「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

 永作博美が助演女優賞を獲りまくったので気になってた作品。タイトルからは全く内容の想像がつかないわけですが、両親の訃報を受け東京から帰省してきた自称女優の長女と閉塞したど田舎で暮らす妹・兄・兄嫁のドロドロの人間関係を描くブラック・コメディでした。予告編の印象から近頃流行りの漫画の実写化だと思ってたのですが原作は戯曲の模様。確かに極端にキャラクター重視で舞台劇っぽい造りの作品であります。でも、なんとなく岡崎京子の漫画的な性と暴力と死の匂いも感じました。真っ黒な笑いが満載なので観る人を選ぶ作品なのは間違いありません。

 とにかく、メインの4人が揃って素晴らしく驚きました。特に、サトエリ最高!!超自意識過剰でプライドが高くスタイル以外に取り柄の無い大根役者の勘違いバカ女を大熱演。佐藤江梨子以外に誰がこの主人公を演じられようかと思うほどピッタリと嵌っています。この強烈な腹立たしさは天賦の才という他ありません。そのサトエリに虐待されつつも静かに観察する妹役・佐津川愛美も複雑で味のあるメンヘルキャラを怪演。永瀬正敏は嫁にはDV男だけど姉妹には異常な気遣いを見せる兄というポジションで、振り切れた性格の女達の狭間で常識的感覚を持つが故の悲惨を体現します。この3人の負のオーラが実にいや~んな感じなのです。
 これだけだと絶望的に暗いだけの話になってしまうのですが、そこを前述の永作博美が大車輪の活躍でコメディに変換していきます。哀れでお人好しで甲斐甲斐しくも不器用でキュートだけど不気味で超ポジティブという、3人とは逆のベクトルに狂ったキャラで全体のバランスを見事に調整。これまた、最初から想定されてた配役のような完成度。サトエリは演出に助けられての好演ですがコッチは演技力のみで憑依レベルのサイコぶりなのです。なんだか若返ってるのも凄い。

 ただ、キャラが見事なわりに物語の運び方がイマイチで残念。90分程度に絞り込んで勢い任せに突っ走って欲しかったところです。時折発生する間延びのせいで変な人たちの変な話に過ぎない事を冷静に悟ってしまうし、伏線が丁寧すぎる事もあり先が読めてしまいます。ラストもクライマックスから直ぐにオチに繋げた方が蛇足感は少なかったでしょう。
 演出的には妹が描く漫画の絵柄を早い段階で見せすぎたように感じました。途中までは少女漫画風だと観客に思いこませておいた方がギャップがあって良いし、折角の眼鏡っ娘なんだからもっとネチネチと悲観的かつ自虐的な「いじめてちゃん」を強調しておいた方がサスペンスとして面白かったと思います。あの毒々しい画と内容が妹の狂気と腹黒さをストレートに伝えまくるし、怪奇漫画の禍々しさが実写で描かれる虐待描写に勝ちすぎてインパクトが薄れてしまいました。
 地獄の日々って程に精神的に追い詰められないのと同様に性的描写もマイルドで物足りません。サトエリの脱ぎっぷりの悪さはいつもの事ですが、別に脱がんでも甘美で淫靡な世界は表現可能な筈で、その辺りをもっとねっとりと描いて欲しかったです。永作はエロくちゃいけない役なんでこれはサトエリの仕事。設定的にも実の兄妹の方がインモラルでいいのに。

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
(2008/02/22)
佐藤江梨子佐津川愛美

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