「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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キサラギ

 ネットを中心に一般客層に高く支持されブルーリボン賞作品賞も獲ってる作品なんですが、個人的には微妙。元ネタが一幕物舞台劇でジャンルが論理ミステリー・コメディというのは大好物なのですが、だからこそ気になる箇所が多すぎて自然と評価は辛めに。
 「掲示板で知り合った5人のアイドルヲタのそれぞれの情報からD級アイドルの死の真相に迫る」というプロットは悪くないんですが、『12人の優しい日本人』の縮小再生産という謗りは免れない出来。後出しの証言一発で状況が一変する辺りは生ぬるい『逆転裁判』です。
 ストーリーラインがしっかりしてるので一見良く練られた脚本に見えますが、伏線の使い方や話の膨らまし方に工夫が足りず肝心要の構成に緻密さを欠く造りになっています。何も考えずにボヤッと観てる分にはショートコント的な笑いと小気味良い会話劇で面白いんですが、ロジックものでそういう観方がお薦めってどーなのか。

 一番の問題は緩すぎるテンポ。ある程度の先読みをわざと促しておいてミスディレクションを誘う狙いにしては捻りが甘く、だらだらとコントを挟み観客に考えるゆとりを与え、かつ、あからさまな伏線を律儀に拾ってくれるので先の展開から5人目の処理までかなり早い段階で全て解けてしまいます。そして、劇中の人物達がそこに辿り着くまでのタイムラグにイラつくのです。安直な謎を勿体つけてもKOパンチに成り得ないんだから連打で一気に畳み掛けるべきだったと思います。
 そして折角の密室劇を壊すだけの無意味な冒頭シーン、強引に綺麗事へ誘導する星空の感傷シーン、エンディングのがっかりな二段オチなど、演劇を映画にするために足したと思われる辺りが全部余計なのも痛いです。下手な歌声の披露にとどめ5人のヲタ芸でさらりと終わっていればもっと好印象だったのに。

 全体に型に嵌り過ぎたオーバーアクションが気になるものの、キャラクターが立ってるためキャストに不満はありません。圧巻はなんといっても見事な怪演で魅せる香川照之。他のキャストが幅の無い演技で一杯一杯の中、独りメリハリをつけて単調にならないように盛り立てます。言い換えると香川さんが絡まないシーンはかなりグダグダって事なんですけどね。まあ、前半は便利に笑いに使われるだけの塚地武雅も後半はかなりの演技を見せてくれてます。小栗旬はイケメンでも強度のヲタはキモイ事を証明。でも狂言回し役は似合ってました。演出的にちょっとウザ過ぎる小出恵介にはもうちょっと見せ場が欲しく、ユースケ・サンタマリアは起用自体が殆んど出オチ扱いなのが・・・。

 結局のところ、セットやカメラワークも劇場中継レベルのアイデアしか無いし、演技派の役者を揃えて舞台で演じた方が完成度が高いんじゃないかという疑念が拭えないのでした。映画ならではの醍醐味の不足がとても残念。

キサラギ スタンダード・エディションキサラギ スタンダード・エディション
(2008/01/09)
香川照之、ユースケ・サンタマリア 他

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