「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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容疑者Xの献身

 東野圭吾の原作は未読ですが、その出来はかなり良いと推測させる作品でした。話の骨格がしっかりしてるのでオーバーアクト気味のキャラクターもバレバレで破綻気味のトリックもさほど気になりません。おそらくは探偵側のコミカル・テイストで人気を博したのであろうTVシリーズに引きずられることなくきっちりと犯人側の哀しい物語を描き、『ガリレオ』の金看板を外して数多の劇場版TVドラマと一線を画した点が立派です。
 但し、ミステリーとしてはダメダメです。原作からどの程度アレンジされてるのか知りませんが、あのトリックはどう考えても悪手で「だったら隠蔽出来るんじゃね?」という疑問がつきまとうし、警察の初動シーンで騙しの肝の部分が想像ついてしまう辺りは演出も巧くないです。

 ネタバレになるので具体的言及は避けますが、「天才」だの言ってる割りには論理飛躍がもの凄いのです。冒頭の大がかりな実験と同じで、理論的に可能でも現実的な選択肢としてはリスクが勝る解答を、さも特別なアイデアであるかのように偽装したに過ぎません。けど、作り手はこの弱点を理解してる節もありますね。普通なら「誰にも崩せない鉄壁のアリバイ」をもっと強調すると思うのですが、そこを曖昧にしたまま劇は進みますからね。ミステリーであることをバッサリと切り捨てた感じ。

 さて、弱めた「どうやって?」の部分を補うのが「なぜ?」の部分。これが本作のミソです。数学にしか興味が無く殺人などという非合理なことをしない男が献身的に事件に拘わる謎。一見ミスキャスト的でありながらも孤独で見た目も冴えない中年男を哀愁たっぷりに魅せた堤真一の功績も大きく話にぐいぐい引き込まれるのです。また、娘を抱えて健気に生きる元ホステスを演じた松雪泰子の生活に疲れた感じが良いです。観客の同情を誘いつつ「男を見る目がない愚かな女」として嫌悪感も持たれなきゃならない難しい役柄を見事にこなしてました。
 引き立て役にまわる事になる本来の主役・福山雅治ですが、設定的にキャラが浮くのは必定の中で頑張って踏みとどまった印象。同じ場所からサクセスの道を歩んだコントラストと謎にしか興味がなかった男の苦悩で、実は底の浅い自己犠牲を感動的にする事に成功。只、堤慎一共々「天才」という設定に足を引っ張られてる感はありますが。一方、柴咲コウは何の為に存在してるのかが謎という別の意味で憐れみを誘うポジション。もう少し見せ場をつくってあげてもいいのに。雪山とかヘリとかに意味なく注ぎ込んだ予算を回してねぇ。

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コメント

そうだね

見ました~ /(。' ')/ 確かに柴咲コウは微妙なポディションでしたね‼

  • 2009/11/01(日) 23:18:26 |
  • URL |
  • サブちゃん #-
  • [ 編集 ]

> サブちゃん

国家権力によるサポートは北村一輝が担当のようだし、「瓢箪から駒」的な活躍をするでもないし、彼女はTVシリーズではどんな役割を担ってるんですかね?
いずれにしろ柴咲コウが真相を知ったのは最後の最後だろうから、実は劇中の問答の殆どが的外れって事になるのが哀れでなりません。

  • 2009/11/02(月) 23:16:00 |
  • URL |
  • マピールさん #-
  • [ 編集 ]

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