「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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プレステージ

 19世紀のロンドンを舞台に互いをライバル視するマジシャンの壮絶な闘いを描くサスペンスという触れ込みの映画ですが、トリックの謎解き合戦を期待すると拍子抜けでしょう。釈然としないオチのせいで不評を買ってると予想されますが、仮に冒頭に「・・・あなたは今、ミステリー・ゾーンに入ろうとしているのです。」というナレーションがついてたなら拒否反応は少なく、なかなかの秀作と評価されていたんじゃないかと。つまり、豪華すぎるキャストとセットに惑わされてますが、本質的にはB級テイスト全開の奇譚モノなのであります。

 これ、キャストに見合う愛と憎しみのヒューマン・ドラマにする事も可能だった筈なんです。共に学びやがて袂を分かつ因縁の二人、人気ではライバルに劣り貧乏暮らしの天才、才能と幸せな家庭に嫉妬する秀才、二人を行き交う魅惑的な女。羨望・焦燥・葛藤・執着などなどドロドロの人間模様を描くに充分な要素は盛り沢山なのです。だけど、そんなもんが観たかったら『アマデウス』でも観とけと言わんばかりにミステリー仕立てワンダラス・ストーリーで描かれる子供の喧嘩。トリックの構造の問題で男女のドラマを深く語る訳にはいかないのに敢えて起用されたスカーレット・ヨハンソンの無駄遣いっぷりも天晴れなのであります。

 しかし、一連の仕掛けと謎解きを楽しむ映画としてはヒントを見せ過ぎ。特に、最後まで隠しておきたかった方のトリックが早い段階でバレバレなのは困りもの。劇中で強調されるマジシャンのロジックを組み立てれば容易に想像がつく方法なのだからもっとミスリードに力を入れて欲しかったところです。もう一方の大ネタは「フェイクだよね?ま、まさか、直球勝負?」という感じで意図的に早めのネタバレをして惑わす魂胆なんでしょうが、ニコラ・テスラを登場させたのがやり過ぎだった模様。
 ニコラ・テスラは磁束密度の単位の由来になり交流発電機やテスラコイルを発明した偉人でありますが、小説でも漫画でもなんでもこの人物が絡むと忽ち話が胡散臭くなるという特徴があるのです。テスラのエピソードを知ってれば、彼が登場した瞬間に警戒警報発令で、ましてフィクションにわざわざテスラを出す意味を考えれば不思議な物語が決して不思議ではなくなる世界に突入したという結論に達さざるを得ないのであります。
 あと、魔術師達はオンとオフで容姿が違う上に変装まで頻繁で人物の一致に難儀。3つの時系列がバラバラに進められるのも混乱を誘います。演出として煙幕張ってる部分もあるんですが、ラストの水槽のカットのように意味もなく散漫な撮り方で無駄にわかりにくいものも多く残念でした。

 でも、トンデモと割り切って観てる分には奇術黄金時代のステージ・マジックの様子が興味深いし、クリスチャン・ベールとヒュー・ジャックマンの二枚目競演には華があり、大人気ない二人の騙し騙され足の引っ張り合いも楽しいです。夫々に隠しても嘘は言わない姿勢を貫いてるのが素晴らしい。複雑なストーリーにたっぷりの伏線を用意し綺麗に回収した手腕にも惜しみない拍手を贈ります。

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