「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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ヒストリー・オブ・バイオレンス

 「映画秘宝」読者の06年ベストだし殺戮をモロに描く事に定評のデヴィッド・クローネンバーグ監督なのでを人体破壊ショーを覚悟して観賞に臨んだわけですが、意外とグロ抑え目の描写で小奇麗に纏まったバイオレンス・ヒューマンでした。一見捻りの無い地味な映画に見えますが、素早く冷たく呆気なくもたらされる「死」が全篇に渡って緊張感をキープする作品です。なかなか味わえない不思議なテイスト。
 本作のテーマは「家族の安全を脅かす者への暴力は正当化されるのか?」という事でしょう。報復の連鎖を続けるブッシュ政権批判になってるのはスピルバーグの『ミュンヘン』と同じ構図ですが、こっちのが簡潔で主張も分かり易い。そこで示される暴力の恩恵によってもたらされた平穏の気まずさとやるせなさは秀逸です。

 ある日、店に押し入ってきた強盗を逆に撃ち殺し英雄となった田舎町のコーヒーショップのマスター。だが、報道を見た彼の過去を知るらしいマフィアが付き纏い始め平穏だった一家が暴力の渦に呑み込まれていく・・・と、プロットは物凄く新鮮味が無いです。「静かに暮らす善人の過去に隠された罪」という西部劇にもよくあるし日本だと高倉健の得意ジャンルですね。普通はヒロイックに描かれる物語を殺伐とシビアでストイックに描いてみちゃったこの作品は一味違いますが。
 とにかく主演ヴィゴ・モーテンセンのどこか病的な雰囲気を漂わせた目が素晴らしく、苦渋に満ちた静かな善人のようでいて最後まで得体が知れないです。暴力で解決することの重みを知りながら、しかし命乞いの暇も痛がる間もない確実な殺しっぷりを見せるミステリアスな男を見事に演じています。詳しくは語られない凄惨な過去への興味が尽きません。妻役のマリア・ベロも信頼していた夫への疑心暗鬼に苛まれ、怒り狂い、しかし愛してもいて三行半とはいかない複雑な心境を好演。
 特に二回ある二人の濡れ場は妙に生々しく強烈です。一本目がチアリーダー・コスプレで二本目がレイプ風に始まって済崩し的に和姦突入・・・と書いてしまうと倦怠期夫婦のイメクラ・プレイにしか聞こえないですが、物語的には重要な意味合いを持たされていて、その演出力に感嘆しました。でもやっぱり四十路一歩手前でのチアガールは・・・。

ヒストリー・オブ・バイオレンス ヒストリー・オブ・バイオレンス
ヴィゴ・モーテンセン (2006/09/08)
日活

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