「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習

 劇場で観たときの印象は正直期待外れだったのですが、吹替えが山寺宏一という事でまた観る。うん、字幕よりコッチのが良いです。英語とカザフ語を流暢だったり訛ったり両方日本語で表現したのが効いてマイルドになりました。もっとも、それだけじゃ超シニカルかつウルトラお下劣な笑いに対し多くの日本人が抱く嫌悪感は埋めがたく、依然としてディープな層向けなのは否めません。基本的にアメリカ人向けに特化してますし。マピールさんの笑いのツボからもやや外れててコメディとしては評価し難いのですが、かなりアグレッシヴなボラットのくだらなさには感嘆しましたし、カントリーな米国白人文化の学習的な視点でも愉しめました。

 『ボラット』はコメディアンのサシャ・バロン・コーエンがカザフスタン国営テレビのレポーターを騙り文化の違いを利用した失礼な面白レポートをゲリラ・スタイルで撮影した英国のTV番組です。このフレディ・マーキュリーに似た男が世界各国で文化交流する様子はYouTubeを漁るとたくさん拝めます。映画と同じパターンも多いんで英語ダメでも結構理解出来ますよ。マイナー国のTV局という設定がミソで堂々と撮影できるし出演の合意書もとれちゃうようです。しかもカザフは親米親ブッシュなのでアメリカでは国賓並みに歓待されたらしい。しかし、やがてアメリカでもこのTV番組がオンエアとなり、色々な人の馘が飛んだり訴訟沙汰が多発したり果ては国際問題と大反響の末に製作されたのが本作であります。

 でも、最初に書いた通り、ちょっと予想よりもキレが悪いのですよ、この映画。モンティ・パイソン的な笑いを予想していたら、噂ほどには政治的風刺や差別意識を浮き彫りにする挑発ネタに力が注がれず、人の善意に付け込んでボラットが愚行を繰り返すパターンが多いのです。しかも殆んどが差別ネタと下ネタ。お固く保守的な白人たちのリアクションは面白いのですが、滅茶苦茶なカザフスタン像とドン引きな際どいギャグが連発するだけに、ツッコミやテロップによる強調に慣れた日本人には笑いのきっかけをつかみにくいです。それにいくら下品に振舞っても天然ボケ脳みそ空っぽ系のハードコア・コメディには不要なインテリ臭が中途半端に漂うのがマイナス。やっぱりロデオ大会とかカルト宗教の集会で見せるようなシニカルな笑いの方が面白かったです。
 加えて、冒頭から偽ドキュメントのロード・ムービーとして全開で嘘っぽく作られており、フィクションが混ざりすぎてどこが真実かわかりにくいです。きちんと伏線を拾ったり脚本としては良く出来てるし編集も上手いんですが、それが緊張感を削いでもいるので痛し痒し。ユダヤ人老夫婦とか骨董品店とか素人の反応を引き出すボラットのスタイルからズレた演出には興醒め。熊の末路みたいなさりげない小ネタももっと欲しかったです。

 映画ニュースを見ると、マナー教師とか運転教習の教官とかプロフェッショナルに接し続けた人が裁判を起こしてて興味深いです。ボラットと親身に接してくれてた泥酔大学生たちも訴えてて、飲酒年齢とマイノリティ発言の問題で洒落ですまない被害が生じてるのには同情。
 そして最大の被害を受けるカザフスタン。バカにする意図は無く、言葉も国歌も文化も全部実在のカザフとは全く関係ないったってねぇ。まあ、アメリカではボラットのおかげで認知度がアップして正しいカザフスタンのアピールになったようなんですが。マピールさんもウズベキスタンとの関係とかカザフの宗教事情とかカリウムの産地とか調べました。うん、全部デタラメ。ちなみに冒頭の村はルーマニアだそうですが、出演者はボラットの話す内容も演出意図も正しく理解してないんじゃないかな?

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山寺宏一、

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