「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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蛇にピアス

 正直言って話題の「ハードな濡れ場」目当てでありまして、芥川賞獲った原作のあらすじどころか主演・吉高由里子の顔すら知らない状態での観賞でしたが、エロ抜きでも結構興味深い映画でした。好き嫌いは両極端に分かれそうですが、若い頃には村上龍や山田詠美を読み漁ってたマピールさん的にはモロ好み。いかんせん過剰にセンシティブな女心を正面から受け止めるパワーが失われて久しいのですが・・・。

 なんちゅうか、村上龍の『コインロッカー・ベイビーズ』を女性視点にして焼き直した感じの話でした。ピアスとか刺青とか挙げ句にスネーク・タンとか、行為が理解しがたいし破滅的な生き方も全然感情移入出来ないんですけど、痛みでしか生きてる実感を捉えられない自傷行為癖のメンヘラな人達の心を鷲掴みにしそうな危うさがこの作品にはあると感じました。
 こういう変な話は奇を衒った映像にされがちなんですが、クラシカルというか王道の演出で撮ってたのが印象的。一昔前ならVシネかロマンポルノの枠じゃなきゃ映像化出来なかったものが文芸作として繊細に扱われたことが嬉しいです。癖のある話に加え役者の力量もそれなりなので万人ウケの傑作とは言い難いですが、たぶん原作の魅力をあまり損なわずに映画化出来てるんじゃないかと想像します。

 んで、当初目的のHシーン。吉高由里子は開始10分足らずのベッドシーンを皮切りに次々と出し惜しみ無しでヌードを披露。ビッチな演技と脱ぎっぷりの良さが光りますが、個人的には濡れ場でのエロさはイマイチ。まあ、ポルノじゃないので彼女の痛みを伝えられればいいのですが、全編に渡り痛々しい彼女が素晴らしいのに、サディスティックなセックスの時だけプレイっぽくて見劣りなのであります。入れ墨を入れる時の肢体とかは凄くセクシーでしたが。
 相手役の男二人、高良健吾&ARATAはインモラルな雰囲気がとても良かったし、見た目の割りに甲斐甲斐しかったりの萌えキャラを巧く演じていたと思いますが、一線を越えた時のバイオレンス度がちょっと弱かったように思います。彼女を殺しかねない狂気を見せるには至らず残念。
 あと、ちょっと邪魔くさかったのは無駄に豪華な端役達。主役陣が拙いなりに世界観にシンクロする一方で、カメオ出演の人達が浮いてるのはいただけません。特に、本当にどーでもいい役で出演してる唐沢寿明には笑ってしまいました。ここ凄く大事なシーンなのに。

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ハプニング

 M・ナイト・シャマラン監督のラジー賞ノミネート作品。序盤から事件が原因不明のまま一過性で終わる事を繰り返し示唆するという物凄く潔い態度を見ても解る通り、ショッキングな題材をスリリングに煮詰める気はまるでなく「自殺品評会」の一点突破でなんとかしようという魂胆が見え見えなのでした。でも、「何かがおかしくなり始めている」という恐怖だけで押し切るにはアイデアが足りず、90分すら保たしきれなかったのでした。
 ホラーは度を超すとコメディになる事が多々あるのですが、本作は中途半端すぎて笑いも弱いのが辛いです。世捨て人ばあさんのキレっぷりを堪能するには登場シーンが短すぎる上に、ストーリー的にも意味不明すぎ。ヒロインのズーイー・デシャネルはチャーミングですがダメ妻の設定をあまり活かせてません。主人公マーク・ウォルバーグの変なキャラは結構良かったんですが。

 シャマラン監督は『シックスセンス』で偶々アイデア一発が嵌ったので勘違いされてますが、あくまで原案向けの人で基本的に脚本を書かせちゃいけない人だと思います。風呂敷を広げるのは抜群にうまいけど、畳むのは苦手というかそもそも畳む気が無くてオカルトと愛のパワーで片付けるのが常套なんですから。ドンデン返しも本当は全然得意じゃないです。
 けど演出力は高く、観る物を困惑させる古臭さと新しさの渾然一体加減に中毒症状を引き起こす魔力が潜んでます。今回も「人々が突然に次々と自殺し始めたら?」という着想だけで撮った、つまらなくてオチもなければ人間ドラマもない手抜き映画なのですが、「シャマランらしい」というしかない後味はしっかり残すのであります。スポンサーに愛想を尽かされる前に、巧く手綱を操れる人材に出会う事を願うばかりです。

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ハンコック

 “ぶん殴って世界を救い続ける男”ウィル・スミスによる、酔いどれでがさつで傍迷惑で嫌われ者のスーパーヒーローの更正物語。傍若無人ぶりを笑って楽しむ王道パロディから覚醒の燃え展開かと思いきや、終盤で明後日の方向に舵を切って度肝を抜いてくれました。ウィル・スミス映画は風呂敷を目一杯広げておいて最後ヘボというのが多すぎます。

 ハンコックのキャラ設定が面白くハチャメチャな活躍も馬鹿馬鹿しくて楽しかったです。実質80分強を一気に突っ走るので退屈する暇もありません。が、終わってみれば圧倒的な物足りなさに唖然呆然。「おっ、意外な展開!」「ここでホームコメディかよ!!」「更に意外な設定!!!」「なんかシリアスなラブストーリー発動!?」「まあ、一山越えてここから・・・えっ!これで終わり?」と、こんな感じで2時間の映画の残り30分を丸ごとカットしたかのごとくグダグダに終劇。前半の話とも繋がらなければ急展開後の話も解決せずラスボスも不在のままに。ここまで違和感を隠さない投げっぱなしは珍しいです。

 強引なシフトチェンジが大失敗だったのは間違いないんですがアイデア自体は悪くなかったと思います。ただ絶望的に調理が下手。明確に悪の組織を存在させて人間として生きるかヒーローとして生きるかにテーマに絞れば、迷惑をかけてでも戦い続けるコミカルな話に仮面ライダー的な芯が通ったと思うのですが、「ハンコックの謎」が尺の短さの割りに無駄な設定ばかりで全体がぼやけた印象。あれだけのスペックを持つ超人の相手が一般の犯罪者だけで、賢くカッコイイ敵や狂言回しの珍キャラも出てこないとなると尻すぼみは自明でした。あと、囚人達とか警官達とかバスケとか子供とかを終盤に活かす展開を考えて欲しかったところ。

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私は貝になりたい

 TBSの歴史に燦然と輝く半世紀前の伝説的TVドラマのリメイク版。再放送・再ドラマ化・懐かし番組のダイジェストなどで誰もがあらすじとオチを知ってる作品ですが、オリジナルと同じ橋本忍の手による脚本は潔いまでに意外性ゼロで手堅く反米・反戦の気持ちを伝えてきます。SMAPの中居正広が主人公という事で脊髄反射的にダメダメ感がつきまとい実際に足を引っ張る場面も多々あるのですが、超シリアスに演られると凄くヘビーな物話なだけに「中居クン」まんまのコント演技が一服の清涼剤な部分もあり短所を相殺。ちゅか、それだけじゃなく映画全体がいろんな意味でチグハグなんですが、オリジナルを凌ぐことはないけど良さは殺さない絶妙の玉石混淆加減で意外と良作になっちゃってる不思議。

 中居クンには「ガビーン!」とか「ガチョーン!!」とかそういう擬音がピッタリのオーバーアクトが飛び出す難はあるものの、前半はアイドルなのにちゃんと善良小市民のオッサンに見える演技をしてるし後半は丸刈り&ダイエットの努力に見合うだけの画は撮れてて及第点。クライマックスは鬼気迫りますし、面会で子供達と会うシーンとか大根だけど子役パワーで最後よりもむしろ泣けました。
 問題は白黒写真ですら現代の芸能人にしか見えない仲間由紀恵の方です。高知の田舎者っぽさも無ければ薄汚かったりやつれたりとも無縁。芝居そのものにも苦悩や辛抱の要素がごっそり抜け落ちてます。署名集めとか夫婦愛を前面に押し出したものとなっているのに、吹雪く中でまで小綺麗な顔してちゃ全然ヒロインの必死さが伝わってきません。
 けど紅白コンビの演技が頼りない穴は豪華な個性派俳優陣が少ない見せ場でいい演技を見せて埋めております。外人達もそれぞれいい味。ただ荒川良々と笑福亭鶴瓶は本人が持つキャラ・イメージが強すぎて納まりが悪く、草クンの登場もコント色を無意味に増幅するのが困ります。皆、確実に中居クンより巧いんですが。

 助命嘆願してくれる人が大勢いて愛する家族もいる男が「貝になりたい」という心境に至るには、もっと要領の悪い人生を強調したり理不尽な受難を増やす必要がある気もしますし、「悪いのは軍で国民は被害者」「連合軍の裁判は出鱈目で不公平」という主張が強調されすぎてるのは気に入りませんが、やはり脚本のクオリティは高くこの頃流行りの無理矢理な泣かせ連発に陥らないのが好感。
 そして撮影が高水準。テレビドラマ出身の初監督作品だそうですが、とても映画的に画面を大きく使って撮っているのに感心しました。四季を美しく切り撮った近代化される前の日本の風景は特筆ものだし、見事に再現された巣鴨プリズンの外観や内部なども見所です。焼け跡のCGは酷すぎて笑っちゃいますが。時代考証は多分に怪しい感じでいながらも、進駐軍・帝國職業軍人・地方名士・市井の人々などのディテールはリアルっぽく演出され、木曜日に響くお経と聖書の醸すムードも本格的。何より2時間超でありながら長尺を感じさせないのが素晴らしかったです。

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センター・オブ・ジ・アース

 この子供向けフル3D映画を大人がDVDで観賞する意味を見出すのはちょっと難しいのですが、ジュール・ベルヌの名前を出されると放っとけないのがSF者の性。ただし、ベルヌの『地底旅行』そのものが描かれるわけではなく、現代人が『地底旅行』に記述された空洞を発見するという半分以上オリジナルのストーリーであります。華が必要なのでガイド役も女性に変更されてますが、『八十日間世界一周』にジャッキー・チェンをキャスティングした事を考えれば全然小さな相違点ですよ。

 科学者と甥っ子と案内人という人物構成や甥っ子がはぐれる展開を律儀に踏襲してたり、ストーリーにはそれなりのリスペクトは感じられます。ただ、キッズ向けとはいえあまりにもオーソドックスなアトラクションムービーなのは困りもの。加えて、独自要素もさほど面白くないです。特に主人公達が『地底旅行』の読者という設定の弊害で、未知の世界を探検し謎を解くという冒険映画の醍醐味がごっそり失われてるのは本末転倒でしょう。現代レベルの科学常識や携帯世代のキッズのカルチャーショックを全然活かせてないのも手抜きとしか思えません。

 で、売りの映像の方はというと・・・。立体感ばっちりの岩山に臨場感溢れるトロッコの疾走、体が自然と反応するようなド迫力の食虫植物や飛び出すような古代生物。水濡れで強調されたヒロインのバストも揺れまくる。そういう演出が為されてるシーンなんだと脳内で3D映像を補完しない限り、ノーマル映像はかなりしょぼいのが辛いです。古典SFまんまの科学ネタが子供だましなファンタジー色が強めるばかりなのに苦笑したものの、「キノコの森」とかベルヌ世界の再現はなかなか見事だったので個人的にはわりと満足。

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