「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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SAYURI

 原作は既読。更に花柳界のしきたり云々を数本の日本映画で学習済みの身としては、お話自体はあまり面白くない芸者一代記なので退屈するかと思ったのですが、意外にテンポがよく2時間半の長さを感じないで楽しめました。絵的物珍しさで興味が持続したのは否定しませんが。西洋人の日本文化への憧憬が確認できる美しい文芸作品に仕上がってます。登場人物が英語で話す上に中途半端に入り混じる日本語が中国訛りだったり、神社の鈴を鳴らしたら鐘の音が鳴ったりしますが、基本的に勘違い日本を爆笑するようなバカ映画にはなってないのでそっち方面は肩透かし。

 主要キャストが中国女で日本描写も怪しい為に「国辱ものだ」とか騒ぐ輩もいるようですが、ハリウッドの美意識で再現された古き日本というのは独特の味わいであり、あの街には本物の日本人は似合わないのでキャスティングは概ね正しいと思います。英語が喋れて踊りが出来て渡辺謙&役所広司でさえ馴染まない風景にマッチする日本女優なんて思いつかないですし。とはいえ、芸妓の映画にしては董が立ち過ぎの女優陣は確かに気になります。いくら東洋系が欧米で若く見られるといっても20代後半のチャン・ツィイーが15歳の舞妓だったり、渡辺謙とほぼ同世代のミシェル・ヨーが現役No.1芸者だったり。
 考証無視の日本描写ですが、原作を読めば作者(アメリカ人)が深く日本文化を理解した上で正確に欧米に伝えようとしている事は判ります。当然、ロブ・マーシャル監督も欧米人には不可解な文化を入念にリサーチした筈です。その結論が部分的にチャイナの混ざる町並みと日中競演の世界なんですよ。分っててやってるんだから目くじら立てるのは野暮ってもんです。祇園だと思うから着崩れが気にかかるんで、満州の花街と思っとけば良いのではないかと。

 物語は所謂サクセス・ストーリーなのですが、苦労話にしても恋愛要素にしてもあまり心に響きません。いかに努力を重ね妨害を乗り越えて芸者になったかが今ひとつ描かれて無いのでルックスと姉芸者の裏工作で成り上がったみたいに見えますし、水揚げ後、最高峰に登り詰めるまでが省かれてるので「芸妓は芸を売る仕事」と言いつつ体を売るイベントばかりクローズ・アップされてしまいます。熱演の子役には申し訳ないけど幼少期は端折ってコッチに時間を割くべきだったんじゃないかと思います。
 それでも女同士の争いで引っ張ってる間はいいのですが、ラブ・ストーリーに転化して行く戦後編はメインの男二人があまりにも自己主張しないキャラな為にかなり物足りない感じでした。美味しいところは工藤夕貴(洋装姿がレイチェル@ブレードランナーに見えて仕方がなかった)が持って行き男優に全然見せ場が無いです。まあ、原作通りなんですけどちょっと可哀想。

 この映画は字幕か吹替かでかなり印象が変わりますね。字幕だと前述の日英チャンポン会話や姉を名前で呼び捨てにするのが奇妙だったりしますが、インチキ日本の画と相まって一昔前の芸能人かくし芸大会の英語劇のような味わいがあります。吹替だとこの面白さは失われますが日本人にしっくりとくる台詞回しでかなりまともなドラマになってます。ただ、日本人俳優の本人吹替が口の動きとまるで合わないのでどことなく韓流風味ですが。

SAYURI SAYURI
チャン・ツィイー (2006/07/05)
ポニーキャニオン

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