「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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時をかける少女

 昨夏の公開直後からインターネット中心に人気沸騰も上映館が異常に少なく、しかもアニメである故に劇場は所謂キモオタ・腐女子に占拠されて一般層への浸透は皆無に等しかった2006版『時かけ』ですが、DVDリリース後は順調に観賞されている模様。マピールさんは大林宣彦版『時かけ』世代で時間跳躍モノが大好物のSFギーク野郎ではありますが、そういうバックボーンを抜きにしてもこの作品大絶賛です。
 正直、作画は背景以外好みじゃないですし、描かれるのは大昔からある少女漫画的人間関係だし、SF的には設定が著しく甘いです。しかし、さりげなく無駄のない伏線、徐々にストーリーが手堅く纏まっていきテンポよくクライマックスに繋ぐ見事な脚色、コミカルなオーバーアクションや超常的要素を違和感なく溶け込ませた演出、青臭くも躍動感に溢れバランスよく配置された恋と友情の悲喜劇と、青春映画として完璧です。しかも、実写ではなくアニメで作ることの意味をちゃんと意識して作られてます。色々な人に観て貰ってこの半端じゃない清々しさを味わって欲しい作品です。

 『時かけ』は古くは70年代の「NHK少年ドラマ」、その後は原田知世や内田有紀などで何度もアイドル映画化されてるわけですが、本作はそのリメイクというよりは続編的位置づけのオリジナル・ストーリーであります。舞台は原作から20年ほど過ぎた現代であり、主人公は従来ヒロイン芳山和子の姪っ子ですが、物語に直接的な関わりはありません。テイストとしては『耳をすませば』に近いですが、あれ程こっぱずかしい幕切れではないので安心です。
 何よりもヒロインの造形が秀逸。高三にもなって恋愛感情未発達なくせにイケメン二人とお友達というリアルなら同性に嫌われそうなキャラですが、ボンクラぶりといい無駄遣いな行動原理といい“女のび太”で、しかも脳天気で天衣無縫で色気無しでバカとくれば好感度はバッチリ。でも、ある意味ハードでダークなこの物語を映えさせるのにうってつけのライトで前向きなお子様キャラなのでした。泣き方まで“のび太泣き”なのが天晴れです。そしてミニスカでアクティヴに転げまわりつつ絶対にパンツは見せないこだわりも素敵です。・・・いや、パンツはどーでもいいですが。とにかく、従来の受身キャラからの変更が効果的です。
 女1人に男2人・未来人・理科室などの基本設定を踏襲しているものの、歴史改変ありのタイムリープ乱用という無茶な設定で原作の世界観を根底から破壊し、プリンやカラオケや野球を小道具に小気味よく繰り出されるコントからやがて訪れるシリアス展開・・・と、完全オリジナルで進めておいて、しかし、最終的に『時かけ』ならコレしかないという落とし所にちゃんと落ち着いているのが巧いです。テーマを端的に表した「待ってられない未来がある。」というコピーも素晴らしいです。
 そして、オールド・ファンを唸らせる「その後の芳山クン」の片鱗。彼女は主人公にアドバイスする達観した大人の女性の役割ですが、消されたはずの記憶もどうやら取り戻し、「結局は別の人と結ばれるのよ」とかうそぶきつつ未だに奴さんの帰りを健気に待ってるご様子。確かに原田知世が演じた芳山クンの性格ならと納得の描写に、いつのまに薬学から美術方面にジョブチェンジしたんだと思いつつも心鷲掴みにされてしまうのでした。ついでにやっぱり報われない吾朗ちゃんには涙ナミダ。

時をかける少女 通常版 時をかける少女 通常版
筒井康隆、 他 (2007/04/20)
角川エンタテインメント

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