コイツは70年代の低予算アメリカ映画がいかに素晴らしかったかを明示する完成度の高いB級映画であります。まったく、イカれてます。本筋とはなんら関係の無い与太話を繰り広げるミニスカやホットパンツのビッチ達の腿や尻を、ひたすら執拗にローアングルで追い回すのみで本編の5割を占めるという変態ぶりが凄まじいです。酒場で流れるソウルの選曲は渋いですが今時の若い娘と完全にミスマッチで苦笑。フィルム傷などのエフェクトに妙に明るい照明と毒々しい色調で見事に古臭いフェイク70'sに仕立て上げつつチャカチャカ娘どもが普通に携帯電話使いやがるのも笑えました。間延びからご都合主義の急展開もまさに当時のアクション映画のテイスト。完全に「知っている世代」で更に「偏った人」向けの作品です。面白いのは『プラネット・テラー』だけど好みなのはこっちの方ですね。あの頃、テレビ東京の土曜の昼の映画を腐るほど観てたティーンとしては、こういうのが観たかったと心底思います。バカ映画バンザイ!
ただ、終盤だけは一般の人にもお薦めできる愉快・痛快の歴史的カーチェイスなので必見。何でこんなにテンションが上がるのか不思議なほどの高揚感。的確なカット割と命がけのスタントが醸し出す恍惚の疾走感。クルマの壊れ方も素晴らしかったです。そして完璧なチェイスを演出しながらも、同じところを何度も走っている様にしか見えないB級魂に脱帽。ラストの「何コレ?」感も最高にバカっぽくて素敵。流れる曲も最高。
キャストにはいかにもB級っぽい雰囲気を漂わせた女優陣が揃ってますが、後半4人組の顔ぶれは『RENT/レント』のダンサー&レズビアンの二人に『ダイ・ハード4.0』のブルース・ウィリスの娘と実はかなり豪華。唯一見覚えの無いゾーイ・ベルは『キル・ビル』でユマ・サーマンのスタントを演じていたそうで、Tシャツ一枚でやるなんて論外の「姐ちゃん凄ぇな!」と言うしかない身のこなしを披露。腕っ節にも拍手喝采。ロザリオ・ドーソンのムチムチかかと落しも見事でした。
そして、最高なのはよくぞこの仕事を請けたカート・ラッセル。仕事の無くなったスタント野郎の悲しみ、若い娘に相手にされなくなった中年男の怒り、そして異常者の笑顔から無様で情けない泣き顔までヴァラエティたっぷり。劇中のラップ・ダンスのくだりで「アレがキュートでセクシー?」みたいな事いわれてるオジサンですが、ラストは本当にキュート。いやはや、この人に今更キュートという言葉を使おうとは思いもよらなかったですよ。
![]() | デス・プルーフ プレミアム・エディション (2008/02/22) ヴァネッサ・フェルリトローズ・マッゴーワン 商品詳細を見る |



