「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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デジャヴ

 ネタバレ厳禁映画でした。そして、ネタバレしないと何も書けないという事実に困惑。この作品にとって不幸なのは、語っちゃいけない重大な部分が明らかになった時点で拒絶反応を起こす観客がかなり見込めることと、よりによって大味の代名詞ジェリー・ブラッカイマーの製作だって事。一見穴だらけでご都合主義に見えるこの映画、実は意外と頭使って組み立てられてます。みっちりの伏線が綺麗に回収され破綻も殆んどないというのがマピールさんの結論。でも派手で無内容なカイマー映画の先入観が邪魔してツッコミだらけの豪腕トンデモ映画だと理解されちゃう可能性が高いです。拒否反応を抑え少し頭を捻って観て欲しいのに。

 先ずは触れてもいいネタだけで感想。やたら画がクリアーで美しいです。特に冒頭のフェリー・シーンは主役登場までの10分間を動きのある映像で魅せるトニー・スコット監督らしい仕事ぶり。フィルム撮りの良さをまざまざと見せつけてくれてます。
 そして、プロットも面白いです。肝は建物の中まで覗き見る事が出来る人権無視の衛生監視システム“白雪姫”の存在。これがまた「約4日前の映像のリアルタイム再生しかできない」「アングル自在だけど一度に映せるのは1箇所」など制限事項がたっぷりで、それを巧みに利用して犯罪捜査をスリリングに展開していくシナリオは実に面白くなっています。カーチェイスの仕掛けも斬新です。ただ、惜しむらくは白雪姫の設定が秀逸すぎました。だから後半の急展開が観客に冷や水を浴びせ後ろ髪を引かせる効果ばかりになっちゃってます。
 あと、演出上の問題点は、デンゼル・ワシントン扮する切れ者捜査官ダグが事件そっちのけで被害者クレア(ずっとハル・ベリーだと思ってたら別人だったw)にご執心に見える事。おかげで最優先されるべきミッションがおまけみたいです。ダグの行動原理が愛であるならそれでもいいのですが、ちょっと違うみたいなので悩ましいです。

 さて、どうにも不当な評価を授かりそうな中盤以降を擁護するために以下ネタバレで語ります。

 なんせ[時間物SF]だって事を伏せざるを得ない作品なもんで、観る側とのミスマッチが生じて理解されてないっぽいので主だった点を説明してみますよ。

 先ずは前提。この映画では過去を変えれば未来が変わり干渉前の未来は徐々に消滅するシステムが採用されてます。ドラゴンボールで未来トランクスが最初に目論んだのがコレです。あれは最終的に複数の未来に枝分かれしましたが、この映画では並行世界は共存せずやがて統合されます。しかも、ドラえもんの世界のように「起きた事は必ず起きる」のではなく「起きた事が起きなくなる」少し変な世界です。鶏が先か卵が先かみたいな話になっちゃうんで、この辺は深く考えずそういうルールだと捉えて下さい。

・レーザーポインタの透過
 不評が予測されるシーンですが、アレは画面に見えて実はマジックミラーみたいな物なんでしょう。衛星データ云々は科学者の嘘(つーか両方の技術を併用してるっぽい)で、実際には時間の窓を4日前の空間に直結してます。つまり「どこでもドア」に近いものと考えられます。

・人間転送の件
 不可能だと言いながらあっさり実現して萎えたのは認めます。強引過ぎる。でも証言と行動から推測するに科学者達はハムスターの死体の転送実験には成功してるし、莫大な電力さえ使えば重い物が送信可能な事も理論的に解ってた筈です。問題視されてるのは電磁波が生物の電気的活動を停止させる事と過去に干渉する危険性の2点。後者は倫理的な問題(世界が丸ごと消えるレベルだけど)ですから結局は電磁波の問題だけクリアすれば良かった。それならば手は有りそうです。まあ、あの力技だと遺伝子がかなり損傷しそうな気はしますが。

・ダグの痕跡の謎
 一番誤解されてそうな所。クレアが死んでテロは起きてるのにタイムトリップしたダグと接触した痕跡が残っていることの矛盾から整合性無視の駄作と捉えがちですがそれは間違いです。転送前のダグの「2度目」という台詞を見落としてます。この映画は「1度目(とは限らないけど)のタイムトリップが失敗に終わった所から始まってる」というのが真相です。冒頭の遺体袋から携帯の呼び出し音が鳴るシーンもこの事実を暗示してます。つまり、前回のクレア救出・ダグ治療後の流れはこんな感じと推測。

9:45 クレアを自宅に残してダグ出発
    二人の無事に気付いた犯人がクレアを拉致
    クレアの指切って焼き殺し川に流す
10:42 クレアの遺体が発見される
    ダグ、フェリーに乗り込む
    犯人、ダグの裏をかいて襲撃、ダグを昏倒させ出航前に立ち去る
10:50 ダグを載せたままフェリー爆破
    ダグ、遺体袋の中の人に。

 移動を考えると犯人は超忙しいですがギリギリ成立しそう。ちょっと苦しいのは映画で示された2度目では出航直前まで犯人が二人に気付いてない事。この場合、仮にクレアを家に残していっても犯人に殺す暇がないです。スケジュール的にはクレアの家に移動する車を犯人が目撃して尾行されるぐらいじゃないとおかしいのですよ。という事は、ダグが流れを途中で変えたんじゃなくて2度目は最初から別の流れだったのかも。SF的に破綻するわけじゃない瑣末な事ですが。

・デジャヴの正体
 この映画におけるデジャヴは、要するに上書き前の未来の記憶の断片ですね。最後に出てくる次のダグにも記憶は薄っすら引き継がれてますから。2度目のダグがクレアに惹かれたのも、白雪姫システムにもさして驚かないのも、レーザーポインタに気付いたのもこのデジャヴの影響と思われます。クレアが視線を感じたのもそうかも。

 とにかく、もうダグが白雪姫と関わる理由はないから歴史は確定。可哀想な相棒はワニの餌だけど仕方ないです。


 ・・・と、長くなったけどこんな解釈じゃないでしょうか。

デジャヴデジャヴ
(2007/08/03)
デンゼル・ワシントン. ポーラ・パットン. ヴァル・キルマー. ジム・カヴィーゼル. アダム・ゴールドバーグ

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