ってて面白い映像で攻めまくるし決めポーズがいちいち格好良い。特にアンジー姐さんの女ぶりが最高です。また、間に挿入される笑いのセンスも悪くないです。でも、終盤のストーリーが妙な方向に収束していき見事に失速してしまうのが残念。
 ひねりが裏目にでて凝ったつもりがありきたりな展開に陥ってしまったのでした。燃え要素が強調されてるならそれも良しですが、あのあっさりなオチじゃ感情移入は難しいです。更に根本的な敗因としては意味もなく広げすぎた風呂敷が挙げられます。神の託宣で標的を定める千年続く組織なんて無理のある設定はどう考えても不必要ですし、「曲がる銃弾」は使い手が多すぎて主人公がスペシャルに見えません。タイトルの「指名手配」に至っては本編で全然関係ないし色々消化不良。スポ根SM一点突破でバカに徹してくれれば良かったのに。

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(2009/02/25)
ジェームズ・マカヴォイアンジェリーナ・ジョリー

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モンゴル

 アカデミー賞ノミネートが話題となったロシア人監督によるチンギス・ハーン(テムジン)の青年時代を描いた浅野忠信主演映画。他のキャストはモンゴル人と中国人で占められ全編モンゴル語で演じられており異国情緒をかき立てる効果はあるものの、「何故、浅野忠信?」という疑問もついて回ります。世界征服を成した蛮族の王にしては線が細いですし、年齢的にも青年を演じるのに無理があるし。それに見た目だけ蒙古してても話がそれらしくないので考え込んでしまうのでした。別に史実よりも創作に重点を置くのはいいんですが。

 違和感の正体は血族の不在。光栄のゲームの「オルド」などでも有名なとおりチンギス王朝の繁栄と兄弟&子孫は切っても切れないわけですが、本作では母がフェードアウトし重要人物である弟達や嫁の一族の活躍もオミットされ、基本的にテムジンと嫁ボルテの二人だけの闘争として描かれるのです。しかも負け戦のたびに夫婦が交互に捕まっての繰り返しで殆どの時間を費やします。
 受難を乗り越えて成長し「裏切りと略奪」の蛮族世界に新たな秩序をもたらす進歩的夫婦というのをやりたいようなのですが、武勇や知謀や人心掌握過程など夫婦のカリスマ性をばっさりカットして「天の意志」で命を繋がれちゃ、英雄譚としてのドラマ性云々以前に「テムジンはいかにしてモンゴルを建国したのか?」という歴史映画の基本的な疑問の答えすら出ません。

 画は終始美しく草原のスケール感もばっちり。血生臭い合戦シーンにみるメリハリのきいた演出やモンゴルや西夏の生活様式などは『蒼き狼 地果て海尽きるまで』とは大違いのリアルさであります。ただヒロインの風貌はリアル過ぎ。もう紛う事なきモンゴロイド。ポカホンタスみたいな彼女がモンゴル基準の美人なのか欧米人の好むアジアン・ビューティなのかは気になるところです。

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