「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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築地魚河岸三代目

 松竹お得意人情喜劇シリーズの次代を担う作品の筈が『釣りバカ日誌』がファイナルを迎えた後も一向に次作が登場しない『築地魚河岸三代目』。これは一作目がよっぽどの不出来なのかと思いきや必要十分なレベルでちゃんと「国民的映画」していたのであります。これ、大沢たかお×田中麗奈の恋愛ドラマを前面に宣伝したのが不味かっただけで観て貰えばシニア受けすると思うんですが。伊東四朗や柄本明が良い味出してるわけですし。あと、築地移転問題の方向性が定まらない事も続編に影響してる気がします。

 大沢たかおは人気・演技力共に突出したものが無いわりに主演作が多い謎の俳優で、田中麗奈もCM活動で見せる輝きを映画では殆ど見せない癖に出演は異様に多く、二人とも地雷原に好んで生息する印象があります。そして、本作の脚本もご多分に漏れず出来が良いとは言い難いのですが、今回は奇跡的に二人ともこの映画にマッチ。「寅さん」や「ハマちゃん」のようなインパクトは無いものの大沢たかおの纏う妙な空気が騒動を牽引する単細胞揃いの脇役キャラを非常に立たせており、マドンナ役がいるフォーマットのおかげでヒロインとしては扱いが中途半端なのが逆に幸いした模様で田中麗奈も爽やかに好演してます。レギュラーの位置にいながらゲスト的ポジションでベタな人情話を引っ張った伊原剛志の無骨なアニキぶりもグッドでした。

 そこそこ楽しめるとはいえ、脚本は手抜きが目立ち取っ散らかりまくり。メインになるべき主役カップル結婚関係のドタバタ話にしろヒロインの気持ちの問題にしろかなり適当だし、商社マンの人脈が後半に全く絡まなかったり、前半では只の脇役に見えた人物が突然マドンナに昇格したり、もう少し全体バランスを丁寧にとって欲しかったところです。おそらくシリーズ化を前提に出し惜しんだのでしょうが、台詞では築地の古い仕来り云々言うけどその大変さが描写されなかったり、仲卸という仕事の実態や目利きのポイントなど魚に関する蘊蓄が殆ど無かったり、主人公の気さくな性格とか鋭敏な舌も活躍しないなど、あるべきシーンがかなり割愛されてるのでストレスが溜まります。
 原作ネタなのかもですが、喫茶店夫婦や神社の宮司の立ち位置がよくわからず、中島史恵の水着ダンスシーンも謎でした。それでも全体的に好印象なのはキャスティングが成功してるからですね。市場の人々は勿論のこと佐野史郎の愛人あたりからでもサブ・エピソードになだれ込めそうな個性派の面々を、殆ど『釣りバカ』キャストと被らないで揃えており今後を期待させます。本当にこのまま終わらせるのは惜しい。

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大沢たかお田中麗奈

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252 生存者あり

 突発性巨大台風に襲われた東京で地下鉄駅構内に閉じこめられた生存者とレスキュー隊が活躍するパニック大作・・・なのですが、レスキュー隊が身内の情を優先することを肯定的に描き、泣かせたいのか笑わせたいのか判断つかない酷いシーン満載という斬新な作品です。設定を考えた奴がウルトラのバカな上にドラマ構成はパニック映画の基本を無視しており演出も勢いはあるけどありすぎて見苦しいという超大型トンデモ映画なのでした。ちょっと誉めるところが見あたりません。

 とにかく「地下鉄新橋駅水没」という局所的な災害の顛末を描くにしては大津波があまりに大風呂敷でした。この話に関東一円大惨事レベルの異常気象なんて必要ないのに。想像するに、先ず「新橋駅幻のホームからの救出」というプロットがあり、そこに被災者を誘導する方法として洪水が設定され、その原因として巨大台風が用意されたのでしょう。集中豪雨ぐらいじゃ駅を速攻で沈められないという事で高潮をセレクトした辺りから破綻が強烈になり、事件を新橋で起こすとなるとお台場は壊滅して貰うしか無くなります。で、トドメに派手な映像が欲しい作り手が考証とか無視して水量をアップ。かくして事態は消防庁が新橋だけに総力を挙げる必然性もなければ、気象庁の人がピンポイントで駆けつける筈もない規模にインフレってとこでしょうか。
 他地域のことは劇中で見かけない自衛隊や海保や警察が尽力という事にして忘れるにしても、それ以外の部分で脚本が適当すぎるのが頭の痛いところ。地下鉄構内を埋め尽くす水で多くの人々がお亡くなりになる中、元レスキューの能力とか無関係に「偶然」無傷で助かった主人公が妻とはぐれた自分の娘と「偶然」再会して他の生存者と共に救助を待ち、一方でレスキュー隊隊長である主人公の兄は「偶然」救出者の中にいた主人公の妻と合流、その後も要所要所を「偶然」で解決し最後まで押します。普通は閉じ込められた連中が知恵を出し合って局面を打開したりするんですがねぇ。爆笑のラスト「運命の18分」の展開に至っては宗教映画みたいだもの、凄まじすぎる。
 登場する専門家が悉く頭悪いというのも特徴。被災時にとるべき行動とか教訓というものがここまで見あたらないディザスター映画というのも珍しいです。「諦めずにシグナルを送り続ければレスキューが見つけてくれる」という話になってないどころか、「若気の至りな隊員の暴走に命運が委ねられる」というのが凄い。「252」の意味ぐらいは覚えておいて損はないのかと思いきや、これも東京消防庁の通話コードってだけなのであまり役には立たなそうですし。

 そして、何言ってるのか聞き取れないので日本語字幕推奨という狂った大熱演。特に地上の出演者は全員テンション上げ過ぎです。たぶん役者には暴風雨を想定して怒鳴り合い絶叫調の演技をさせておいて、結局は大型台風の演出を放棄した結果なんだと思いますが。感情表現出来ない香椎由宇と入れ込み過ぎな桜井幸子の両極端演技が感情に流されまくる暑苦しい救助隊の面々に華を添えております。
 一方、地下メンバーですが、初手から救助待ち以外の選択肢がない設定に足を引っ張られ“ミスター救助”伊藤英明すら活躍の場が限られる始末。他は推して知るべしで、大阪商人や韓国人の設定は何も活かされず、一般被災者に「出口どこだよ!」と突っかかる変な男もトラブルメーカーとしては中途半端。それぞれの家族のエピソードが生還モチベーションの相互作用に繋がっていかないのも陳腐です。皆それほどダメ演技じゃないんですが演出が・・・。子役も泣くべき時に泣かず唸るべき時に唸らずで知恵遅れみたいにされちゃってるし。

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旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ

 全く観てないのですが初監督作品『寝ずの番』は結構評価され次作『次郎長三国志』が大不評らしい監督名・マキノ雅彦こと津川雅彦。真価が問われる3作目ですが、いかにも子供向けな予告編とは大違いの悲喜こもごも人情話をシニア向けなユーモアたっぷりで描いていて驚きました。経営をめぐる政治決着の件などは退屈するかもですが、基本的には子供にも解り易い話になってるのも好感。但し、親世代の鑑賞に耐えるには詰め込みすぎでどうにも中途半端です。

 廃園に追い込まれかけてた動物園の再生物語なら『プロジェクトX』でやってましたし、前にチラッと見た覚えのある同題材のTVドラマでは新人の成長物語に絡めてました。後発としてはこれらに似ないように作る必要があるけど、「行動展示」への転換という美味しいネタは捨てがたく飼育係と動物たちのエピソードも魅力的過ぎたという事でしょうか。次々と要素を拾った結果、サクセス・ストーリー部分は肝心の所が妙に素っ気なく、いじめられっ子だった新人飼育係の成長話は不完全燃焼気味で、動物愛護メンバーで獣医で存続懐疑派市長の姪という設定も不自然でしか無く。「人と野生動物の距離」などの問題提起も多くは掘り下げが足りず、ブツ切りエピソードの羅列で終わってしまうのがなんともかんとも。30余年の歳月で起きたエピソードを数年の出来事であるかのように凝縮した弊害で、お取り潰しもやむなしレベルで不祥事続きなのも失笑モノであります。

 しかし、ご存じのペンギン散歩や白熊スイムに加え雪玉を投げるゾウなど動物撮影は工夫が凝らされていて楽しめます。芸をする動物やCGは一切使わずに根気で撮ったという奇跡的シーンの数々は拍手モノ。ひたすら暑苦しく過剰演出なドラマの間に挿入される動物たちの愛らしい仕草や珍しい生態が箸休めとしても機能しているのに感心しました。
 芝居は津川さんの人脈を最大限に活かして取り揃えた強力ベテラン男優陣が貫禄を見せつけ、中村靖日・前田愛・堀内敬子といったキャストも手堅い演技を披露。幾分説教臭くはあるものの野生動物の尊さ・人間の素晴らしさ・命の平等さなどのメッセージを魅力的に伝えて来ます。キャラ立ちについては文句のつけようもありません。あと、関係ないけど園長・西田敏行に飼育係・長門裕之ってのが「玄太」と「楠公さん」の立場と逆なのが感慨深かったり。

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バーン・アフター・リーディング

 予告編では主演ブラッド・ピットでバリバリにおバカな犯罪コメディみたく宣伝しまくってましたけど、想像してた内容とは全然違いました。超豪華キャストの群像劇ではありますがブラピの出番はわりと薄く、無駄にややこしくてスリラー色の強いグダグダでブラックな悲喜劇なのでした。つまり、いつものコーエン兄弟なのですが何故か盛り上がりに欠け、個人的には超シリアスな前作『ノーカントリー 』の方がよっぽど笑えたぐらいです。全米大ヒットでゴールデングローブ賞のコメディ部門にもノミネートされたぐらいだから解る人には最高なのでしょうが、これはもう笑いのツボの違いと諦めるしかないですね。

 少しずつ歯車が狂っていき意外な展開を見せる脚本にしても、登場人物が複雑に絡みあうプロット構成にしても練り込みは十分。俳優陣はそれぞれアクの強い演技を見せてますし演出も的確。何がいけないと言うわけでもないのに、トータルで評価すると騒々しいだけであまり面白さを感じられないという不思議。コンセプトは初期のコーエン・コメディと変わってないのに何かが決定的に違っていて自己満足映画にしか感じられないのであります。名優が揃いながら殆ど相乗効果を得られてないのも残念。

 但し、退屈でも眠りに落ちる直前で踏みとどまれるという意味では、豪華俳優陣の起用は無駄ではなかったかと。主演のジョージ・クルーニーは「またいつもの役なのか」と辟易するものの間抜けな女たらしを最悪のヒゲ面で好演してるし、イラっとさせっぱなしの怪演をみせる「コーエン組」フランシス・マクドーマンド、激しやすいジョン・マルコヴィッチや哀愁漂うリチャード・ジェンキンスなどあくまでもシリアスに役を演じてアイロニーを醸し出す面々も見事です。
 そして、なんといってもブラピ。殆ど無意味で馬鹿馬鹿しい作品に付加価値をつけているのはほぼ脇役の彼と言っても過言ではなく。感情移入が難しいキャラ揃いの作品で只独りチャーミング。楽しそうにバカっぽい男を演じる姿はなんやかやいって演技派で溜め息が出るほど。もっと出番が多くても良かったのに。

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