「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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チェンジリング

 アンジェリーナ・ジョリー扮するシングルマザーの9歳の息子が失踪し、それから5ヶ月後に発見の朗報が届くが引き渡されたのはなんと別人。ミスは明らかだが失態を認めない警察は捜索継続を拒否し、逆に彼女を育児放棄で糾弾し異常者扱いする。
 警察の主張は「通るか!そんなもん!!」で一蹴されそうな無茶なんですが、これは1928年のロサンゼルスで起こった実話だといいます。そして、巨匠イーストウッドはこのB級サスペンス並に馬鹿げた事実を淡々と再現しつつ、きちんとした社会派エンターテイメントの傑作に仕立ててしまいました。例によって、モヤモヤ感たっぷりでとことん嫌な話がぎっしり詰まっておりますが、個人の尊厳を犯す腐敗した社会への怒りと事件に巻き込まれた子供達の悲しみを静かに静かに伝えてくるのであります。

 このクラスの映画ですから出演者は当然粒揃いなんですが、それにしてもアンジー姐さんの力量には感嘆です。いつものスタイリッシュなアクション・ヒロイン像を封印し、母の強さと信念で気丈に振る舞いつつ弱さ脆さも併せ持つ減り張りの利いた演技に深く魅入られました。これで主要映画賞の最優秀主演女優賞を殆ど獲れないってんだから運がないです。
 失踪事件から不当圧力・隠蔽・人権蹂躙と異常な展開を経て辿り着く大事件。息子を捜し続け、正義を貫き、社会に変革をもたらす事になる女の物語は、何度も「ここでエンディングか」と思わせる場面を迎えながら気づけば142分の長尺。遠回りしているようで何所も削れないエピソード群を見事にまとめ、主人公と観客を生殺しにするイーストウッド特有の後味悪さを珍しく抑えたラストも素晴らしい。この希望的な(そして残酷でもある)「新たな真相」は創作だそうで、たぶん脚本家の手柄でしょうね。これで北朝鮮の拉致被害者家族の方々が実ることの無さそうな努力を続ける心情も理解出来ようかと。必見。

 さて、事実だと言われても俄に信じ難いロス市警の愚行ですが、禁酒法と世界恐慌のアル・カポネの全盛期と重なるとなると、ギャング映画の知識で考えれば警察の腐敗も全く不思議じゃないとは思います。けど、田舎者のガキンチョの幼稚な嘘は方言でバレバレじゃないの?ラジオが普及してるったってローカル局だろうし、映画はトーキーの時代を迎えたばかり。LAの言葉を覚える機会なんて無さそうなんだけど。まあ、ウィキペディアで事件のあらまし(激しくネタバレ)を読むとイリノイ州で保護した輩が騙されたのはガチの様ですが。ちゅか、映画では敢えて節度ある描写に抑えてあるけど現実はかなり陰惨な事件でビックリ。

チェンジリング [DVD]チェンジリング [DVD]
(2009/07/17)
アンジェリーナ・ジョリージョン・マルコヴィッチ

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