「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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バベル

 菊地凛子のアカデミー助演女優賞ノミネートや役所広司、ブラッド・ピットの出演、カンヌ映画祭監督賞、日本公開時のポケモンショック症状など、必要以上の話題性により「バベル」の意味すら知らないような客層が押しかけ口々に意味不明とつぶやく悲しい結果の本作。分かり合えない事で生じる悲運の連鎖の作品なのに映画自体が解って貰えないと言う皮肉な事に。娯楽性は全く無いし不愉快描写多数でトーンは陰鬱、観客に考えさせるタイプの投げっぱなし作品であるからにして悪評が目立つのは仕方ないです。マピールさんも凡人ですんで軽率と誤解を描いただけに見え、たぶん存在する壮大なテーマは胸に響いてこなかったのです。でもこの映画、面白くないのに150分も飽きさせない不思議な力があるんですよねぇ。

 登場人物の行動に理解できない部分が多いのがこの映画の難点でして、特に日本人としては極端にデフォルメされた日本パートに戸惑います。そんなに難しい事は言ってなくて、「自殺した母から愛されてたのか?」ってのを根底に父への反発・障害者差別・思春期などがない交ぜの誰かを強く求める多感な聾の少女の話なんですが、不機嫌で破滅的なセクシャリティに設定された事と菊地凛子がどうにも女子高生に見えない事が相まって淫欲発情娘が無駄に強調され、言葉を持たない少女と言葉は通じるのに分かり合えないブラピ夫婦との対比がわかりにくくなった感じです。役所広司も銃の国外持出&無断譲渡とかできるは刑事に消息つかませないはで「あんた何者?」って設定だし。
 当然、他の文化圏も同様のデフォルメが予想され、それがリアリティを失わさせ、「モロッコ警察ってあんなにガサツなの?」「不法就労なのに気軽に国境越え?」などなど色々余計な事が気になって気になって。決して出来が悪いわけではないけども、それぞれの愚行が極端すぎて失笑します。そして、4つの物語の連環が弱く、時間軸を微妙にずらしている割にはそれがあまり生きておらず、舞台がチェンジするタイミングも唐突と、テクニックに走りすぎな脚本・演出がマイナスに作用しており深く入り込めませんでした。
 エピソードの中ではメキシコ編が行きは良い良い帰りは怖いの国境の空気が印象的で好み。日本編はビックリ箱的な面白さだけどエロティックというより動物的なのでちょっと引きました。モロッコの2編は背景にあるモロッコとアメリカの国際関係がいまひとつピンと来なかったのと死に瀕してる割に緊迫感が物足りなく感じました。あと、全体にユーモアが足りない気がします。

 2006年アカデミー賞で助演女優賞候補に本作から二人が並んだ他、作品賞・監督賞など7候補を送り出しながら、受賞は作曲賞のみと奮わなかったのは前年作品賞『クラッシュ』と手法が似通ったせいもあるかも。オスカーは組合賞だからハリウッド俳優の起用数が少ないと不利ってのもあります。批評家賞たるゴールデングローブ賞の方では作品賞をゲットしており日本でも映画評論家は絶賛なので通好みというヤツなんでしょう。助演女優賞に関しては、マピールさんは独特の雰囲気でメキシコ人家政婦を演じたアドリアナ・バラッザの方を推します。菊地凛子は確かに良い表情だし仕草も聾唖者に成りきってますが、台詞が無かったり感情表現が偏ってたり演出に助けられてると思いました。

バベル スタンダードエディションバベル スタンダードエディション
(2007/11/02)
ブラッド・ピッド.ケイト・ブランシェット.ガエル・ガルシア・ベルナル.役所広司.菊地凛子.二階堂智.アドリアナ・バラッサ

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モロッコ、メキシコ、アメリカ、日本を舞台に、ブラッド・ピット、役所広司らが演じるキャラクターが、それぞれの国で、異なる事件から一つの真実に導かれていく衝撃のヒューマンドラマ。『アモーレス・ペロス』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、言語、人...

  • 2008/06/30(月) 16:42:28 |
  • サーカスな日々

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