「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

 『セブン』『ファイト・クラブ』のデヴィッド・フィンチャー×ブラッド・ピット作品ですが、ああいうサイコでマッチョでソリッドなバイオレンスを期待するのは大間違い。原作が文豪スコット・フィッツジェラルドで「80歳の体で生まれ若返っていく男の人生を描く物語」と聞けばらしからぬファンタジーなのはご理解いただけると思います。もっとも原作とは全くと言っていいほど違うストーリーになってるらしいというか、これはどう見ても『フォレスト・ガンプ』の焼き直しなのであります。始まり方は『タイタニック』だけども。

 しかし、勝手リメイクとはいえ侮りがたい出来。どうやら最近のフィンチャー監督は本気でアカデミー賞を狙ってるようですね。前作『ゾディアック』もアメリカ現代史を背景とした大作でしたが今回もいかにもオスカー好みな力作です。淡々とした内容ながらも3時間弱の長尺を飽きさせずに興味を引き続ける作劇が為されており『ゾディアック』より取っ付きやすいのがありがたい。設定から想像させるような艱難辛苦や悲劇の連鎖といったあざとい泣かせは一切無しで、善男善女に囲まれた順風でありふれた人生の悲喜を主人公を取り巻く非常に魅力的な人々によって描いており、惚れ惚れする演出力です。ただし、これをペーソスたっぷりな大人の寓話と受け取れるのは折り返し地点を過ぎた世代であり若い人ほどわかりにくい気がしますが。

 もう一つの売りは特殊メイク&視覚効果。老化したブラピの顔と子供ボディとの合成は遂にここまで来たかと感嘆する魔法みたいな出来栄え。ケイト・ブランシェットの10代メイクも見事ですし背景美術にも凄く拘りがあるのが伝わります。無論、何段階かの年齢を演じ分けられる役者達の力量あってのものですが、CG時代の映像表現として相当レベルが高いです。ただ、幼少期が小さな老人だったのに晩年のブラピをバカでかい幼児にしないで逃げてしまったのは残念。

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ゲット スマート

 60年代のアメリカTVドラマ『それ行けスマート』の映画化。舞台を現代に置き換えてのリメイクですが微妙にネクスト・ジェネレーションの風情も。主人公が属する秘密諜報機関には靴電話を駆使したスパイがかつて存在したようなのです。そんなわけで先代との縁については特に触れられませんが、21世紀のマクスウェル・スマート氏も「86号」を襲名しセクシーな「99号」を相棒にコミカルなスパイ・アクションを繰り広げる内容となっております。
 『オースティン・パワーズ』のようにお下品でアクの強い笑いではなく、ドリフのコントみたいなわかりやすい小ネタを散りばめたスタイルなので日本人でも単純に笑えるし意外にアクションも出来が良いです。下ネタも少な目なのでファミリー観賞でも安心。本作を観るまで知りませんでしたがオリジナルには「喜劇王」メル・ブルックスが一枚噛んでるんですな。

 何の予備知識が無くても問題なく楽しめると思いますが、『ミッション:インポッシブル』を押さえておけば喜ばしく、「007」シリーズ、特に『ムーンレイカー』を観てればなお良し。神出鬼没の「13号」ネタなど当時のお約束もかなり踏襲してるのでオリジナルも知っていれば言う事無しです。
 携帯電話が普及しあろうことか「スマート・フォン」なんてものまで存在するご時世に「靴型無線機」が売りのコメディをやるとなれば40年間の技術の進歩との折り合いが難しいわけですが、現代風にアレンジしたり古いアイテムのまま無理なく使ったりスパイ・グッズの見せ方が巧みで感心しました。ギミックの馬鹿馬鹿しさもそそります。

 クスクス笑いを絶えさせないギャグの連発から展開はスパイものの定番を辿り、後半には気合の入ったド派手アクションも用意されてます。しかし、元々がシチュエーション・コメディという性格上ほぼ「86号」に依存した笑いなため、彼が真面目に活躍すると物語が少しダレてしまうというのが皮肉。オチの弱さが全体の印象を大きく損なう結果になってしまったのも残念。
 アクションやダンスを難なくこなしポーカーフェイスからとぼけたギャグを繰り出すスティーブ・カレルと、カッコいいスーツやタイトなドレスを着こなしシュールな雰囲気を際立たせつつ若干のお色気をスパイスするアン・ハサウェイのコンビは絶妙。一方でオリジナルでは「99号」並の重要キャラなチーフを演じたアラン・アーキンが期待ほどの怪演ではなく物足りませんでした。もっと見せ場があって然るべきなんですが。

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おくりびと

 2008年の国内賞レースで最強を誇りアカデミー賞外国語作品部門まで獲得した、「納棺師」という知られざる世界と「死」に向き合う人の心を描いた話題作。病院死であれば看護士さんが遺体を整えてくれるのが一般的で、自宅死も自前でやるか葬祭社にお任せって事だと認識してたわけですが、多くの遺族が注視する中で肌を見せぬように着替えさせ死化粧を施す職業があるなんて露ほども知らなかったです。まあ、枕経も略される現代ではこんな儀式の出番は少ないんでしょうが。

 随所に笑いを交えて辛気臭さを回避しつつ攻める所はきっちりシリアスな減り張りと、日本的な情緒に溢れた風景やチェロの奏でる旋律の按配が心地よい。納棺の長回しも所作が面白く思わず見惚れました。なにより物語として淡々と進む感覚が堪らないです。ただ、かなり良い映画なんだけど例えばゼロ年代を代表する邦画に推せるかというと躊躇するのも事実。オリジナル脚本という点は高く評価するものの、不必要にご都合主義な終盤展開と淡々と描けず狙い過ぎな最後の泣かせが勿体なかったと思います。夫婦の問題に絞り「穢れ」という厄介な信仰を乗り越えるに相応しいドラマが欲しかったです。

 本作は題材を持ってきた本木雅弘の功績が非常に大きく、しっかりとした演技で喪われつつある崇高な日本人の精神を具現化しております。脇に少ない出番でも存在感な渋い役者が揃っていて特にユーモア方面で力を発揮しているのも強み。それだけに惜しいのが広末涼子の演じる納棺師の妻で、見事に作品世界に溶け込んだ夫とは対照的に異分子にしか見えないのでした。演技力の問題よりも非現実的すぎる程に寛大な妻という設定がいけません。どう考えたって職業が汚らわしいってこと以前に、算段無しの田舎暮らしや無断の超高額出費にぶち切れるのが普通でしょうに。その上、穢れを気にするタイプにも見えないとくればミスキャストと言わざるを得ません。たいした濡れ場じゃないのに無駄にエロいところは実に良いのですが。

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デス・レース

 レーサー同士の殺人バトルのみならず善良な市民を轢き殺しその数をも競うというイカレた設定で70年代に一世を風靡した『デス・レース2000年』のリメイク・・・なのですが、「ヒャッハー!」 な無法行為は大幅に削減。必然性も無しに脱ぐ女性ドライバーも敢え無くリストラ。21世紀仕様のデス・レースはすっかり毒を抜かれており、有料ネット配信のコンテンツとして囚人たちが刑務所主催で命がけのマリオカートをやらされる話になっております。一応はオリジナルと同じ名前の登場人物が配置されているものの内容には殆ど接点無くリメイクした意味がさっぱりわかりません。

 とはいえ、マシンガンだオイルだナパームだとパワーアップアイテムを拾ったり巨大な中ボスが登場したり、TVゲームのノリで繰り広げられるのは残酷バイオレンスな血みどろバトルです。この頭悪そうな設定のカーアクションに主演がジェイソン・ステイサムとくれば、リメイク云々を抜きにB級バカ映画の期待が否が応でも高まるところ。ところが意外と弾けきれません。何故かというと折角並べた凶悪犯罪者たちにマッドな個性が無く、多くが群衆キャラ同然に見せ場無く間引かれるためです。サバイバル・レースの醍醐味である1台また1台と殺人マシンが消えていくくだりを手抜きされちゃカタルシスは得られません。ストーリーなんか予定調和で構わないんですが、アホらしい駆け引きと死に様にもっと趣向を凝らして欲しかったです。ツッコミ甲斐のない終盤の超強引展開も残念。

 ただ、スタントによる本格的なカーアクションの迫力は見事でした。存分に質量を感じさせる装甲車両のぶつかり合いで度肝を抜き、派手な銃撃と豪快な爆破の連続で畳み掛け、レースシーンも疾走感に溢れているという、劇場で見たらかなりの臨場感だったんじゃないかと思わせるリアルでダイナミックな映像が目白押しです。荒唐無稽のバカ映画にそんな真面目な演出を盛り込まれても困ってしまうのですが・・・。

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ジェイソン・ステイサムナタリー・マルティネス

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