「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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転校生 -さよなら あなた-

 大林宣彦監督作品『転校生』(1982)、まさかの再映画化。しかも近頃流行りのセルフリメイクであります。「新尾道三部作」の途中で脱落したため、大林監督の作品を観るのは実に久しぶりで、たぶん『青春デンデケデケデケ』以来だから15年以上たってます。最近はすっかり名前を聞かなくなってた80年代ジュブナイルの名手の「昔の名前で出ています」映画という偏見を持ってたのですが、存外に悪評をきかないので今回の観賞と相成りました。
 中学生男女の心と身体の入れ替わりのプロットはそのままに、転校してくるのは男の方だったり二人のキャラクターが微妙に違ってたり、舞台も尾道を離れて長野・善光寺に。オールドファンをくすぐる細かい設定変更を織り交ぜつつも紛れも無い『転校生』として話は進むのですが、中盤から大人の事情と思われる今風のファクターが持ち込まれ愕然とさせられました。しかし、最終的には「大林宣彦、衰えず!」という見事な着地を決め、ヒロインが美少女になった以外にも意味のあるリニューアルとなっております。
 
 とにかく忘却の彼方から呼び起こされる大林ファンタジー・ワールドに拍手喝采でした。明らかに不自然なキャラクター達による不思議な空気感、毒の無い物語に相変わらずのコメディセンス、狂った時代感覚とトリッキーな斜めアングルのカメラと広角レンズの多用。全然変わってません。オリジナルの小林聡美ほど露骨ではなく手ブラが限界とはいえ脱がし屋ぶりも健在で、よりオヤジ趣味にエロティックが強まっているといっても過言じゃないです。
 大林ワールドのノスタルジィに加え、本編も作風通りに郷愁を誘い速やかに異世界へと運ばれていくわけですが、そこから唐突に思いもよらぬ新展開へ。「もっと甘酸っぱいヤツ」を期待してた身には辟易する「お涙頂戴」の流れに戸惑うものの、最後は想像とは違う別のテーマに美しく帰結し、それでいてちゃんと『転校生』になってます。“ファンタジック青春映画の匠”の見事な作劇に感服。ジジイと言っていい齢なのにねぇ。

 旧作はどちらかというと尾美としのりの女の子演技が印象的でしたが、今作は中身が男の子になる蓮佛美沙子の頑張りが圧倒的に目立ちます。巧みにスイッチのオン・オフを切り替えて男女を演じ分け、時に大胆に、時に倒錯的に難しい役柄をこなしております。ややクラシックで地味目な顔立ちですが、清楚な透明感が魅力的で歌声にも味がありました。本当に弾けるのかフェイクなのかは知りませんが本格的なピアノの指使いにも感心。
 相手役の森田直幸も只のオカマ演技にならないように上手にナイーブな雰囲気を出していて、小柄な童貞中坊面が役柄に良くマッチしてますがいかんせん見せ場が少ない。脇では清水美砂と古手川祐子が夫々の母親役を好演し若手をがっちりフォロー。あと、最近テレビで見かけない「ヒロシです」の人が斉藤健一の芸名で出演してたり。これがまた、大林映画の典型的な珍妙キャラで役者の能力は判断しかねるときてます。その他、蛇足っぽい異様なキャラが入り混じる辺りは監督の作風に慣れてないとかなりキツイので注意。

転校生 さよなら あなた 特別版 [DVD]転校生 さよなら あなた 特別版 [DVD]
(2008/01/25)
蓮佛美沙子.森田直幸.清水美砂.厚木拓郎.寺島咲.石田ひかり.田口トモロヲ

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