「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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グエムル -漢江の怪物-

 はっきり言いますがコイツは決して出来のいい映画ではありません。シリアスなモンスター・パニックかと思うと腹を抱えて笑わされるギャップの激しさ、「娘の救出」と「政府からの逃亡」というミッションが融合せず間延びする脚本、軍・警察・病院などの突拍子もなく稚拙な描写、どれも正直酷いです。しかし、それらを補って余りある掟破りの展開と異端独特の複雑な余韻。極めてオリジナリティに溢れる作品です。ズバリ超問題作。

 なんたって怪物シーンの演出が最高です。大きすぎず小さすぎず絶妙なサイズのリアルなCG。それを違和感無く群集とマッチングさせた画作りのセンス。躍動感溢れる怪物の疾走を捉える秀逸なカメラワーク。存在しない怪物と競演する役者陣の演技もパーフェクトです。特に白昼堂々の怪物初上陸は映画史に残る素晴らしさ。一瞬目を離すとそこにいる恐怖、圧倒的にパワフルな暴れっぷり、人を捕獲し容赦なく踊り食いにする戦慄の描写に大興奮です。
 だけど怪獣だけの映画じゃないです。この映画を傑作たらしめてるのは意表をつく定石外しの数々です。大統領も科学者も特殊部隊も活躍させず底辺のダメオヤジとその親兄弟に闘わせるユニークな構成。しかも、主役だけじゃなく家族一同ダメダメという型破り。更に不条理な社会のドタバタ追走劇が怪物放ったらかしで展開される意外性。シリアス・シーンの真っ最中に強引なギャグを挟み込み観客を笑わせておいて間髪いれずに凍りつかせるスピルバーグばりに悪質な手法も多用されます。
 加えて、どこまで意図的なのかわかりませんが韓国人の悪癖が上手く笑いになっていて、日本人にとっては『ここがヘンだよ韓国人』的に楽しめます。現代韓国風刺が強すぎて国辱モノなレベルなのに輸出に踏み切る勇気に感心しました。見当外れで不遜なコリアン・メンタリティが全開。自戒せず全部アメリカのせいで済ます臆面のなさが素敵です。
 ただ真面目に考えると韓国を笑ってる場合じゃないのですよ。水辺から現れ人をさらう怪物に主人公の主張をまともにとりあわない政府機関、いい加減なマスコミ、無関心な世論って図式はまさに「拉致問題」なんですから。ユルユルの展開に誤魔化されてますけど、さらわれる娘の視点で見ると強烈に悲惨な話ですし。

 一方で随所に見られるのがリアリティの無い描写。隔離施設をはじめ事件に対応する組織の無茶苦茶さはツッコミ所が満載ですし、対象年齢がそれほど低く無いだろうに「東映戦隊」並にオミットされる軍・警察も極めて不自然であります。で、偶に出て来るとすかたんな行動ばかりするから性質が悪いです。特にクライマックスのガス散布なんて閉鎖区域の中で反戦団体が集会中というありえない状況下で決行ですよ。しかも対人被害が増えるだけで米軍にメリットが見当たらない謎の作戦です。冒頭の怪物誕生エピソードもあまりのスケールが小ささに唖然とさせられますが、この部分は実際の事件を基にしてると聞いて呆然。何でそれであんなに幼稚なやり取りなんですか?
 ストーリーの方も、理不尽な出来事のはずが半分はバカの自業自得に擦り替ってしまう点や、バラバラだった家族がひとつに纏まるという話の割りにラストバトルでも信頼関係が怪しいままってのが演出上よろしくないと思います。炎をバックにジャージ姿のぺ・ドゥナ嬢は凛々しいですが。

 本作は玉石混交というか原石そのまんまみたいなモノなんで、トホホ感を楽しむ余裕のある人なら怪獣好きじゃなくても絶対お薦めですが、真面目な人に受け入れられるかはちょっと自信ないです。キネ旬でも高評価だから結構いけるのかもですが。確実にウケそうなのはネットに蔓延る嫌韓の皆さんなんですが、パクリの噂を信じて食わず嫌いしてるのか全然ブレイクして無いんですよね。勿体無い。これは彼等が待っていた映画だというのに。

グエムル-漢江の怪物- スタンダード・エディション グエムル-漢江の怪物- スタンダード・エディション
ソン・ガンホ (2007/01/26)
ハピネット・ピクチャーズ

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