「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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2012

 映画館で見るべき映画だと最初からわかってましたが、劇場で観た時の印象とテレビサイズのそれに予想以上の開きがあります。一番の原因はボディソニックの有無ですな。大画面&大音響の元では圧巻のスペクタクルに酔いしれる極上アトラクション映画だったのに、ストロングポイントを失った結果は主役一家の強引な脱出劇を笑うナンセンス・コメディとなっております。いずれにしても災害シーンに致るまでがやや長く、終盤で強烈にスケール・ダウンする問題点は共通。ディザスター映画につきもののヒューマンドラマも期待しちゃ駄目です。

 しかし、ドラマが無茶苦茶でスカスカだからってローランド・エメリッヒ監督をトンデモと揶揄する気にはなれませんね。監督は「凄い破壊映像を見せたい!」の一心で、恐らくは予算が尽きるギリギリまでカリフォルニア大破壊やらイエローストーン大噴火やらに血道を上げたのでしょう。結果としてクライマックスを低予算に抑える羽目になったものの、ドラマ部分の体裁も最小限のコストで整えた手腕は目を見張るものです。まあ、これだけ「マヤ暦」云々をおざなりにするなら、『2012』のタイトルは他の同案映画に譲ってやれと思わなくもないですが。けど、ツッコミどころ満載の珍妙設定を取り揃えて「ストーリーなんて飾りです。偉い人には・・・」と知らしめる姿勢に感服。

 なにしろ聖戦士並のオーラ力を発揮して車や飛行機で避けまくる映画にレーサーや軍人を配置せず、「訳あってリムジンの運転手をしてる三流作家」とか「飛行機の操縦が出来る美容整形医」とか不自然極まりない設定のキャラが活躍するわけですから狂ってます。大地震下での離着陸シーンを何度も繰り返せる神経も凄いし、宝の地図の顛末も強烈。
 また、パニック映画のお約束でパーティから脱落する人物が存在するわけですが、殆どがあっさりと殺されてしまいます。一切、感動的に描かれず遺された人々に希望も悔恨も与えない死なのです。そもそも生き残るのが権力者と金持ちばかりという所にエメリッヒ監督の底意地の悪さが現れてますが。生き延びて欲しいと思うキャラが全く見あたらないというのは新しいですな。
 
 そんな中、個人的にもっとも腹が立ったキャラは異変を最初に発見したインド人。奴はもっと早くに陸路でだって逃げれた筈です。主人公よりも多くの情報を持ち、素早く初手を打てて、箱舟の近くにいるんですから。あんなのが悲劇的なポジションに祭り上げられたんじゃ何も出来ずに死んでいく殆どの人類や、強運だけで乗り切るとはいえ足掻いて足掻いて足掻きまくってる主人公達に失礼です。

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キラー・ヴァージンロード

 自身の演劇ユニット「地球ゴージャス」で作・演出を手がける俳優の岸谷五朗が監督・脚本を担当した作品。最初から勢い任せで突っ走り最後は激しく息切れという、初監督作品にありがちな出来ですが役者さんが頑張って想像したほどには悪くないものに仕上がってました。いかにも舞台出身の人らしい不条理コメディで、映画の定石から言えば不作法としか言い様がないショートコントの羅列でありますが、小手先の技巧に奔らずわかりやすく観られる点は好印象でした。盛り込み過ぎ・誇張し過ぎで全体のまとまりは悪いし、「タバスコの二人」などの引っ張り過ぎなネタの数々もありますが、上野樹里×木村佳乃のコンビネーションは案外面白かったです。

 とにかく、冒頭のわざとらしいミュージカルを観て即座に現実的思考をシャットダウン出来るかが勝負の分かれ目。このハイテンションにドン引きしてしまったり、ストーリーの繋がりを気にしたりすると萎えること請け合いです。ナンセンス展開上等で一発ネタとして受け入れるが吉なのです。シーンの必要性を考えちゃ駄目。深く考えて見る映画じゃないのですから。
 見所は独りで突き抜けてる「死ねない自殺女」木村佳乃。演技派コメディエンヌ・上野樹里を完全に喰う強烈なキャラクターで魅了します。本格的に登場した途端にドラマが安定し本筋から外れると共にあからさまに失速する辺り、映画としては失敗なんですが彼女の凄さを如実に示しております。
  そして、高島礼子・小出恵介・小倉久寛・北村一輝などの豪華俳優陣が、カットしても話が問題なく繋がる無理なシーンでの出演。一発の小さい笑いを残し豪快に使い捨てられる姿が新鮮でした。出番が多い人ほどギャグが滑るのはいただけませんが。最後にサブキャラ達の話が綺麗に収束していけば良かったんですが、連関性に乏しかったのが残念。

 ダメダメなのは上野樹里がウエディング・ドレスに着替えてから。つまりクライマックス。ここまでずっと無茶苦茶なノリで突っ走り、上野樹里の見事な号泣で落差のあるギャグを期待させられ、しかし大真面目に泣かせで押し切られる屈辱。そもそも「どん尻ビリ子」の設定自体が作品の中核を担ってないから、落とし所として機能してません。追い打ちにEXILEの人の蛇足エピソードが整合性を崩すのも酷いです。主人公が幸せになることが他人の幸せに繋がるという話であのオチは無いし、木村佳乃抜きで締められる筈もないのに。

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モンスターVSエイリアン

 結婚目前に偶然巨大化してしまった女がモンスターを集めた秘密施設に収容され地球侵略を目論むエイリアンに対抗させられるドリームワークスの3Dアニメ。ストーリーではピクサー作品に見劣りするのが常だし、いかにも子供向けでくだらなそうなコンセプトなので、立体映像ならともかくDVD観賞では評価しにくいと思っていたわけですが、蓋を開けてみればなかなかどうして惹きつけられました。ベタなギャグ、王道的展開、天然キャラのモンスター達などの要素はどれも及第点です。とはいえ、本作が琴線に触れる大人は怪獣映画マニア限定であり、ストーリーそのものは予想通り稚拙なのでした。まあ、マイノリティの苦悩とかを真剣にやられても困るんですが。

 予告編を観た時から「巨大フジ隊員アニメ」呼ばわりしていたわけですが、本当に「円谷特撮魂」に溢れていて感激。巨大女の元ネタ自体は別の作品ですが『ウルトラマン』ネタは幾つもありますし、当然『ゴジラ』シリーズも引用されている他、中盤のゴールデンゲートブリッジでの大格闘などに「特撮の神様」リスペクトなショットが散りばめられているのです。その所為で東京の巨大怪獣ネタの展開が安易に予想出来てしまうのが難でしたが。
 本家ハリウッドネタも充実していて、仲間のモンスターは虫と融合した博士、フロリダに現れた半魚人、人食いアメーバと1950年代のゲテモノ映画をオマージュ。エイリアンとそのロボの方も同様です。その他、『未知との遭遇』や『E.T.』などのスピルバーグ映画を始め様々なパロディ・シーンが盛り込まれSF・特撮好きは垂涎です。けど、キッズはもとより引率する親世代も殆ど付いて行けない古典ネタばかりな気がするんですが、アメリカでは祖父母と孫で映画観る習慣でもあるんでしょうか?

 さて、話が薄っぺらい以外の問題は人間キャラの造形にどうにも馴染めない事でしょうか。これは日米の文化の違いではあるんですが、デフォルメに慣れた身にはリアル志向の豊かな表情に拒絶反応。設定の都合とはいえ、肝心のヒロインが男を見る目がなく流されやすいバカ女というのも辛いです。人間以外のキャラクターは魅力的なんですがね。人間以外は・・・。そんな中で気を吐くのは合衆国大統領。エイリアンとのコンタクトで5音目を弾き間違えすかさずバルカンサイン、更に『ビバリーヒルズ・コップ』の曲をファンキーにプレイし度肝を抜いたかと思えば、その後の登場シーン全てで見事なイカれっぷり。ブラックなオチにもシビれました。そこから傾れ込むシルエット・アニメのエンドロールがこれまたハイセンスで拍手喝采。でもマニア以外は楽しむポイントがあまりに少ないよなぁ。

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ホースメン

 『ソウ』並の直接描写は不要だけどあれと同じぐらいに痛みを感じさせる演出がないと今時の恐怖映画は成り立ちません。『羊たちの沈黙』をやりたいのならレクター博士並の猟奇なバックボーンと美学が無いと辛いです。そして、『セブン』の雰囲気を出す為だけに聖書ネタを引っ張ってくるのはいいかげん止めるべきなのです。派手な死体を用意しても奇抜なアイデアや説得力のある犯行動機が無い上にオチがバレバレとくればモヤモヤ感が残るだけです。マイケル・ベイ率いるホラー制作チームによるオリジナルのサイコ・サスペンスという事で観てみましたが、端的に言って駄作以外の何者でもないですな。

 一生懸命ホラー映画のリメイクに勤しんできたマイケル・ベイともあろう人がこの程度の脚本にゴーサインを出すってのが信じられませんねぇ。わざわざ高いギャラを払ってチャン・ツィイーを起用しながら中途半端な扱いをしてる点を鑑みると制作中に構想を変えざるを得ない何かがあったんだと推測しますが、それにしても・・・。

 ツィイーの演技は確かに新境地で面白いんですが、いかんせん設定が薄っぺらで伏線ほったらかしだし、後半の話に全然絡まない点が非常に残念。状況からしてあの程度であの女が満足しちゃうってのも腑に落ちないです。物語よりもアラサーの彼女が18歳の役を演ってると言う事実に驚愕させられるってのも酷い。
 それと、家庭を顧みないダメ父役のデニス・クエイドが、仕事に家庭に頑張ってる良きパパにしか見えないのも問題。演出が間違ってるってのもありますが、それ以上に『デイ・アフター・トゥモロー』や『オーロラの彼方へ』のイメージが強すぎますね。

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