「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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母べえ

 古き良き日本の郷愁も反戦思想も家族愛も基本的に苦手ですが、正統派の映画女優として期待している檀れいをお目当てに鑑賞。ユーモアを織り交ぜた手堅い脚本と日常描写の的確さに定評のある山田洋次監督らしい、戦時下の矛盾に翻弄されながら艱難辛苦を乗り越えて強く生きた主婦の物語であります。

 社会人になったばかりの頃、定年間近の上司に「これ、事務所の女の子に渡しといて。」と仰せつかって向かった先にいたのは中学生の息子さんがいる女性でした。だから、山田洋次の主客層のおじいちゃん達にとっては還暦を超えた吉永小百合が三十路、それも20代と見紛う二児の母を演じてもさして問題ないのだろうとは思います。でも悟りの境地に至らぬ我が身にはとても無理。違和感しかない親子・夫婦・親戚などの人間関係を脳内補正するのに必要以上の労力を注がされるのであります。
 だって、そういう事情で全体に役者の実年齢が高めなんだもの。子役達は相応の小中学生なのに、主人公「母べえ」の夫・坂東三津五郎が50歳超、一家を助ける青年・浅野忠信も30歳過ぎです。30代半ばの檀れいが美大生のモダンガールってのもキツイ。更に吉永小百合より年上の倍賞千恵子が成長後の長女(妹・戸田恵子と3歳差と言う設定も凄い)という荒技まで飛び出て大混乱であります。
 まあ、そうは言っても役者の力量でねじ伏せてぎりぎりで成立。特に浅野忠信は新境地の好演と言えるのではないでしょうか。脇では笑福亭鶴瓶・でんでん・中村梅之助などが要所を味のある演技で締め戦中の雰囲気を醸し出していました。注目の檀れいは綺麗でしたが役柄が世界観からはちょっと浮いてて残念。やっぱり、彼女を「母べえ」に据えて義妹は蒼井優とかで観たかったです。

 お話の方はもっと反戦色が強いと予想してたんですが意外とマイルド。「非国民」の家族でありながらご近所の嫌がらせもなく、憎まれ役にもそれぞれの立場があることを明示しさえします。この手のドラマの絶対悪たる「特高」すら大して理不尽を行いません。
 また、「母べえ」が労せず職にありつき収入を確保、一家は食うに困らない程度で健やかに過ごすなど、悲劇の要素がやたら控えめ。徹底的に家族の日常で攻めておいて、最後に普通のホームドラマ的大団円と真逆の台詞で一気に悲劇性を高める試みが興味深かったです。場面転換が急すぎて美しい着地にはならなかったですけどね。
 ただ、獄中での受難の描写が薄めなこともあり、いかんせん悲劇の人「父べえ」に感情移入できず。蔵書持ちの癖に家賃滞納って事で冒頭から悪印象でして、思想家としてポリシーを貫く姿勢も中途半端となれば身勝手で家族に迷惑かけてるだけの人物に映りました。献身的というよりダメ男に盲信する妻に見えてしまい萎え。

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(2008/07/25)
吉永小百合坂東三津五郎

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