「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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フロスト×ニクソン

 リアルタイム世代ではない為、リチャード・ニクソンについては通り一遍のことしか知らず、それも多くはケネディ絡みの知識でウォーターゲート事件には疎かったりします。勿論、この映画の題材となった討論番組の存在も知りません。そんなわけで、30年前にそのTVインタビューを眺めたであろうアメリカのインテリ層の評価は高くとも、これは結構退屈するんだろうと予測しつつ知識欲で観賞しましたが、ラウンド毎の攻防でボクシングを思わせる演出のおかげで僅かな予備知識でも非常に楽しめる作品になってて驚きました。ただ、永田町の人材不足やら有能な側近の不在をまざまざと感じさせられて憂鬱になっちゃうわけですが。

 ボクシングといっても派手な打ち合いや華麗なテクニックの応酬ではなく、チャンプの老獪なクリンチワークの前に何もさせてもらえない経験不足の挑戦者という一般ウケにほど遠い図式。おまけに傍目には破壊力に欠けるように見えて大ダメージという腑に落ちない逆転の一打が炸裂します。この世紀の凡戦になりかねない構図のインタビューを面白く見せるカラクリが両陣営のセコンドですね。5年後の彼らの回想によって作られたという設定の偽ドキュメンタリー形式が巧い。間に挟まれる小ネタが結構笑えるのも良いです。
 もっとも、一番の功績はニクソンその人にあり。フロストの方は基本的にハッタリ野郎だからニクソンの政治家としての魅力としたたかさがドラマを牽引することになりますが、これが悪玉イメージしか知らなくても考え直して投票したくなっちゃう説得力なんだからたいしたもの。強烈なオーラを身の纏い一瞬の表情で落差をつけなきゃならない難しい役柄を演じきったフランク・ランジェラも素晴らしいです。

 とはいえ、最低限の時代背景は理解しとかなきゃなのも事実。ニクソンに関しては、実力がありながら見た目でケネディに敗北、大統領選に続いて州知事選まで落選し低迷、しかしベトナム戦争からの「名誉ある撤退」を主張し復活、外交・内政とも実績を高く評価され大勝利で2期目を迎えるもスキャンダルが発覚、最後まで罪を認めず謝罪もしないまま辞任、というアップダウン人生は知っておきたいところ。インタビューが行われた77年は民主党のカーター大統領が就任した直後、即ちニクソン恩赦の逆風がフォードに吹き政治が疲弊してた時期ってことも頭に入れておいた方が良いです。
 一方、洋楽好きなら記憶してる人もいるだろう米国番組「デヴィッド・フロスト・ショー」は72年に放送終了。ビートルズの「Hey Jude」が有名ですから少なくとも足かけ5年は放送が続いた筈です。つまり英・豪だけじゃなく米でもバラエティの司会者としての実績は十分にあり、しかし報道への転身には疑問符という立ち位置です。

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スラムドッグ$ミリオネア

 物語の基本プロットは艱難辛苦を乗り越えるありふれたラブストーリーなんですが、「クイズ$ミリオネア」に絡めて一人の青年の人生を語るという秀逸なアイデアと、カーストに基づく差別が存在する国インドの知られざる下層社会というスパイスで、一瞬も退屈させない娯楽作品となっております。本当にインドならではの危うい警察、怖い闇社会、底意地悪いみのもんたのおかげ。
 子役を含めほぼ無名のインド人俳優を生き生きと動かす演出力、現在と過去を巧みに切り替える物語構成、スタイリッシュで爽快な映像など、作品・監督・脚色・撮影・編集など技術部門中心でのオスカー八冠に納得。いや、筋は粗だらけなんですけどね。

 いつの間にか流ちょうな英語を覚えてるのは端折りすぎ。「何故解答出来たのか?」って疑問の答えが「偶然知ってた。」で、しかも体験した時系列通りに出題されるのはあんまりだと思います。アニメ『ワンワン三銃士』のEDテーマを歌えるとクリア出来ちゃうレベルの最終問題も興醒めです。
 けど、冒頭の4択をオーディエンスにお願いすれば圧倒的にベットされるのは「It is written(神の定め)」でしょう。つまり最初からインチキでもラッキーでも天才でもないとカミングアウトしておいて、最後には彼が「運命」を切り開いたことを観客に納得させてしまうだけのパワーがこの作品にはあります。インド映画の最大の特色たるエンディングのダンスに傾れ込むのに相応しい予定調和だからこそ胸のすくような醍醐味が素晴らしいのです。

 ・・・と、べた褒めしといてなんですが、実は終盤の展開には結構不満。一貫して「ボスの俺様と弟」でヒロインの事は「商品」ぐらいにしか思ってない兄に対し、主人公の意志は「三人で三銃士」だった筈なのに最後の方お兄ちゃんどーでもよくなってるってのはどーなのか。観客的には改心してOKだけど、主人公の性格じゃ兄を放っておけず元の木阿弥になりかねないんでちゃんと決着をつけとかべきかと。

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デーブ・パテルアニール・カプール

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感染列島

 隔離指定病院の勤務医である主人公の異常に軽いフットワークを始め、登場人物達の突飛で理解不能な行動の数々に辟易するディザスター映画。この手の映画の肝はリアリティに尽きるわけで、脚本レベルでかなり奇妙な設定が為された上に、役者の顔を露出すること最優先の演出の賜物で画面から緊張感がごっそり抜け落ちています。豚インフル流行直前という絶妙のタイミングでの封切りですから、シミュレートがしっかりしてさえいれば迫真のヒューマンドラマとしてブレイク出来たはずなのに。
 とはいえ、現場のマンパワーに頼らざるを得ない日本の医療体制を浮き彫りにするなど考えさせる部分も多くあります。縄張り意識や思い込みからの硬直的対応やらマスコミと世論のヒステリーやらと撚り合わさって初動からほぼ無政府状態という描写も日本の現状をつきつけるものです。現実にならない事を願うばかりの新型感染症パンデミックという題材だけに色々惜しい作品なのでした。

 一刻を争う現場の医師に感染源の特定云々やってる暇はないし、ワクチン開発を待てる状況でもないのは自明なわけですから、さっさと「ワクチン完成は半年後」と規定して病院の修羅場だけでドラマ構築した方がスッキリしたと思います。無理に外に出して探偵ごっこさせればマスクや防護服を着けない不自然シーンが自ずと増えるわけですし。ぶっちゃけ海外ロケから妻夫木聡を外せないって所から無理矢理な脚本に至ってるんでしょうけど。だからってゾンビ映画風は無いと思いますが。
 あと、脚本で特に酷いのは感染ルートの顛末。国外を含む広範囲を媒体が移動しており「日本限定で大流行」「最初の患者の周辺に感染原因がある」という基本条件が満たせてないです。クライマックスの泣かせも脳みそに蛆沸いてて、蘇生中の患者を放置してのTV電話も酷いし、檀れいが身体を張って一か八かの治療に臨んでるのに妻夫木がそのデータを待たずに見切り発車というのも凄い展開です。
 演出面で一番疑問なのは、鳥インフルエンザと絡めてミスリードを狙ってる筈なのに、素人目に見ても真っ先に出血熱を疑うべきな描写を行ってること。風邪症状が出ないでいきなりぶっ倒れる人が多いのも変ですし。結構重要なキャラなのにカメオ出演と見紛う浮きっぷりだった爆笑問題田中への緊張感のない演出も謎。カンニング竹山の「俺は無名のウイルス研究者だ!」に代表される超絶説明台詞の数々も笑えます。

 それでも、ウィルス災害の問題を提起し、野戦病院と化した救命救急機関の滅茶苦茶な状況を疑似体験させ、トリアージ(患者の選別)の決断など過酷な環境の中でひたむきに尽くす命懸けの医療関係者に敬意を払ってる事は評価出来ます。ベタだけど子役を使った一連の泣かせもちょっと感動。「たとえ地球が明日滅びるとも、君は今日リンゴの木の種子を植える」という引用(リルケだったっけ?)を落とし所に使ったのも巧いと思いました。

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妻夫木聡檀れい

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おっぱいバレー

 「タイトルはアレだけど気軽に観られる青春映画としては意外に正統派」の噂に聞こえる本作。1979年の中学生という設定なのでほぼ同世代としてはノスタルジーを期待しての観賞となったわけです。で、結果からいうと個人的にはまるっきりダメでした。狙いは解るんですけど時代感覚を伝えきれないもどかしさに苦悶するのであります。

 あの時代特有の情報不足と制限の数々に悶々としてる感じが表層的にしか伝わってこないのが問題です。ちょっとエロパワーを発揮すれば未成年でも無修正動画が拾えてしまう現在と違い、AVどころかビデオデッキ自体が普及してない上にテレビは虎の子の1台が居間に鎮座してる時代。暇さえあればそっち方面のことを考えてる普通の中坊にとって下半身や性交そのものは空想の産物であり、「ナマのおっぱい」というのはほぼ限界到達点なわけですよ。そこを現代っ子や女性全般に解ってもらう為には、最大の情報源だった深夜ラジオのネタは必須だしエロ本自販機絡みの失敗談などももっと繰り出すべきだったと思います。クラスの女子とかに対しても過剰に意識してて当然なのに幼馴染みの娘をスルーなのも奇妙でした。

 もう一つキツイのは不必要に極端な設定の数々。超弱小バレー部が1勝条件でおっぱいを目指す話に県下の強豪は不要だし、実態が無いばかりか覗き常習のバレー部を寛大に存続させつつ教師には厳罰ってのも説得力皆無。教師の成長モノにしては自己満足に過ぎず生徒達を傷つける選択を肯定的に描いてるのが納得いかず、少女時代の恩師の話に見合うだけの解答に至らない点でもアンバランス感は否めません。生徒は生徒で「こいつら別にバレー好きじゃないじゃん」という印象が最後まで拭えないので、動機が不純でも乗せられて気づけば熱血の王道から外れてます。そして、綾瀬はるかは当然としても脱ぎ要員はおろか秘蔵のエロ本の表紙ですらおっぱいを見せないのもけしからんです。

 まあ、同世代人故にいらつく部分が多いとはいえ、コンセプトや落としどころは悪くなかったです。オープニングの外しっぷりで不安になりましたが、平成っぽさが抜けないものの全体に奴らのアホさ加減は納得性が高く意外に笑いのシーンが冴えてました。無難な感動話に持ち込むよりコミカル路線で突っ走って欲しかったです。
 そして、サイボーグから座頭市まで無茶な配役に応える事では定評の綾瀬はるかですが、今回は視姦を厭わず「おっぱい」連呼の羞恥プレイに挑戦。流されてした恥ずかしい約束に困りはてバカ生徒に翻弄される新米教師の図が妙に嵌ってました。レトロな小道具や車で昭和を再現しつつ考証が微妙にズレてたり、ついでに選曲も何かが間違ってる感じなのと同じフェイクな世界観といいますか、決して演技は巧くないんですが当時のテレビドラマのオーバーアクトな女優さんっぽくてグッドでした。

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(2009/10/21)
綾瀬はるか青木崇高

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