「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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DRAGONBALL EVOLUTION

 オーディション情報で「悟空は学校で目立たないが実は隠れた才能のある武道家」という設定が洩れ伝わってきた時点で予想したのは、『ベスト・キッド』系のいじめられっ子特訓成長物という原作とは似ても似つかぬものだったのですが違いました。わざわざ鳥山明に莫大な金を払ってまでやらんでもよさげな独自ストーリーなのは事実ですが、意外に原作リスペクトがたくさんあってそれ故に失敗という身も蓋もない結果に目を覆うのです。忠実な再現を期待したファンはおろかトンデモ映画フリークにもそっぽ向かれる惨状。でも、大抵の邦画はこれより酷いですよ、うん。

 本作の導入部は体育会系学生達に見下されつつクラス一の美人・チチに憧れるナーズ野郎・悟空というアメリカン・ティーン学園もの定番の構図なんですが、悟空は初登場から気の達人であり、あっさりチチに見初められ速攻でいじめっ子もやっつけちゃうまで20分の高速展開。ここから七つの玉を集める旅に無理矢理繋ぐと学園の事はそれっきりという意味不明の流れ。てっきり悟空が『超能力学園Z』みたいに女子の胸元のボタンを気で弾け飛ばしたりすると思ったのに残念です。
 んで、冒険の方は原作でピラフ一味と争奪戦を繰り広げた「少年期編」の話をベースにピラフ様をピッコロに置き換えなんとなく「大魔王編」を混ぜて紡がれ、天下一武道会や魔族との死闘など人気要素を豪快に簡略化。クリリン・天津飯などは登場せずヤムチャは銃武装した一般人、悟空はかめはめ波習得中という状況。これでは大魔王の絶対的な強さを表現出来るわけもなくバトルが全く盛り上がりません。恐らく続編でのインフレを想定して抑えたのでしょうか、魔封波に頼らずに闘えば亀仙人が圧勝したんじゃないかと思わせるレベルってどーなのか。ボール集めや修行の方も全くツイストが無いし。クライマックスにチチがいないなど女優陣の扱いも酷い。ジェームズ・ウォンはオカルト色の強い監督なんだから、そっち方面に大胆アレンジしても良かったんじゃないかと思うんですが。無論、おバカなセクシー・ショットも織り交ぜて。

 本作の一番の教訓は、ストーリーやディテールが原作と違っても別に構わないけど主要キャラの性格まで変えちゃダメということですね。悟空は大雑把な性格もサイヤ人の「戦うことが好き」という設定も吹っ飛ばしたため爽快感を失いました。レイティングに厳しい米国の都合で亀仙人のセクハラ行為の数々も封印され見せ場が大きく減衰。折角、女優陣が性的な格好しまくってるのに。戦闘でも「セル編」のベジータ並みに役立たずな描写しかなく、『レッドクリフ』を蹴ってまで出演したチョウ・ユンファの気持ちはいかばかりか。ヤムチャに至っては主人公チームの一員なのに金に汚い上に不意打ちアタックを敢行。ピッコロより此奴の方が凶悪な気がしないでもなかったです。まあ、原作知らないキッズならそこそこ楽しめるとは思いますが。
 ところで2000年間ピッコロが封印されてた期間に大猿は何してたんでしょ?

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天使と悪魔

 監督・主役続投で贈る『ダ・ヴィンチ・コード』に続くラングドン教授シリーズ。前作を観てなくても楽しめるというか、観てても役に立たない無関係な話なのでした。詰め込み過ぎで慌ただしい超高速謎解きは相変わらずですが、「歴史ミステリー」と「暗号解読」が強調され過ぎた前回と違い、エンターテイメント色が強く特別な歴史・宗教知識も不要で格段に間口の広い作品になってます。前作とは全然雰囲気の違う話になってて深みはゼロに近づいたけど、スリルとサスペンスを大幅増量し緊張感を保ちつつ適度な笑いを織り交ぜてバランスは良化。まあ、原作の売りはたぶん難解な符合の解明なんでしょうが・・・。

 ミステリーとしてはもう少しうまくやって欲しかったと思うものの、一見複雑なようで単純明快な話である為にスピーディーな展開の範疇に収まり、暗号解読を楽しむ映画じゃないのも前回でわかってるので観客置き去り感は薄いです。暗号付き犯行予告・時限で公開処刑・連続見立て殺人と「ジッチャンの名にかけて」とか言い出しそうな猟奇事件に巻き込まれるラングドン教授の奮闘が楽しい。バチカンの広さも彼方此方の名所・旧跡を駆け回るのに丁度良く、どう考えても思想的に法王庁に喧嘩売ってる内容の映画なのに観光情報が充実してるのが素晴らしいです。コンクラーヴェとかカメルレンゴとかスイス衛兵隊とかカトリック教会の豆知識を簡単に得ることが出来る点も嬉しく。

 気になるのは「反物質」だの「対消滅」だの最先端過ぎる科学要素を盛り込んで胡散臭さを倍増させたわりには、その設定があまり有効に機能してないところ。あれだとヒロインが何の為に出てるのかも謎ですし。
 「反物質」の設定については科学的にも疑問で、生成コストの方が上回るからエネルギー問題の解決には結びつかない筈だし、反応時間を考えればあんな天文学的な量は作れないと思います。爆発時の輻射熱の影響を無視してるのも失笑もので、宗教と科学の対立がテーマにしては考証がお粗末。

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ラーメンガール

 7割方日本人キャストが日本語で芝居しておりますが、32歳の若さで急逝してしまったブリタニー・マーフィが主演で監督・脚本もアメリカ人が務めるハリウッド映画なのであります。タイトルからはトンデモ映画臭が漂ってきますが、実は日本の描写に違和感はあまり無く勘違いジャパンは期待ほど楽しめません。
 師匠に西田敏行が座ってる事もあり日米のカルチャーギャップを活かしたラーメン修行の人情喜劇になるのかと思いきや、『イン・ハー・シューズ』のキャメロン・ディアスのように人生の転機を迎え苦闘し成長する女を描くハートフルな人間ドラマを狙った模様。けれど、頑固オヤジの「魂」のラーメン道に説得力が無く、ロマンチックな恋も無いとなればこのジャンルは厳しいです。異文化を受け入れられず言葉も通じなくてなかなか理解し合えないのが肝の映画なのに、最終的に一年間修行しても会話が成り立たないというのも凄いし。

 とにかく店主のキャラが問題なのですが、これは作り手が下手に日本を知ってたが故の失敗と推測します。きっと『ガチンコ!』をTVで観たんですよ。気が短く口より先に手が出て、ヘビースモーカー且つ大酒飲みで、技術より精神論で、食べもしないでスープ捨てちゃうラーメン屋ですから。あれはテレビ屋の演出で実在の人格とは別物だと思うのでぶっちゃけますが、あんな日本人でも首をかしげる特殊な人をモデルにされちゃ『おしん』みたいな話にしかなりません。それを日本の精神を学んで癒されるヒロインという流れに持って行こうとするんだから無理があります。基本「いい人」な役なのに西田の愛嬌は発揮されず、ブリタニーの持ち味のキュートで明るく前向きなキャラも活かせず。二人とも的確に演じてはいるんですが・・・。

 それでも『タンポポ』のオマージュで「ラーメンの達人」に山崎努が起用されてるのは好感。その他の日本人キャストも演技派のベテラン揃いなので演出が多少変でも安心感があります。日本人を演じる韓国人俳優が混ざってますが、いつものいい加減なハリウッド流アジアン・キャストではなく戦略的に日系三世と位置づけての人選なのでこれも文句はつけられません。ただ、この日本語の多さからしてアメリカ人相手に商売する気は無いのでしょうけど、西洋人キャストに華がないのは残念。だったらせめて日本在住の有名タレントを起用して欲しかったです。それにしても、どういう経緯でこの作品が作られることになったのかとても気になりますな。

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重力ピエロ

 伊坂幸太郎という作家は文字で読む分はいいんですが、映像化の匙加減を間違うと即座に嘘臭さが蔓延する作風であります。本作がかなり健闘してるのは間違いありませんが、巧妙な心情描写で異色の人物達による回りくどい物語を構築している原作故にハードルは一段と高く、特に物語の落としどころの按配が重要な作品。雰囲気や仕上りは悪くないけどラストで原作未読の観客を納得させるには少々仕掛けが足りないのでした。

 敗因はアレンジがあまりに乱暴過ぎたこと。チョイ役に墜とされたストーカーの夏子さんがペラペラ真相を語るとか酷いし、父が謎解きに参加してないのに二人が何かやったことに気づいてたりするのも雑すぎます。遺伝子コードを暗号にする意味や放火の理由も弱いし、伏線も無しに最後になってサーカスのエピソードが出てくるのもいただけません。クライマックスで火を放ったのも明らかにやり過ぎです。

 けれど、原作では終盤まで引っ張るミステリー要素をあっさり放り出した改編は正解。この話は本質的に家族の物語であり、無駄にややこしい事をやる奇人変人に陥らせない為には登場人物の心情描写に時間を割く必要があるからです。「最強の家族」の関係を描くという点で一点の曇りもなくその絶妙な距離感に感服しました。
 キャストのハマリ具合も特筆モノで、特に加瀬亮が地味で目立たず平凡で弟に振り回されることを諦観してる兄貴を原作イメージ通りに好演。相変わらず実年齢よりかなり若い役を難なくこなしております。岡田将生はエキセントリックさが物足りないものの風変わりでクールで実はナイーブな弟を見事に演じました。小日向文世のいい父ぶりも非の打ち所なしで、凄い存在感で静かに優しさと強さを醸し出すのであります。まあ、回想・小日向には吹き出しちゃいましたが。

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加瀬亮岡田将生

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ワールド・オブ・ライズ

 サー・リドリー・スコット監督による中東を舞台にしたド外道な対テロ戦争スパイ工作情報戦。ハイテク米国とアナクロ中東の価値観の違いを対比しつつ骨太かつサスペンスフルに仕上げた作品で、冒頭のアクションからガツンと来て終盤までリアリティと緊張感を保ったままグイグイ来るのですが、最終的に物話が小さく纏まってしまい物足りなさを覚えるという、リドリー・スコットにありがちな結果となっております。

 ペルシャ人看護婦の出番が増えるほどに敏腕エージェントな筈の主人公に迂闊な動きが目立っていくのが問題です。出会ったばかりで身辺調査も済んでない女性を任務遂行中に口説くとか酷い危機管理です。しかも、仕事が一因で離婚調停中って男が何の躊躇いもトラウマもなく。
 更に、異教徒との簡単には埋めがたい距離をカップルに重ねるにしてはヒロインの姉やご近所の皆さんが良い顔しないぐらいでさしたる障害が無いのも話を薄っぺらくしてます。挙げ句に安直でB級臭いオチに利用されちゃ社会派の雰囲気は台無しなのです。

 けど、メインの3人の俳優の虚々実々のやりとりは高水準。レオナルド・ディカプリオはリドリー映画お約束の「異文化と衝突し過酷な状況に追い込まれる主人公」として中東の文化を理解し尊重するも上司と現場の板挟みなCIA工作員を手堅く演じております。アメリカを体現する現場無視の傲慢な上司にラッセル・クロウ、協力を仰ぐヨルダン情報部の冷徹な親分にマーク・ストロングが配されており、考え方の差異による主人公との微妙な関係が味方さえ信じられない状態を作り出していて面白かったです。ただ、流石にラッセル・クロウの役柄がポンコツ過ぎだとは思いましたが。

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