「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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ウォッチメン

 原作は80年代のアメコミだそうですが予備知識は全く無し。そんなわけで冒頭の「ミニッツメン」結成から「ウォッチメン」への世代交代、更にヒーロー禁止令を経てウォッチメンの一人が殺されるまでの歴史に詰め込まれた情報量に唖然。なんか途中でヒーローがケネディ暗殺を実行してたり、ニクソン政権がずーっと続いてたりで、歴史改変モノだと理解するまでかなり混乱しました。その後もヒーロー・アクションを楽しむつもりが、漠然とズッシリ来る陰鬱な話と青い全裸ハゲが不必要にブラブラさせてる逸物に度肝を抜かれることに・・・。

 けど、冷静に考えれば身構えるほど本編は複雑じゃないんですね。当代のヒーローだけで6名で先代もわんさかいる上に、ヒーロー名と本名が入り交じってごちゃごちゃするし、紅一点と絡むフルチンと中年にも惑わされますが、主人公というか狂言回し役が一線を越えた「絶対正義」の男ロールシャッハだとわかってくれば意外となんとかなる気がします。 セックス&ヴァイオレンスがてんこ盛りで好き嫌いがはっきり分かれそうですが、一癖も二癖もある人物像は全く退屈しないし世界観や映像センスもかなり魅力的。問題はテーマが古臭くミステリー要素が全然面白くないこと。映画オマージュが結構ある事から推すに、アメコミに詳しければパロディとして楽しめる部分も多いみたいですが。

 お話の収束点がガッカリなのは、石ノ森章太郎・永井豪・石川賢、或いは初期ウルトラシリーズの金城哲夫といった面々を筆頭に、それぞれの信念に基づく「正義」の隔たりに苦悩するヒーローのシニカルで衝撃的な物語というのをとっくの昔に開拓している日本の事情もあります。特撮ヒーロー好きやマニアックな漫画読みにとってはダーク路線こそがスタンダードですから今更感が強く。とはいえ、それをちゃんと映像化出来ないのが邦画の弱点。こういうテイストの『デビルマン』を観たかったというのが正直なところです。
 ところで、この世界観ですと日本も「ドクター・マンハッタンの傘」の元に超絶バブルを謳歌してる筈で、技術力・経済力から観て巨大ロボを所有してる連中も存在してそう。自警団活動が合法か違法かはわからないですが、何をやらせても日本一の男が一芸に秀でた悪人を潰して回ってるのは確実ですな。

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レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで

 『タイタニック』カップルの再共演と、キャッチコピーの「それは──誰もが逃れられない<運命の愛>」には騙されるなと話題の、ラブ・ストーリーに見せかけたげんなり夫婦生活サスペンス。1950年代のアメリカ高度成長期を舞台に、中産階級の理想の夫婦に見えて実はすれ違いと不満だらけのお二人が、鬱屈した日常にさよならして根拠乏しいパリ移住計画に乗り出すも云々という、「真っ白に燃え尽きるまで夫婦喧嘩せんでもいいのに・・・」な解り合えない男女の殺伐物語であります。何処までもうんざりな話ですが、映画としての出来は物凄く良いのが困りもの。いや~、独り者としては結婚されている方々は本当に凄いと思わざるを得ないです。嫁がいつもと違うことしたら要注意って事も教訓。

 アメリカでは超有名な60年代のベストセラー小説が原作なんだそうですが、ずっと映画化されず何故このタイミングで映画化されたのかが謎。当時は新鮮なテーマだったって事は理解出来ますが、この時代を境に米国は離婚大国に変貌し、それはエリート白人層も例外ではないどころか、今や「幸せになりたい症候群」は日本でも蔓延するほど肥大化しているのですから。『ノーカントリー』と同じで「昔は良かった」ってのが幻想ということを示してるんでしょうか?

 病的に理想を追い求め砕けていくケイト・ウィンスレットの凄味抜群の演技ばかりが誉められてる印象ですが、より見応えあるのはレオナルド・ディカプリオの方だと思います。この役は普通にやると化け物妻に振り回される悲惨な夫という構図に矮小化してしまうし、逆にバカ亭主を強調しすぎると一気に陳腐化します。けれどディカプリオは自身の持つ好感度を利用しつつ徹底的に薄っぺらくつまらない男を演じ、見事にバランスをとっているのであります。浮気の後の誕生会シーンでも大喧嘩の後の朝食シーンでも絶妙の愚か者ぶりに感嘆。
 そして、忘れちゃならないのがスパイス役を存分に果たす隣人一家。思った事は何でも口にしてしまう息子マイケル・シャノンの印象も強烈ですが、ラストシーンのキャシー・ベイツの言動に苦笑させられてる隙に、美味しいところを纏めて掻っ攫っていったじいさんに一本獲られました。

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ワルキューレ

 ドイツ軍内部の反ヒトラー派によるクーデターを描いた作品。トム・クルーズのアイパッチ軍服姿が物凄い胡散臭さを醸してるわけですが、クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐は実在の人物であり、眼帯もキャラ付けじゃなく実際に隻眼で、描かれた「ワルキューレ作戦」によるヒトラー暗殺計画の顛末も概ね史実をなぞってるそうです。北アフリカ戦線の描写は導入部だけであり、勘違いして戦争アクションを期待しないよう注意。
 この件を発端にロンメル将軍が自害に追い込まれた事(この映画では一切触れられない)は知ってたんですが、事件の詳細は全然知らなかったので歴史好きとしては面白かったです。しかし、クライマックスでヒトラーの生死を隠して物語が進行するのは興醒めでした。冒頭でご丁寧に事実に基づく旨を教えてくれる事もあり、観客はクーデターの失敗を知りつつ物語を追う事になるのですからそこはもっと工夫して欲しかったです。

 でも、ドイツ貴族の誇りに賭けナチス打倒に立ち上がった英雄の悲劇として描けば楽なところを敢えて政治サスペンスに挑んだ意気は買いたいです。クーデター実行までのプロセスや政治的な主導権争いはわかりやすくまとまっており、「ヒトラーの側近にならなかった」とうそぶく弱腰軍人達とは一線を画す反骨の主人公像も素晴らしい。結末がわかっていてもそれなりの緊張感を保ち退屈と思わせない作劇も見事です。
 これで、暗殺計画の何所に綻びがあり、どんな予期せぬ出来事がおこり、いかにして叛乱が失敗したかをドラマチックに描いてくれれば文句なしなんですが、リアルに真面目に作りすぎた故に娯楽作としての醍醐味がごっそり抜け落ちてます。その後の情報コントロールの優劣による形勢逆転も美味しいネタなのに淡々と描きすぎで勿体ないです。

 ヒトラーの弁舌はドイツ語の方が趣があるとなんとなく思いますが、個人的に登場人物が英語で話すのに抵抗はありません。画面に映る日記をドイツ語で記述してたり、急に「ハイル・ヒトラー」とか言い出しても無問題。トム・クルーズがドイツ語で喋る方がよっぽど落ち着かないですよ。
 ナチス内部の正義たる反ヒトラー勢力の皆さんが地味に生臭くて権力バカから日和見野郎や獅子身中の虫っぽいのまで複雑な人間模様を奏でてる辺りが本作の見所で、トム・クルーズの華のありすぎる個性によって若干優等生的に成りすぎた物語を引き締めてると思います。『ブラックブック』で反ナチ・スパイ女を好演したカリス・ファン・ハウテンがわりとどーでもいい扱いで登場するのは解せませんが。
 とはいえ、「ヒムラー?ゲッベルス?誰それ?」レベルの知識での観賞は厳しく。劇中で殆ど説明されないノルマンディー上陸作戦後のドイツ軍情勢や国民の窮状・ナチの悪行などは大雑把に抑えておきたいところ。

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ターミネーター4

 制作を知った時には女子高生ターミネーターが登場するTVシリーズの関連作と勘違いし、後に主演クリスチャン・ベールで「審判の日」を生き延びた人類の戦いを描いたものと聞いてジョン・コナーとカイル・リースのバディ・ムービーと思い込んだんですが、蓋を開けてみたら『アバター』のサム・ワーシントンが扮する謎の死刑囚マーカス・ライトが実質の主役で、コナーが地味なだけじゃなく邪魔くさいという大胆な作劇に度肝を抜かれたのでした。

 個人的にはシリーズは『T2』で完結しており、ジェームズ・キャメロンの手を離れたものは全て番外編と認識してます。だから、ちゃぶ台返しな『T3』や迷走の末に中途半端で打ち切りのTV版同様に今回も裏切られるほどの期待もなく大らかに楽しめたのですが、世間様は許してくれなかったようで本作の評判はすこぶる悪く興行的にも大コケ。新三部作の第一章らしいんですけど次回作の雲行きは極めて不透明な情勢にあります。
 まあ、うっかりすると何の話か忘れるほどにシリーズの世界観を無視してハードな戦争映画をやってる上に、アクションに起伏が無くドラマ性も皆無ですから。この時代の量産ターミネーターが人類の驚異になってないってのもどーなのか。これで続編が楽しみって客が増える方がおかしいでしょう。1作目からパラドックス上等だから物語の辻褄そのものが怪しいって事には目を瞑るにしてもねぇ・・・。

 スカイネットは相変わらずコナー抹殺に固執してるわけですが、クリスチャン・ベールの熱演虚しく「人類の救世主」に値するだけのカリスマ性を発動するシーンがないのが辛いです。そもそも彼はジョン・コナーには見えないし。一方、一目でカイルとわかるのがアントン・イェルチン。こちらは役作りも巧くいってるんですが、殆ど囚われのお姫様ポジションで活躍は次回に持ち越し。ぶっちゃけ、今回のシナリオであれば中途半端に出番を作らずひっそり捕虜に混ざってるだけの方がよかったんですがね。
 特に制約のない新キャラの皆さんは格段に生き生きと動いてるわけですが、原始的罠で子供の餌食な初期型ターミネーターとか、『宇宙戦争』もどきの人間生け捕り巨大メカとか、とにかく対戦相手に恵まれず悲壮感に欠けます。血も涙もない殺戮機械軍団が一般大衆をゴミのように殺しまくってこその抵抗軍だというのに。
 そんなこんなでSF映画オマージュ大会に笑うぐらいでシリーズとしては中身のないストーリーの酷い映画です。でも、制作されれば次回も観ますよ。ただのSFロボット戦争映画として結構いけましたから。

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