「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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ザ・マジックアワー

 三谷幸喜監督・脚本によるオリジナル・コメディ。監督が得意とするバック・ステージ物であり、これまたお得意の「偽者が本物以上に活躍する話」でもあります。今回スポットを浴びるのは映画の裏方さんなのですが、それを単なる撮影現場の騒動ではなく「偽の殺し屋にされた役者と本物のギャングのドタバタ」という変化球で拵えるセンスが見事でした。豪華キャストが要所で軽妙な演技を見せ、映画セットのような佇まいの港町は素敵で、巧みに計算され老若男女問わず笑えて和めるストーリー。製作のフジテレビ以外でも構わず出演した三谷幸喜と佐藤浩市の“ダブルコーチャン”の宣伝が強力だったことを差し引いても大ヒットが肯ける娯楽作です。安直なTVドラマのスピンオフばかりが持て囃される昨今、独自色の強い作品が成功するのは貴重であり喜ばしい。でも映画ファンとして敢えて言いましょう。「監督、これもしかして映画じゃねぇな。」と。

 色々とバランスが悪く映画としての完成度は危ういのです。ご自慢の大掛かりな街のセットは画が狭苦しくなりロケとマッチしない弊害を発生。現代の首都圏とギャングが牛耳る架空の街とを並存させる世界観も構築しきれておらず、主人公に映画の撮影と思い込ませるには設定に無理がありまくりで、古き良き映画への愛情が露骨過ぎるし詰めこみ過ぎ。この嘘八百にしか見えない演出をやめて1時間半程に収めてくれれば名作に成り得たと思うのですが・・・。前作『THE 有頂天ホテル』は「舞台では不可能な舞台劇」という存在意義があったのですが、今回はもっと空間を制限した舞台劇に仕立て上げた方が良くなりそうな話なのです。
 また、「人生のマジックアワー」というテーマに繋がる主人公の物話は文句無しなのですが、その話は老俳優との邂逅で実質的に完結しており、後に来るギャングとのクライマックスでの主人公の立ち位置が妙になってるのが惜しかったです。それにオチが弱い。最後の最後で「実は観客も騙されていた」という展開が欲しかったところ。

 けど、目茶目茶な設定を強引に纏めちゃう力量があるのが困ったところで、「三谷幸喜の最高傑作」の謳い文句には同意しないにしても出来の良いコメディなのは間違いなく、素直に観ればすれ違い・勘違いを多用した巧みな笑いに唸らされます。本作が代表作となるであろう佐藤浩市は大熱演でおいしい場面を次々とかっさらっていき、そこに絡む西田敏行と寺島進の存在感も格別。損な役回りながら妻夫木聡も細かいリアクションで好演してます。カメオ出演も含め男優陣は良い仕事が目立ちました。あて書きで的確にキャラを作る監督の真骨頂といえましょう。
 一方で女優陣は揃って騙される側じゃない事が災いしいまひとつ冴えず。深津絵里が「どうしようもないバカ女」にしか見えないのは監督の善男善女しか書けない弱点が出た感じ。性悪女の旨味が足りないので男たちの争奪戦に説得力が生まれません。戸田恵子は流石の安定感ですが本筋には無関係なポジションで見せ場は少なめ。そして、時折発動する三谷マジックによる新境地開拓を期待された綾瀬はるかも普通の演出でがっかりでした。佐藤浩市が笑わせるシーンに大概絡んでないのも女優陣の大きなハンデとなっており残念。

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(2008/12/03)
佐藤浩市妻夫木聡

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