「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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ミスト

 『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』に続くスティーブン・キング原作×フランク・ダラボン監督と宣伝されたため、感動作を期待して絶望の深淵に突き落とされる人が続出。キングは「モダン・ホラーの旗手」でダラボンはSFホラー『ブロブ』の脚本家なんだから勘違いした方が悪いとはいえ、うっかり観たのが気力・体力に余裕がないと超しんどい悲惨の極致な作品ってのは同情します。好き嫌いがはっきり分れますが、ただのB級ゲテモノ映画かと思ったらとんでもない傑作ですよ。「男はタフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない。」という言葉を噛みしめて刮目して見よ。

 ストーリーは単純。町を覆った正体不明の濃霧の中には危険な生物が潜み、スーパーマーケットに閉じ込められた人々は恐怖の襲来する極限状況下で疑心暗鬼から諍い収拾が付かなくなっていく、そんなありがちパニック映画です。舞台が保守的白人率のかなり高そうな田舎町なので宗教と迷信が大きく絡むアメリカ特有の流れとなり、極めてB級臭い超常現象設定にも胡散臭さ爆発ですが、そんな事では揺らがないヒューマンドラマの説得力で緊迫感と狂気を観客と共有させます。そして最後に仕込まれた大ダメージ必至の凶悪な罠に誘うのです。いやぁ、希望の見えないパンドラの箱ってのはキツイですなぁ。

 “映画史上に残る衝撃のラスト15分!”と謳われたラストは確かに凄まじく、ダークな上に、まさかの人物登場で最高にシニカル。ただ、想像もつかないアイデアってわけではないので誤解しないように。たぶん『宇宙戦争』のスピルバーグも似たような着想を持ってたと思いますが、商業的にリスキーな結末をハリウッドのお偉いさん方に承知させるのは至難なのですよ。実際、本作の観客動員は米国でも惨敗だし。
 でも、この映画の真髄は結末ではなく過程にあると思います。ここの見せ方が異様に上手いのでドキュメンタリーっぽい臨場感で紡がれるリアルな心理劇が成立。プレッシャーの連続の中での理性と感情の対立、友人関係や社会ルールの崩壊、集団心理の恐怖。日本人ならあんな宗教女に惑わされないとか思ってみても、平時ですら「スピリチュアル」や「水からの伝言」に惹かれる層がそこそこ存在し、ちょっと揺さぶられると容易く「オレオレ」や「マルチ」に引っ掛かり、法律や科学データを拡大解釈して煽られるとコロッと騙される輩も多い。大規模な自然災害とか似たような事態は現実の人間社会でも起り得るわけで、怪物なんかいなくても人の理性は脆くて選択を誤って罪に身を委ねる事が多々あるのです。
 そこで、マピールさんがあの場にいたらどうするかと考えると、影の薄い傍観者として日和リたいけど年寄りとかが多い状況だから戦力扱いされ、頼まれると断れないからズルズルと雰囲気にのせられて火の着いたモップとか持って自滅するとか濃厚。冷静に考えればもっとマシな武器や防御体制があるのに短絡な愚挙を犯すタイプだし。

 さて、本作の唯一と言っていい弱点は低予算です。このクラスの監督の特撮にしてはあまりにもチープ。確かに作り物とCGの融合は巧みだし特殊メイクやエフェクトも高水準で、高価なCGに頼らずにかなり頑張ってるのはわかります。けど、いかんせんドラマのリアリティが強すぎます。特撮シーンにはそこまでの現実感が無い為どうしても浮いてしまうのでした。
 ・・・と、思ったらその欠点は意外な形で克服されていました。それがコレクターズ・エディションDVDに収録されたモノクロバージョンです。ガラリと雰囲気を変え強烈なインパクトを醸し出す怪物たちに驚愕。これをスクリーンで観たかったです。間違いなくこっちがあるべき姿、『真・ミスト』なのです。

ミストミスト
(2008/09/17)
トーマス・ジェーンマーシャ・ゲイ・ハーデン

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