「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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私は貝になりたい

 TBSの歴史に燦然と輝く半世紀前の伝説的TVドラマのリメイク版。再放送・再ドラマ化・懐かし番組のダイジェストなどで誰もがあらすじとオチを知ってる作品ですが、オリジナルと同じ橋本忍の手による脚本は潔いまでに意外性ゼロで手堅く反米・反戦の気持ちを伝えてきます。SMAPの中居正広が主人公という事で脊髄反射的にダメダメ感がつきまとい実際に足を引っ張る場面も多々あるのですが、超シリアスに演られると凄くヘビーな物話なだけに「中居クン」まんまのコント演技が一服の清涼剤な部分もあり短所を相殺。ちゅか、それだけじゃなく映画全体がいろんな意味でチグハグなんですが、オリジナルを凌ぐことはないけど良さは殺さない絶妙の玉石混淆加減で意外と良作になっちゃってる不思議。

 中居クンには「ガビーン!」とか「ガチョーン!!」とかそういう擬音がピッタリのオーバーアクトが飛び出す難はあるものの、前半はアイドルなのにちゃんと善良小市民のオッサンに見える演技をしてるし後半は丸刈り&ダイエットの努力に見合うだけの画は撮れてて及第点。クライマックスは鬼気迫りますし、面会で子供達と会うシーンとか大根だけど子役パワーで最後よりもむしろ泣けました。
 問題は白黒写真ですら現代の芸能人にしか見えない仲間由紀恵の方です。高知の田舎者っぽさも無ければ薄汚かったりやつれたりとも無縁。芝居そのものにも苦悩や辛抱の要素がごっそり抜け落ちてます。署名集めとか夫婦愛を前面に押し出したものとなっているのに、吹雪く中でまで小綺麗な顔してちゃ全然ヒロインの必死さが伝わってきません。
 けど紅白コンビの演技が頼りない穴は豪華な個性派俳優陣が少ない見せ場でいい演技を見せて埋めております。外人達もそれぞれいい味。ただ荒川良々と笑福亭鶴瓶は本人が持つキャラ・イメージが強すぎて納まりが悪く、草クンの登場もコント色を無意味に増幅するのが困ります。皆、確実に中居クンより巧いんですが。

 助命嘆願してくれる人が大勢いて愛する家族もいる男が「貝になりたい」という心境に至るには、もっと要領の悪い人生を強調したり理不尽な受難を増やす必要がある気もしますし、「悪いのは軍で国民は被害者」「連合軍の裁判は出鱈目で不公平」という主張が強調されすぎてるのは気に入りませんが、やはり脚本のクオリティは高くこの頃流行りの無理矢理な泣かせ連発に陥らないのが好感。
 そして撮影が高水準。テレビドラマ出身の初監督作品だそうですが、とても映画的に画面を大きく使って撮っているのに感心しました。四季を美しく切り撮った近代化される前の日本の風景は特筆ものだし、見事に再現された巣鴨プリズンの外観や内部なども見所です。焼け跡のCGは酷すぎて笑っちゃいますが。時代考証は多分に怪しい感じでいながらも、進駐軍・帝國職業軍人・地方名士・市井の人々などのディテールはリアルっぽく演出され、木曜日に響くお経と聖書の醸すムードも本格的。何より2時間超でありながら長尺を感じさせないのが素晴らしかったです。

私は貝になりたい スタンダード・エディション [DVD]私は貝になりたい スタンダード・エディション [DVD]
(2009/06/03)
中居正広仲間由紀恵

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