「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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天然コケッコー

 カントリーな中学生の健全初恋物語という普段なら先ず観ないジャンルの映画なのですが、日テレのふざけた賞を除く2007年の各映画賞で『それでもボクはやってない』と一騎打ちを演じたのが印象的だったのと、夏帆というジュニアアイドルの演技にもちょっと興味という事で拝見。原作が90年代の少女漫画って事ぐらいしか予備知識は無いし、夏帆についても[三井のリハウス]と[ピクサス三姉妹]のCMの娘という認識ぐらいしかないんですが。

 思春期の少女のセンシティヴな日常を瑞々しく捉えるというコンセプトが、心の歪んだ中年男たるマピールさんの感性に合わない為にやや苦戦。「やりたい盛りの健康な男子にとってはムラムラとしてもおかしくない誘惑が無数に転がってるこの状況で・・・」という男目線が、少女期特有のイノセントなほんわかジュブナイルに入り込むのを邪魔するのでありました。
 また、主人公カップルの親達の三角関係とか漫画少女とか郵便局員とかおそらくは原作できちんとフォローされてる設定が中途半端に提示され、しかし最終的にはとりたてて何も起こらない点がスッキリしません。小中学校合わせて7人しかいない村のわりに意外と簡単に市街地に繰り出せる様に見えるのも引っ掛かりました。なにかと選択肢の少ない過疎の村という設定が肝なだけに、なんか今時だと車で送迎されて塾とか通ったり町の子との交流が容易そうな環境というのは解せません。
 でも、全体的には少女漫画の持つどことなくファンタジックな世界観と実写映画のリアルな世界とのバランスが絶妙な子供達の物語になっていて、何気ないエピソードを淡々と羅列しているようでいて夫々に繊細な繋がりがある丹念な脚本なのでした。

 そして、このリリカルな空気感の再現を要求される難しい仕事を成し遂げた山下敦弘監督のセンスに脱帽。ドラマティック要素が殆んど無い物語なのですが、テクニカルな撮影の数々に目を瞠るものがあり全然飽きませんでした。計算されつくしたアングルやカット割り、特に窓を使って人物の視線を調整したり空間の切り分けと心情描写とをシンクロさせたりが実に巧み。島根の自然の移り変わりも美しく、緩やかな空気の広がりが伝わります。のんびりとしていて微笑ましく『恋空』の対極みたいな映画。とんでもないキスを披露する夏帆、僅かなシーンでも帽子で誤魔化さなかった岡田将生などもアレの真逆ですな。客層が被るのかどうかが興味深いのですが。
 子供達がメインの映画なので演技力という点では心許ない筈なんですが、どの子もオーバーアクトにならず田舎の子っぽく溶け込んで生き生き撮れておりました。これは演出の勝利でしょうね。特に夏帆のお下げ髪の嵌りっぷりは異常。未成熟な脚の太さもそれっぽいです。主観モノ作品であるが故に主人公に大きくかかる負担をものともせず、浮遊感と透明感を嫌みなく醸し出した演技にも目が釘づけでした。これが演出に助けられたものなのか、もう1作観てみたいですね。また、相手役の岡田将生が少女漫画世界と親和性の高いルックスなのが良いです。最後まで何を考えてるのかわからない感じで思春期の女の子を揺らす異性というポジションを上手に演じていました。実際にはエロい事とガキっぽい感情で大半が埋まってるというのが中坊の相場なんですけどね。

天然コケッコー天然コケッコー
(2007/12/21)
夏帆山下敦弘

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