「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

硫黄島からの手紙

 イーストウッド監督、硫黄島二部作の日本編。『父親たちの星条旗』でも言ったとおり単独で成立しているものの後編的意味合いも強い作品です。『父親・・・』は変化球でしたがコッチはストレートな戦争映画になっている・・・ように見えて実はヒューマン・ドラマです。米軍の予想を覆し持久抵抗を続けた日本軍の知略も、地下陣地建設での過酷な労働と硫黄ガスや地熱との闘いも、激しく消耗し飢えと渇きに苦しむ兵士たちもここでは強調されません。英雄的行為の描写を明確に排除しており、合理的な帝国陸軍将官の足を引っ張るバカ海軍士官というちょっと新鮮な構図で様々な日本兵を克明に描いていきます。『プライベート・ライアン』みたいな壮絶な戦闘シーンを期待してる人は用なし。でも、戦争の問題を冷静に訴えつつ英霊達に感謝の念を抱かせる映画であります。

 時系列を簡単にレクチャーしておくと、栗林中将(渡辺謙)が硫黄島に入ったのが1944年6月で米軍上陸開始は翌年2月19日ですんで訓練と地下要塞化の時間はそれなりにあったようです。また、中村獅童をウロチョロさせるなど意図的に短期決戦に見せてますが、摺鉢山陥落が23日、旅団長一派の突撃が3月8日、西中佐(伊原剛志)の玉砕は17日、最後の反攻は25日頃となります。
 『父親・・・』とは違い、色々なエピソードを架空の人物達に割り当てたり不明なはずの栗林中将の最期を創作したりと、あまりディティールに拘ってない模様。汚れ役の将校の実名も避けています。例えば実質主役の架空の兵卒・西郷(二宮和也)が首を刎ねられそうになるシーンですが、『父親・・・』の原作『硫黄島の星条旗』に撤退した陸軍中尉を司令海軍大佐が斬首しようとした話があります。また、交戦可能な段階での集団自決は不自然に思えますが、同書には自爆死体を大量に発見した証言があり「小隊を全滅させる数がいながら国旗掲揚を阻止しなかったのは謎」としています。

 考えさせるラストを得意とするイーストウッド監督にしては説明過多で、命が軽く狂気に満ちた日本人の蛮行や不気味な天皇陛下万歳をイスラム狂信者の自爆テロと重ね合わせつつ、家族を想う気持ちは変わらないという所までハッキリ示してるのがちょっと不満。そこまで言わなきゃわかってくれないって事なんだろうけど。だから特別に優れた映画とは感じませんが日本映画界が束になってもかなわない水準ではあります。日本映画だと極端な「不戦の誓い」に帰結するか「自己犠牲」のロマンに酔ってバランスを欠くところを綺麗に纏めたのは、家族を守るために銃をとり生還こそ是とするアメリカ人らしいと思いました。それにしても、「いつの日か諸君らの勲功を讃え・・・」って台詞をかつての敵国の映画で言われちゃうのは辛いですねぇ。

 最後にキャストですが、二宮和也は見た目が若過ぎるのが気になったけど、実年齢(23歳)を考えれば無茶とはいえないんですかね。あれ、20代後半ぐらいの役みたいだし。いつも不満顔で帝国軍人っぽくないのは演出だろうから否定しません。しかし、その嫁に36歳の裕木奈江ってどうなのか。そして役柄的には二宮より若輩っぽい元憲兵に32歳の加瀬亮。彼も若作りな役者ですが流石に無理がある気がしました。でも渡辺謙以外は全員オーディションだそうだから、アメリカンの目にはマッチして映ってるんでしょうか。あと、殆んどが在米日本人キャストだそうですけど、ハリウッドで日本人俳優不足というのが本当なら、あの人たち、みんな英語が苦手だとか?

硫黄島からの手紙 期間限定版 硫黄島からの手紙 期間限定版
渡辺謙 (2007/04/20)
ワーナー・ホーム・ビデオ

この商品の詳細を見る
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mappil.blog65.fc2.com/tb.php/155-bac17495
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。