「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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トゥモロー・ワールド

 人類に子供が生まれなくなって18年がたっている2027年が舞台のリアルでシリアスでショッキングなSFアクション。60年代後半の反体制活動を描いたみたいな暗い映画なのですが冷徹な傑作です。邦題のB級臭さに騙されちゃいけません。いつ死んでもおかしくない荒廃の世界を体感できる作品。観終わってみるとストーリー自体は大した事ないんですが、臨場感が図抜けていて独特の緊張感が心地好いです。驚異的長回しに見えるよう編集された緻密な画面構成に舌を巻きますよ。
 注意点はディティールを気にし過ぎないこと。子どもが誕生しなくなった理由とか、英国以外の世界情勢とか、謎の人権団体の正体とか、気になることは多々ありますが最後まで答えは明示されません。そこに横たわるのは「状況」だけです。設定大好きなSF者には辛いところですが謎解き映画じゃないと割り切るしかないです。これは大人の寓話なのです。

 とにかく「これ、どうやって撮ったの?」というような見た事のないカットがたくさんあってカメラワークとかに拘る人には垂涎の映像です。一言で言うと「滑らか」。圧巻は6分を越えるクライマックスの市街戦における長回しで、銃弾と砲撃をかいくぐりながらビルの3階まで昇る主人公をレンズに付着する血糊もそのままにカメラで追いまくるんですが、実際は1階建てだったという脅威の編集技術。DVDで何度もチェックしたけどつなぎ目が何所なのか判断できませんでした。冒頭の爆破テロシーンと中盤の車内映像も必見。数多あるCG合成も違和感なしです。随所で光る脚色の妙技をたっぷりと味わいましょう。
 しかし、個人的にはテクニカルな撮影よりもブリティッシュな空気に酔いましたね。宗教対立から成るアイルランドとの紛争・テロの歴史とか保守的でクールで動物好きな国民性とかね。全共闘世代じゃ無いんでヒッピー文化やラブ&ピースはよくわからないし、英国特有のシニカルな笑いも正確な理解は難しいのですが、雰囲気は伝わってきます。なにより音楽のセンスが好み。劇伴にはマーラーやショスタコーヴィチ等のクラシック、挿入歌は60'sブリティッシュロック中心。『クリムゾン・キングの宮殿』が流れるシーンでのピンク・フロイドのアルバム『アニマルズ』のオマージュ(バタシー発電所に飛ぶ豚)はプログレ・ロック・ファンには嬉しいサービスですが、英国だと万人にわかるネタなんでしょうか?
 ところで、こんな状態になっても争う人間を見ながら「このままだとイデが発動しちゃう!」とか思ってたオタク脳な自分にちょっと悲しくなりました。

トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション
クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア 他 (2007/03/21)
ポニーキャニオン

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