主役のオダギリジョーもかなりの熱演で「成功者でお洒落で無自覚に嫌な奴」が嵌りすぎなのですが、役者的には香川照之に尽きる映画でした。余人をもって替え難いといっても過言じゃないです。罪の意識で錯乱気味なのか嫉妬心に身を任せたのか捉えどころのない人物を見事に演じます。自嘲にも弟への悪意にもとれる微妙な仕草や表情が素晴らしいです。それにしても兄・香川照之、弟・オダギリジョー、その父が伊武雅刀で伯父に蟹江敬三ってやたら濃い一族ですな。
本当に見応えある映画なのですが、構成が論理的過ぎて若干面白みに欠ける気はしました。弟の記憶は「真実」、「事実誤認」、感傷から生み出された「偽の記憶」など色々と解釈できるようにもっと曖昧にした方が良かったんじゃないかと。
あと、裁判モノとしてのリアリティがどうにもこうにも。被告の自白を唯一の証拠に立件してるのに、それを覆す証言をあっさり容認してどうするのか。その後、誘導尋問しかできなくなって漂う手詰まり感。『逆転裁判』のチュートリアル並にあっさり逆転されてる原告に萎え。とにかく検察側弁論が弱すぎで、嫌な検事を演じてる筈の木村祐一が只の馬鹿に見えます。DNA鑑定も詰めが甘いし、被害者の男関係も洗えてないみたいだし。そもそも、煩わしい事を避けてるっぽい弟クンが行きずりで中出しって設定もどーかと思いますが。
そして、予算の都合があるんでしょうが、都会の成功者に憧憬する田舎者という構図を描くのにロケ地・山梨はいくらなんでもねぇ。そんな日帰り圏内の隣県で30近い大人の女が一大決心って・・・。
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