「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ

 荒涼とした土地、史実を無視した無国籍設定、激しいガン・ファイトに残酷シーン、そんな60'sマカロニ・ウエスタンへの愛溢れるオマージュ作品。登場人物全員が英語を喋るけどヴェネチア映画祭では英語字幕で上映されたという無駄なこだわりが熱い日本映画です。更に、二度手間を厭わずキャスト本人による日本語吹替も収録というバカさ加減が素敵。強力にタランティーノ・リスペクトな作品なので好き嫌いは極端に分かれるというか、ぶっちゃけバカ映画好き専用です。

 三池崇史監督の独り善がり作品と世間的には酷評の嵐のようで、確かに世界観は底が浅く荒唐無稽だし、シークエンス一つ一つが冗長でもっさりしてるし、主人公に魅力は無いし、なにより全く捻りの無い脚本の出来には呆れるばかり。全体にバカっぽく弾けきれず、かといって燃えも泣かせも無く、類似コンセプトの『グラインドハウス』2作品に比べてワクワク感でかなり見劣りするのが無念です。でも、“スキヤキ・ウエスタン”という新機軸の創出への果敢な挑戦に惜しみない拍手を贈ります。
 監督本来のヴァイオレンス色を前面に出せば和風スパゲティの域を出なくなりますし、真面目にストーリーを詰めるほどにクロサワに先祖帰りしますし、“鍋焼きウエスタン”と言われた日活の無国籍映画とは一線を画さなきゃだし、かくし芸大会の英語劇みたいなおちゃらけになってもいけないという難しい試みなのですよ。結局は当たって砕けて“スキヤキ風白菜煮”が出来上がったわけですが、どうしようもない駄作ってわけではなく新しい破天荒映画の片鱗を垣間見せてもいるのでした。

 センスの光るセットと衣装、意外と本気なガンアクション、見事に嵌まる北島三郎の主題歌なども高く評価しますが、やはり本作の魅力は様々な役者の怪演であります。富士山の書き割りの前でのタランティーノを筆頭に、美味しいところを全部持ってく桃井かおり、ぶっとんだ悪役を嬉々と演じる佐藤浩市と盾・堺雅人の赤組陣営+狂言回し役の保安官・香川照之辺りの頑張りに脱帽。キャストの質で差をつけられた白組も、筆頭の伊勢谷友介が意外によくてキャシャーンの百倍は格好いいです。でもそれは石橋貴明のベタな演技で相殺。
 多くの役者が出オチの一発で勝負する中で意外性も無い『みなさんのおかげです』まんまのコントを強いた演出の責任だと思いますがこれは本当に酷かった。書き割り前で『SMAP×SMAP』を演る香取慎吾と違って本編、しかもクライマックス近辺ですしね。ヒロイン・木村佳乃も汚れ役を物凄く頑張ってるけど空回りな感じで、色気が無く狂気も無く踊りがくどいのが残念。でも、演出で一番損してるのは間違いなく主人公・伊藤英明。クールなガンマンという役柄のせいで異常なまでに存在感が無く、個性派揃いの赤組と殆んど絡まないシナリオの弊害もモロに被ってしまいました。黒澤の『用心棒』から『スター・ウォーズ EP2』のジャンゴ・ フェット、果ては『カウボーイ・ビバップ』の最終回に到るまで御馴染みの二挺拳銃VS日本刀のバトルが熱いのに本作ではイマイチ盛り上がりに欠いたのも残念でした。

SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ スタンダード・エディションSUKIYAKI WESTERN ジャンゴ スタンダード・エディション
(2008/02/06)
桃井かおり伊勢谷友介

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