「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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2009年私的映画ベスト

 今年は毎週日曜更新で52本の感想をアップしました。しかし、2009年公開作は5本しか書けておらず、依然として消化ペースがままなりません。対象が08年1月~09年11月発売のDVDということで前年の借金が響いてる感じです。内訳は洋画32本・邦画20本で邦画が微増。サイコキラーとゲテモノ映画がズンドコ洋画に並んだ為に箸休めの日本映画が必要だったのであります。ぶっちぎりで酷い映画は『少林少女』ぐらいであまり珍作がなかったというか、『20世紀少年』三部作を華麗にスルーして大沢たかおと綾瀬はるかにも殆どちょっかいを出してないだけですか・・・。

 閑話休題。表題の2009年私的映画ベストの選考ですが、今年も観賞は下記18作に留まる体たらく。『スタトレ』と『THIS IS IT』は劇場で2回観たけど。真剣に悩んだ末に勇気が無くて仮面ライダーとウルトラマンの映画を回避しマクロス映画を見忘れたにも拘わらず、なんだか中学生魂全開のラインナップとなっており愕然であります。宇宙や山やプロレスもあの頃から大好きだったし。さて、そんな中でベスト3はこうなりました。

 第一位:マイケル・ジャクソン THIS IS IT (IMAX版)
 第二位:スター・トレック
 第三位:グラン・トリノ

 万人が認める傑作『グラン・トリノ』が三位に沈むとか自分でも吃驚。作品の完成度がだいぶ劣るマイケル映画を最上位にしたのはIMAXシアター版の臨場感が通常版とは別物だったからです。リハーサル会場を体感できるのです。そんな映画は他にありません。
 そして、社会派映画の傑作は数あれど娯楽作としてシンプルに出来がよい作品が最近は稀という事で敢えて『スタトレ』を上に置きました。ちなみに次点は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』。あれはTVシリーズを知っててこその衝撃の映画なので若干評価を下げました。

(劇場観賞作品)
チェンジリング
ヤッターマン
ウォッチメン
スラムドッグ$ミリオネア
グラン・トリノ
スター・トレック
ターミネーター4
レスラー
トランスフォーマー/リベンジ
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
劔岳 点の記
サマーウォーズ
宇宙へ。
マイケル・ジャクソン THIS IS IT
2012
イングロリアス・バスターズ

(DVD観賞作品)
レッドクリフ PartⅡ ―未来への最終決戦―
マンマ・ミーア!

 そろそろ週一の感想文作成が負担になりつつありますが、来年もよろしくお願いします。それでは皆さん良いお年を。
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グラン・トリノ

 ユーモアに溢れ重厚で感動的なヒューマンドラマとして絶賛に次ぐ絶賛の作品ですが、『チェンジリング』を撮り終えたクリント・イーストウッド監督が次作『インビクタス』までちょっと手が空いたので制作されたという触れ込み。たぶんそれは本当で、イーストウッド以外は無名で素人も多いキャストであり、セットもヴィンテージ・カー「グラン・トリノ」を除けばビックリするほど金がかかってないです。ワンテイクOKで知られる監督の事だからさっと撮り終えちゃったことは想像に難くない。それで傑作を作り出せちゃう魔法のような演出力に呆れるばかりです。

 とにかくシンプルに見えて語るべきテーマが数多いのが本作の魅力でありますので、その意味づけについて語るのはやめてしまおうと思います。今後は監督に専念して俳優業から引退するというのですから「役者・イーストウッド」としての感想をば。まあ、本当に引退するかは結構怪しいわけですが。
 悪態をつき狂犬のように唸り自分の落とし前は自分でつける80歳近い頑固ジジイ。常に暴力で悪を屈服させてきた男。この役は『ダーティハリー』をバック・ボーンに持つイーストウッド以外に考えられない。半引退状態だった老優が引っ張り出されるのも納得です。ひたすらカメラの前に居座り、格好良く美味しいところを全部持って行く往年の大スターらしい大見得の大根演技に拍手喝采。最近のいぶし銀演技じゃ見納めに相応しくないですからね。これは山田康雄の吹替で観たかったかも。

 あと、古き良きアメリカを支えたポーランド系移民もモン族なるラオス系山岳民族も等しく未知の存在なので色々と異文化を知れて良かったです。日曜大工を大きく飛び越えたレベルで家を直し庭を手入れするのが男の仕事とされるアメリカンマッチョ主義もピンとこなけりゃ、強引な貢ぎ物攻撃で感謝の意を表し男尊女卑傾向が強そうなモン族の風習も謎でありました。特にデトロイトでモン族は何を生業に暮らしてるのかとか、改宗して無さそうな彼らの教会との関わりとか興味深いです。なんとなく沖縄っぽい文化な印象なんですが。

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ベガスの恋に勝つルール

 キャメロン・ディアス主演のベタなラブコメ映画。相手役はデミ・ムーアの16歳下の夫、アシュトン・カッチャーです。『バタフライ・エフェクト』や『守護神』でシリアスな芝居をしてた彼ですが、元々はコメディ畑の出身という事でその実力に興味津々で観賞。
 いや、面白いです、アシュトン。キャメロン顔負けのハイテンション演技とマシンガン・トークを披露しコメディ・センスも抜群。下品になりすぎずさらりとシモネタをこなし、なんかやたらと半裸になってます。性格が子供な上に恐ろしく不潔でだらしない役だってのに好感度が揺るがないんだからたいしたものです。
 勿論、キャメロンも肉体美とコケティッシュな笑顔に大人の落ち着きを加えつつも相変わらずバカバカしいことをやってくれてます。『ホリデイ』の時ほどは老けも感じませんし、このジャンルでは流石の安定感で笑わせて観客にも元気をチャージ。「計画好きの女」という初期設定がどっか行っちゃったり仕事のスタンスが曖昧だったりと脚本が不出来の割りに普通に笑えるのは彼女のスキルの賜物ですね。
 しかし、年の差カップルのイメージですがこの二人は5歳しか違わないんですね。ちゅか、アシュトンってもう30過ぎなのか。

 こういうお気楽な映画でストーリー云々は野暮というものですが、後半の展開が物凄く雑なのが残念。常識外れで風変わりな男女が喧嘩をしながら恋に落ちるというガチガチのスクリューボール・コメディなだけに、ヒロインの心境変化に説得力が無くロマンチックな盛り上がりに欠けるのは腑に落ちません。ただ、酔っぱらって勢いで結婚しただけのカップルがベガスで降って沸いた金を折半せずに一人占めを狙うという、身も蓋もなく浅ましい話の割りには金に執着したドロドロな雰囲気が皆無なのが良いですね。
 ベガスの何でもありありな所や、婚姻は易く離婚は難くいつでもカウンセラーが大活躍のアメリカ社会、結構可愛くて特に落ち度も無いアジアン系女優が徹底して蔑まれその地位も推して知るべしな点なども興味深かったです。

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スター・トレック

 11作目の劇場版は若きカークとスポックが登場するということで、ミッシング・リンクになってる出航初期の「宇宙大作戦」クルーの冒険を新キャストで描くモノと思われていましたが、蓋を開けてみたら正当な続編で驚きました。ファンなら冒頭10分で気づく事なのでぶっちゃけますが、本作は歴史改変された別世界のカーク達の物語でして、時間軸は前作『ネメシス/S.T.X』よりも後のエピソードなのであります。つまり、タイム・ワープものの亜流ですね。
 しかし、そんな小難しいSF設定は無視しても問題ないように配慮されており、今までスタートレックを全く観た事が無くてもわけわからんくらい面白い作品です。エピソードの積み重ね方や演出が凄く巧く、異常にスピーディーな進行でキャラクターの魅力を前面に押し出して語られるエンタープライズ号のファースト・ミッションは、ベタにカークとスポックの成長と友情の物語なのであります。勿論、オールドファンに嬉しい小ネタの数々も仕込まれてるし、考証も映像もマニアが及第点くれるだけのクオリティとシリーズ本来の大味さ加減をキープしております。細かい笑いも豊富な極上の娯楽スペースオペラとして万人にお勧め出来る一品です。

 先ず、ファンには自明な事なのでサクッと済ませる必要があるキャラ紹介の手際良さに感心しました。メイン・クルーの特技や性格を一瞬で把握させ、さりげない仕草で旧作ファンの拒否反応も押さえ込んでます。それでいて従来の未来的な小綺麗さやエリート臭を抜いた人間臭いキャラに構築してあるのが上手いです。カーク程ではないにしても、それぞれに人生が変わってるってことで説明はつきます。スポックが尖って育ってしまっただけじゃなくあそこまで感情交流盛んな人格になったのは謎ですが。
 また、パラレル設定であるが故の緊張感も素晴らしいです。中盤の度肝を抜く展開で安泰なはずのメインクルーですらこの設定下では死ぬ恐れがある事に気づき感嘆。TVシリーズの設定に齟齬が生じないように色々と制限され時に緊張感を欠いた過去の映画とは大違いです。

 ただしカークに指揮能力があるようには見えない点は問題。コバヤシマル・テストはカークらしくない手抜きの連発ですし、実戦では殆ど「スコッティ、なんとかしろ!」で済ませてますし。まあ、前任者のパイク艦長からして主任不在で貴重な筈の操舵士を強襲メンバーに加え生身で降下させるという衝撃の采配を振るってるんですが。この艦に保安部はないのか?
 新造艦とはいえホワイトベース並みに正規クルー不足なエンタープライズってのも腑に落ちません。よく考えるとスポック以外は今回のミッションの最中に諸事情で抜擢された新人なんですよね。チェコフだけは特に言及もなく最初からブリッジに居るけど。こいつ一番若輩なのに。

 役者さんでは主役のクリス・パインがとにかくカッコいいです。自信満々の目つきがウィリアム・シャトナーのイメージそのまま。ザカリー・クイントのスポックも立ち居振る舞いを良く似せてます。ミスター加藤ことスールーが韓国系のジョン・チョーになってしまったのは日本人として少し寂しく、アントン・イェルチンはチェコフより『ターミネーター4』のカイル・リース役の方が嵌ってる気がしました。『ホット・ファズ』のサイモン・ペグ演じるスコットは美味しすぎ。『ターミナル』でトレッキーの空港員としてバルカンサインを決めてたゾーイ・サルダナがウフーラ役というのも凄い因縁です。クライマックスに出が薄いマッコイ役のカール・アーバンは敵役のエリック・バナと同様に全然印象に残らないポジションだったので次回の活躍を期待。

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闇の子供たち

 新聞記者の男とNGOの女がタイの児童売買春&臓器売買に迫る社会派作品。テーマも問題作ですが、売春宿の描写が露骨に劣悪だった一昔前のイメージだったり不正な心臓移植のパートが完全に創作だったりするのに「真実の物語」というコピーを前面にPRした点でも問題作だったりします。けど、とかく邦画界大手が好まないこの種の映画にこれだけの商業的なキャストを揃え、世界にはゴロゴロとある貧困の現実を真正面から見据えた点は高く評価せざるを得ません。目を背けたくなるような描写が多いので受ける側にもパワーが必要ですが、作り手のメッセージが明確に映像化されております。男達はもちろんですが、自分撮りで安易にポルノ画像をまき散らす無知な少女達にこの映画を観て欲しいのでした。

 ただ、結論から言ってしまうと、この映画は残念な作品です。デリケートな題材を細心の注意を払って撮った事は伝わりますし、役者達も監督の意気込みに熱演で応えてますが、とにかく脚本のまとまりが悪いです。特に終盤の展開がわかりにくい事この上ない。最後のオチはなかなかのアイデアで伏線の潜ませかたも上手いんですが、見せ方が悪いので折角仕込んだミスディレクションが見落とされる悲しい結果に。江口洋介、タイ人ボランティア、ブローカーの若者のキーマン3人のポジションをもっと整理出来てれば単なる告発モノに留まらない上質な社会派サスペンスに成り得たと思うんですがねぇ。
 敗因は訴えたい事があまりに多すぎた事でしょう。売春組織 VS NGOを軸に進めればいいものを、病児を抱えた日本の家族だとか捨てられた少女の顛末とかまで手を出してちゃ主題が煮込み不足になるのも必然です。自分探し女やへたれカメラマンの成長物語も不要。歌詞が延々と字幕で流れる桑田佳祐の主題歌のシーンも、気持ちはわかりますが監督の入れ込み過ぎです。

 しかしながら、チャイルド・ポルノ天国の日本、VISAで買える命、養子縁組で巧妙化する虐待などなど、貧困と暴力の実態を描き問題を提起するという目的は十二分に果たしております。劇中の手術云々は嘘にしても臓器にばらして輸出してる可能性は否定出来ずうんざりな現状に変わりはありませんし。タイ人キャスト、特に子供達の無表情や脅えた視線が自然なのが利いてますね。裸は極力写してないにしても少年少女には滅茶ハードな撮影内容だったろうに。天晴れ。

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江口洋介宮崎あおい

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