「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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雪に願うこと

 ばんえい競馬に興味がある人や馬好きなら楽しめます。北海道だけで行われているこの特異な障害物レースの魅力をこの映画は存分に伝えてくれます。とにかく輓馬の強烈な巨大さが圧巻。体重にしてサラブレッドの約2倍。ずんぐりとマッチョな農耕馬です。それが500kgものソリに騎手を乗せ2箇所の障害を含む200mの直線コースで持久力とパワーを競います。白い鼻息、馬体から立ち昇る湯気、収縮する筋肉。凍てつく寒さの中、美しく愛らしい馬達に目は釘付けです。特にメインを張るウンリュウ号は、甘えたり怒ったり見事な役者っぷりを見せます。
 ばんえい競馬のルールや競馬場の観客の様子、レースでの騎手の駆け引きの醍醐味、調教風景などの裏方仕事の苦労、そして厳しい運営状態まで競馬関係者が伝えて欲しいポイントを網羅していて、素人目には地味に映るばんえい競馬を「見てみたいっ!」って気にさせる作りになっているのもいいです。

 ただし、馬に興味の無い人がドラマだけで楽しむとなるといささか心許ないです。ベテラン監督らしい小技の利いた撮影ですし、演出は申し分なく役者も上手い人ばかりで脚本にも無駄はないです。豪華すぎる客演に重要キャラかと惑わされる点を除けば何所を切っても良質な日本映画なのですが、「都会で挫折した男が廃用寸前の輓馬に己を重ね、つつましく生きる人々の姿や家族愛によって再生へ向かう」ってストーリーはどうしたって平凡です。下手に派手にされたら世界観が壊れるのは分りますが、泣かせや訴えかけのパンチが妙に軽いのはちょっと気になりました。
 主演の伊勢谷友介は、若くして事業を起こした都会人という役柄なので完全に他から浮き上がって見えるのは当然なんですが、意外と厩舎の肉体労働もそつなくこなすし周囲との軋轢も少ないなど人間味を出す機会が乏しいドラマ展開で損をしてます。でも、周りに諭されるのではなく自分で結論を出す展開がともすると自己中なまま成長してないように映るのは、この人がナルシスト系の役に嵌まり過ぎる事と無縁ではないでしょう。加えて、殴る蹴るだけど好感度の高い佐藤浩市とか、バカっぽいけど儲け役の山本浩司とか、賄い婦にしちゃ華がありすぎる小泉今日子とか脇が光りすぎ。競馬に人生を重ねる話なのに感情移入できるのはウンリュウ号ばかりで主人公の人生の行方とかどーでもよくなっちゃうんですよね。

 実際、ソフトバンクの支援でなんとか帯広単独開催に縮小で落ち着いたものの、依然ばんえい競馬は廃止の危機に晒されてます。現在の賞金で関係者の生活を支えるのは厳しいし、馬主を引き受ける人材も、好んで輓馬を生産する牧場も確保できないのは自明。立地的に集客が劇的に増えるとも考えにくいし、たぶんギャンブル性も薄い。スターホースの登場もまずありえないどころか、下手すると映画出演馬のある程度は既に馬刺しになってる可能性すらある。もはや産業としては終わっていて地方の文化遺産として保護して行くしかないように思えるのですよ。一競馬ファンのマピールさんも神様に助けてもらうための目印に願います。ばんえい競馬の関係者と馬たちが幸せでありますように。

雪に願うこと プレミアム・エディション 雪に願うこと プレミアム・エディション
伊勢谷友介 (2006/11/10)
ジェネオン エンタテインメント

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葉山直樹の競馬予想業界に大革命!あなたの資金が285倍になったら競馬をやめられますか?

追い上げじゃない、前日予想可能、メールで分からないことは教えてもらえる。最低限の競馬予想としての価値はあるとおもわれるのですが、、、

  • 2007/03/22(木) 20:09:42 |
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