「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ラスト、コーション

 日中戦争期の上海と香港を舞台に繰り広げられる抗日女スパイ一大ロマンス。中国本土では濡れ場をごっそり削除しての公開となり話題になった米中合作映画です。その影響で干された中国女優タン・ウェイが香港の市民権を獲得なんて余談もあり、なにかと過激なラブシーンばかり取り沙汰となる作品ですが、心理的駆け引き満載のドラマ展開で2時間40分の長尺を飽きさせません。終わってみれば目新しさのない話をここまで惹きつけるアン・リー監督の力量に感服。エロも必然的にストーリーに溶け込んでおります。

 物語の基本構造は『ブラックブック』に激似。あちらはナチ将校の情婦として潜り込んだユダヤ人の愛と裏切りの物語でしたが、こちらも日本の傀儡・南京国民政府の特務機関幹部を誘惑し任務を背負いながら肌を重ねる女の話です。ただ、『ブラックブック』は社会派テーマを内包した娯楽性の高い作品でありますが、本作はじっくりねっとりラブ・ストーリーと、性格付けは全く異なります。
 個人的には話題の秘め事が挿入される後半の上海パートよりも、“仲良し抗日ごっこ”の学生のノリが良い感じの香港パートが好きです。目標がでかいくせに計画は杜撰だったり、雰囲気に酔って墓穴を掘ってみたり、若気の至りここに極まれり。同じ学生運動でも「連合赤軍」とかは貞節を否定し強姦込みのフリーセックスだったそうですが、こいつらは揃って未経験で唯一の経験者も素人童貞ってのが笑えます。それで人妻に扮して誘惑作戦とか恐れ入る。このヒロイン処女喪失シークエンスの気まずい空気から始まる“夏休み限定テロ集団”の情けない祭りの終わりが最高でした。
 後半は基本的にメロドラマでして、ベッドでのトニー・レオンの嗜虐志向やヒロインに溺れてからの精神的な主従の逆転など、組んず解れつに込められた物凄い緊張感とパフォーマンスが面白いんですが、肝心の工作活動が命がけの綱渡りというには弱く展開に捻りも無いのが物足りず。正直、抗日に身を投じる動機にしても、過ちを認めながら運動に復帰する理由にしても、この娘の考えがよくわからないのです。それは用心深く孤独な軍人や純真で煮え切らない学生リーダーもしかりで感情移入が難しいです。そんなわけで恋愛模様の行方よりも中華貴婦人の社交麻雀のレベルの高さと何気ない会話に見え隠れする駆け引きの方に目を見張ったり。

 さて最後に噂のベッドシーン。中国の7分間カット程ではないけどR-18の日本版でも6箇所修正というから無修正版の過激さは想像に難くなく。確かに一般映画ではあまりお目にかかれない色々な体位やらサディスティックなセックス描写があり、童顔なのに脱いだら凄いタン・ウェイのボディも艶っぽいんですが、肉体よりも精神の支配を重視した過激な少女漫画のエロ描写みたいな印象。心理劇も含めて女性向けなエロスだと思います。そういえば前作『ブロークバック・マウンテン』は「やおい」でしたしね。しかしこの監督、「いきなりバックで・・・」ってのが好きですなぁ。

ラスト、コーション [DVD]ラスト、コーション [DVD]
(2008/09/16)
トニー・レオンタン・ウェイ

商品詳細を見る
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mappil.blog65.fc2.com/tb.php/309-d6d9c9a2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。